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魔法にかけられて
手品同好会。部員数5人、その内幽霊部員3人の、学校最小の部活。活動場所は校舎の最も端にある、小さな部室。私はそこで、先輩の手品を眺めていた。
山札を移動するトランプ。宙に浮く消しゴム。手首を捻れば現れる長い棒。
私は種を知っているはずなのに、先輩のそれを見抜くことができない。本当に突然、事が起こるのだ。魔法のように現れたり消えたりする。
二人だけのショーは、斜陽が部屋に梯子をかけ始めたころに幕が引かれる。
「どうだったかな?」
芝居がかった調子で先輩が微笑む。
「今日も見抜けませんでした」
私も部活の一員なのだ、多少鼻持ちならない気持ちはある。
「おや、そうかね。それは愉快だなァ」
ウインクしながら、人差し指をたてて不敵に笑う先輩は、嫌味なほど様になっていた。
「それでは最後にもう一つ」
鷹揚に手をこちらに伸ばし、一つ指を鳴らす。瞬きする間もなく、一輪の花が現れる。
「お誕生日おめでとう!」
そう言う先輩は、素直な笑顔。
夕焼けの部室で、私は特大の魔法をかけられた。




