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デート
藍の暗幕垂れさがる、雨降る昼間。私は、赤い傘を差して、道の真ん中に立つ。ここは東京渋谷スクランブル交差点。
そこにT型フォードが一台ゆっくりと走ってくる。
「やあ、久しぶり」
車から降りてくるのは、達磨コートにつばの長い帽子をつけた、杖つく女。
「歩く時代錯誤ね」
その姿に嘆息する私も、いささか古い流行にのっとった服である。
「私からすれば、100年程度誤差なるものだ」
彼女が、はめていた手袋を外し、一つ拍を取る。瞬間に雨が止む。雲は晴れない。
「さて、そこなお嬢さん。すこしデイトと、しゃれこみませんか」
気障に帽子を外し、ウインクをして見せる。その瞳は縦に割れている。
「ええ、喜んで」
東京渋谷は広くも、狭い。
奇譚ものが少し話題になってたので




