表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/101

5hss「喜怒哀楽」

この六作品はユリトピア内で行われた、お題を決めて、500字以内でssを書くという企画の物です。


なお、私自身の同一の物と、他作者様が書かれたSSがまとめられたものが、pixivに投稿されています。


直リンクはなろうの規約上、どういう扱いになるのかわかりませんので、pixivにて「yuritopia@ますとどん」とユーザー検索をすれば投稿されていることを確認できると思います。

≪喜んで≫



休日の公園というのは、色々な人間がいる。鉄棒を占拠する爺、砂場で山を作る子供、陰の下で喋る親。

そして、ハモニカを吹く私。

ハモニカと言うものは、あまり人気がない楽器だとは思う。周りの友人は皆ギターだったり、ピアノだったりを讃頌する。元友人曰く、ハーモニカはモテないよ、らしい。モテるために吹いている訳でもなし、ハモニカだし。結局私はそいつをぶん殴って縁を切った。

しかし、それでも

「おねーさん上手ー」

と目の前の女の子が喜んでくれるくらいには、上等な物なのだ。

「ありがとね」

お礼を言って、休憩に入る。

「お姉さん、貸して貸して」

吹いてみたくなったらしい彼女に、ハモニカを手渡す。

「それ、やるよ」

楽し気に吹く彼女を見ていて、半ば自然に口が動いた。

「どうして」

大きな理由はではない。ただ、嫌になってしまったのだ。少しでもそう感じたら、もう楽しく吹けなくなってしまうのだ。

「お姉さんのこれ、もっと聞きたい!」

私が黙っていると、女の子が大きな声でハモニカを突きつける。純心な目だった。

「お前だけだよ、そんなこと言ってくる奴」

私は、私の好きな曲を、ハモニカで吹く






≪怒って≫



「もう、いい加減にして!」

家に帰ったら幼馴染にいきなり頬を叩かれた。

鋭い痛みの後、じんわりと熱がこもり始める。

「だって、しょうがないじゃないか」

帰ったらいきなり叩かれたせいか、不貞腐れた声になってしまった。

「私はあなたを思って言っているの。それが分からないの」

わかってるよそんなこと、その言葉を飲み込み押し黙る。そして、黙っていれば一方的に言い募る彼女に

「うるさいなあ!」

と怒鳴ってしまった。こっちは疲れているんだと、叫んでしまった。

一瞬の沈黙。彼女の頬に一筋の涙。

「馬鹿!バカバカバカ!」

胸を何度もたたかれる。泣き声と、軽い衝撃。

こちらとしても、泣かせる気はなかった。急に頭が冷える。


命がけで街を守る正義の味方を、心配してくれるのは彼女だけなのだ。

「お前だけだよ、そんなこと言ってくる奴」

片腕で強く、抱きしめる。

「ごめん」

本当に守りたいものは、とても小さかった。




≪哀しむ暇もない≫



私には、器量のいい彼女がいる。同性同士の恋愛だから何かといわれることはあるが、それでも二人楽しんで生きてきた。これからもきっとそう。

「ねえ、ありきたりだけど地球最後の日ってどう過ごす?」

「そうだなぁ。恋人と過ごす、かな?」

「ふふ、私も」

益体もない話をしながら、二人家路を歩く。

道端のタンポポの黄色が見えた。

ここは一つ、花より君が美しいと言ってやるべきか。

そんなことを考えていれば、彼女が手をつなごうと言ってくる。勿論と手をつなぐ。

もうすぐ夏。

スーパーで買ったアイスはまだ溶けないだろうが、それもこれからの季節、どうなるかわからない。


幸せだなぁ


その言葉をどちらが言ったかは分からない。もしかしたら、二人ともが言ったのかもしれない。


その時


光と轟音と衝撃とが、空から落ちてきた。


暗転






≪楽しければ≫



幸せとは何ぞや。

彼女と結ばれてから、そんなことを漠然と考えるようになった。そのことを食卓で彼女に言えば「ためらわないことさ!」と格好をつけて言う。それに私は笑ってしまう。

「で、なんでそんなことを?」

スパゲッティをくるくる回しながら、彼女が聞いてくる。

「んー、これでいいのかなーって」

単純に不安なのかもしれない。女同士では、どうしても世間一般の『幸せ』とされるものを得られないことは多々あるのだ。

知らぬ仲ではない。思っていることを全部話す。

「んー。幸せってなんだろね」

能天気な彼女は、ニコニコとそんなことを言う。悩みなどなさそうに。

「私はね、幸せじゃないことを幸せっていうんだと思う」

丸めたスパゲッティを口に含みながら彼女が言う。

「つまり、不幸じゃなけりゃ、いいんだよ」

「それは何とも屁理屈な」

「屁理屈でいいのだ。幸せなど、一般化できない物ナノダ」

空の皿でフォークをくるくる

「例えば、好きな料理を食べれば幸せだろう。普段の君だ」

フォークでスパゲッティと私を指す

「でも実は、私はスパゲッティ嫌いなのだ。でも幸せなのだ」

彼女があっけらかんと笑った






≪楽しくないコメディー≫



「告白スイッチ『あ』」

いつも奇天烈な恋人が、いつにもまして頓狂なことを言う。手に持つのはティッシュ箱。

「愛してる」

ため息が出るわ。

「告白スイッチ『い』」

「いつまでも愛してる」

惚れた弱みかもしれない

「告白スイッチ『う』」

「生まれてきてくれてありがとう」

悔しいことに、こいつはオンリーワンだろう

「告白スイッチ『え』」

「永遠に一緒にいよう」

いい加減愛想もつきそうだと毎日言っている気がするな

「告白スイッチ『お』」

「おっぱい揉ませろ」

私たちは今からセックスをするつもりだったんだぞ!だから二人とも裸なんだよ!いまさら恥ずかしがるなよ!


「いい加減愛想が尽きそうだ!」





≪喜んで≫



下駄箱に謎の紙が1枚。


□□□□□□□□□□□□□

□一二■7■□■18■■□

□三2■■■□2二■■4□

□■■1■■□一■■■■□

□6■53■□■■■■■□

□0■■■■□69■■■□

□■■■■■□■■7■■□

□■■■■4□■■■■■□

□■■■■■□■■■■■□

□8■■9■□3■■■■□

□四■■□□□■■5□□□

□□□□□□□□□□□□□


私は、友人の元に走った。

彼女は、私と同じ気持ちだったのだ。それがとてつもなくうれしかった。

例え、彼女が言えなくたって私が言ってやるのだ「すき」と。そして、彼女を抱きしめてキスしよう。

遠くに、これから恋人になる人が見えた。

「沙希!」







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ