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夜話
「夜、寝る時不安になることがあるんだ」
月明かりがカーテンに防がれる夜、一緒に横になる彼女が言った。夜のせいなのか闇のせいなのか、小さくか細い声。
「漫画とか小説とかでよくある感じのやつ?」
「うん」
そう言いながら彼女が身じろぎした時、布の擦れる音が鳴る。
「まあ、私から言うことはないよ」
光の帯がある天井を見ながら思うことを言う。
「ちょっとこっち向いて」
「眠いからやだ」
彼女が近寄ってくるので、私は背を向ける。
「そう言う所、らしいね」
「だってそうでしょ?そんなの明日の朝には忘れてるんだから」
「経験則?」
決して彼女と同じ不安ではないだろう。
「内緒」
「あるんだ」
「さあね。お休み」
明日、明日じゃなくてもいつかそんな不安は無くなるのだ。私はそれを同じ布団にいる彼女にいつも教わっている。
「お休み」
私にとっての彼女に、私もなることが出来ればよいのだが、それはいつになるだろう。今のように無愛想な、いつもの私では難しいかもしれない。
そう思いながら、目を瞑った。彼女の匂いがする。




