25/101
赤い低気圧
雨の日は嫌い、頭が重くなるから。
頭が重くなれば、思考も鈍る。だからだろうか、うんうんと適当に相槌を打っていたら、友人と相合傘で帰ることになってしまった。
傘を忘れた彼女が、傘を差す私のパーソナルスペースを侵す。肩が、触れ合う。
雨の少し不明瞭だが胸がすくような香りと、彼女の少し汗の混じった香りが鼻腔をくすぐる。
適当な会話をしているのだが、彼女の言葉はあまり耳に入ってこず、私は専ら鼻と肩に意識が向いていた。
「ねえ、聞いてる?」
「聞いてる聞いてる」
「そう?ならいいけど」
彼女がもっと傘に入れろと肩をくっつけてくる。私は、すでに濡れた肩をさらに濡らす。
「大丈夫?濡れてない?」
「大丈夫だよ」
「ふぅん」
突然、彼女が腕を絡めて、顔を近づけてくる。
「格好つけちゃって」
揶揄うようにニシシと笑う。そして、そのまま腕を組み、身を寄せて歩き始める。
肩は雨に降られていなかったが、逆の肩が彼女の少し長めの髪に降られる。
やっぱり、雨の日は嫌いだ。
赤くなった顔を隠せなくなる。




