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煙草
深夜、薄明りを頼りに、ベッドサイドのシガーケースを手繰り寄せる。銀色のそれは、今まさに閨を主にしている女からの贈り物。火を出すライターは、父の形見。
体を起こし、少し吸いながら火をつけ、煙を吐く。
隣では、女が息をつきながら私を見ていた。
「煙草ねぇ」
「何か?」
彼女は私の煙草の趣味を知っているし、許容してくれている。
「いつもシたら吸うじゃない」
「そうかな」
思い返せば、そうかもしれない
「そうよ。キスがいつも煙の臭い」
「性分で」
コレと女はやめられない。私は酒はしない。
「なんで吸い始めたの」
紫煙を吸う傍ら、彼女が問う。息は整ったようだ。
そういえば何故だろう、いつからか傍らには煙草があった。
たっぷり一本吸って、考える。
「さびしいんだよ。何となく」
「さびしい」
「そう、何となく」
灰皿に煙草を放る
「それじゃあ慰めてあげましょう」
彼女が腕を腰に絡め、背にキスをしてくる。
「いいねえ」
私が男であればこの空虚さはなかったであろうか。
それに答えることは今生ではできないだろう。
だが、今は只、彼女に溺れよう。そう思った。




