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ひかれる
雀の声と共に、意識が浮上する。カーテンの隙間から漏れる光の梯子が目に入り、体の感覚が、彼女の体温が、私を覚醒させていく。横に顔を向ければ、うすらぼんやりと目を開ける彼女。寝ぼけているらしい。私は、彼女の腰に手を回し、背中まで撫ぜる。
暖かな彼女の体が恋しいが、起きなければならない。
そう思い体を起こせば、後ろ髪が引かれた。物理的に。
「んうぇ?」
「痛い!」
思いがけない衝撃に、頭を枕に戻せば、涙目の彼女の顔が至近距離で映る。そして抗議の声。
「痛いんだけど!」
「は?え?」
自分の、彼女の好みである長い髪を手繰り寄せれば、彼女の、これも長い髪と絡まっていた。
「絡まっちゃってるね」
そう言い、彼女と私は起き上がり、絡まった髪に手串を入れる。
どちらの物かわからない髪を、しばらく二人で梳いて、何処までが自分なのかを確認する。
やがて髪がほどければ、指を絡める。
「朝だけど?」
彼女が、人差し指で私の甲をなぞる。
「今日は、休みでしょ?」
彼女を引き寄せ、ほほにキスをする。
「まだまだ、朝は長いわね」
彼女がベッドに倒れる。
二人、絡み合う。




