17/101
雨降る
小高い丘の階段を上った先のお社で、私は一人仰ぎ見る。雲一つない青い空。
風に乗って花香り、頬に水を感じれば、たちまち雨音身を包む。
けれども空は、透き通る青。
「傘も差さずにどうされましたか、お嬢さん」
振り向き見れば、麗しき美女。白き和服に身を包み、和傘を肩にかけていた。
「あなたに会いに来たのだけれど」
彼女の傘に潜り込み、雨打つ音を二人聞く。
短く長い静寂は、彼女がいつも幕を引く。
「不用心だよ、お嬢さん」
唇に指をあてられて。
妖しく微笑む想い人。
「奪ってくれてもかまいませんよ」
――唇だけにとどまらず
言葉の外に、意味を乗せ、一つ笑み浮かべれば、
大きな風がひとすさび。
瞬き一つ、暗転一瞬。彼女はそこにはもういない。体も髪も、濡れてはいない。
「小胆な方」
嫁入りはまだまだ遠そうだ。




