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テンプレ騎士爵三馬鹿トリオと女冒険者のグレイシア

測量もどきを行って、精確な避難所村MAPを作成する。

俺だけが把握してるのでもいいんだが。

やはり、避難して来た者達が把握しないと行け無いMAPは必要だ。

それと、高級な物ばかりだと不便なので、紙を作った。

紙は繊維質の草とか葉っぱを探して、煮込んで叩いて潰してすいてみた。

これもうろ覚えな紙すきだが、ちょっとゴワゴワだけども、和紙っぽい物が出来ました。

これはこれで味が有るけど。

作り慣れたら、均一な物が作れるかなぁ?

紙を複数作って乾かす。

和紙風なので、仕上げの時。

透ける様に、紙と紙の間に花とか綺麗な紅葉をいれてみたりする。

それに色んなモンスターから採れたフサフサ毛を使った筆を作って使用。

絵に向いて居るのと文字に向いてる物が分かれたが。

とても硬過ぎたり、ゴワゴワ過ぎてダメなのもあった。

後は、歯ブラシとか人用ペット用なブラシもついでに作りました。

髪の毛のブラシは、やはり女性達にはとても好評だったので、作った甲斐があったぜ。

有る程度俺が作り慣れたら、まず配下の皆に覚えさせ。

次は避難民などにも広められる様な形で暇を潰させようと思う。

一・二年は短くて長い。

怖い目に合ったのだから、精神的にノンビリさせたい所だが。

ワーカーホリックな連中が、真っ白に燃え尽き無い様にもしないとな。

それに、支援金だって無料じゃ無い。

プライド高い連中程、そう言った事を気にする。

こんなど田舎じゃ、用意出来る仕事も少ないが、避難民は復興後も生きなきゃだしな。

生き残った事が不幸だと思わせ無いように。

水面下で支援するのがこの村の役目だ。

まぁ、アホの子はわかんねぇだろうなあ。

うーん、ボランティアなんざガラじゃねえんだが。

これも、元王族として国に尽くす形になるといいなぁ。

くらいの軽い気持ちで始めた事だった。

まぁぶっちゃけ偽善だろ?

それでもいいさ。

折角の異世界。

折角の新たな人生。

何もせずにニートぶっこくのも馬鹿らしい。

俺もまた、ここに避難して来たようなもんだからな。

こういう事をしながら、今後俺は何をするべきか。

何をしたいと思うのか、ノンビリ自分と向きあって検討していくよ。


「うわっ!

アレは元王子殿下ではありませんか。

マジで農作業してやがる。」

「落ちぶれたものだな。

まぁ、なるようになったんだろ?

半分は下賤の産まれだしねぇ。」

「ああは成りたく無いでおじゃる。」

デブ・ガリ・マロ。

例えるならばそんな三人組の貴族が、少し離れた所でクスクス悪口垂れている。

あー、貴族でも爵位そんなに高く無いけど、アホの三馬鹿トリオか。

名前覚えてないんだよね。

あいつら勉強も運動もなんの特技も無くて。

無能系貴族子息代表だったから、なんとも陰薄いっつーか。

王族としては交流しても、なんら魅力感じない相手だったんだよな。

あんなのに馬鹿にされる俺もまた無能勢扱いか、と思うと黄昏るわ。

自業自得だから仕方ないけどな。

奴らを見ずに、畑作業を続ける。

関わるのも面倒に感じたからだ。

暇なのか度々やって来ては毒を吐く。

この馬鹿共は、騎士爵とか騎士公身分で、父王の言った通りあの砦館がほしいらしく。

俺様が居無い時を狙って、凄く態度悪く執事のハイドに交渉し。

あえなく何度も突っぱねられ。

無理矢理入ろうとして、うちの男手にとっちめられたらしい。

俺はもう庶民だか、配下達はぶっちゃけ貴族爵位捨てて無い。

家臣とか配下ってのも変な話だが。

あいつらがそれを望んでるし。

俺たちは、俺も良く分からない関係だったりする。

呼び方は、家族?

いや、部下でいいかな?

うーん、まあいいや。

ともかく、あいつら伯爵とか侯爵とかの身分なので、彼等は逆らえ無い。

だから、とうとう庶民の俺にダイレクトアタックっていう訳さ。

「あーあー、キタナイ畑ですなぁ。」

イキナリ声が近づくと、デブが畑を踏み荒らし始めた。

「これは踏むとポキポキ良く折れるぜ。

面白え!」

「ほんにほんに。」

三人が芽が生えた茎毎踏み荒らす。

陰口にはカァっと頭に血がのぼるが、直ぐに居なくなるから耐えていた。

しかし、作物への破壊行動には耐え難く。

何か言い返そうとしたタイミングで、ブン!

と、鋭い剣風が起こって三人が倒れた。

「え?」

いつ来たのか気配を感じさせず。

三人の後ろに一人の綺麗な女剣士が佇んでいた。

つーか、あいつら騎士になりたいなら、せめてあのくらいの気配わからないと無理ゲーだぞ。

冒険者はあんなのゴロゴロ居るし。

騎士のトップも荒くれが多い。

王立騎士団はあいつら無理だから、私立騎士団作っても下っ端にパシられるミライしか見えないんだが。

まぁいいや。

「感心しないな坊や達。

避難民の無法は、ここの避難村許可を出されたアザゼル王様への無法や反逆と見なされると聞いたが。

貴族には通達されておらんのか?」

怜悧な流し目は鋭く。

ビクリと三馬鹿は震えた。

無理もない。

あいつらが家令とか執事の説明話を、マトモに聞くタイプには見え無いし。

何より先程から彼女の威圧に押されて、仔鹿のようにプルプルしてる。

俺の畑に漏らすなよ?

ジト目で眺めて居ると。

「急用が!」

「さ、さあ行こうか?」

「偶然だな、マロもじゃ!」

と謎の言い訳しながら走り去って行った。

「大丈夫でしたか?

シャア殿下ならば余裕な相手かも知れませんが、庶民としての対応は慣れて居ないと思いまして。

勝手ながら差し出がましい事を…。」

真紅のポニーテールを揺らし、妖艶そうな顔立ちとスタイルの見た目とは裏腹に、実に純情天然なA級冒険者で17歳のグレイシアが真っ赤になって言い訳をする。

「いや、助かったよグレイシア殿有難う。

後、俺はもう庶民だからシャアで良い。」

そう言うと、グレイシアは戸惑った表情を浮かべながら、少しはずかしそうに頷く。

「うん、分かった。

えっと、シャア君。」

相変わらずのギャップ萌え剣士さんだった。

うむ、眼福じゃ。

彼女は冒険者ギルドに登録した頃からの顔見知りで。

良く気に掛けてくれる素敵な先輩だった。

俺もまたA級なのだが、今の所はクラスを伏せてある。

庶民になったから、そのうちバレるだろうけどな。

っと、それより畑畑。

俺は少し集中して、畑の作物を補正。

すると、折れた所を巻き戻しながら作物は同じ位まで育つ。

「へえ、相変わらず器用だね。

そんな繊細な術の使い方良く出来ますね。」

感心して褒めてくる。

うむ良いぞ、褒めて褒めて。

褒めれば伸びるコ、俺様だ!

などと脳内で残念な思考になりつつ、にこやかに微笑んで誤魔化した。


翌日、避難所村に来た貴族庶民に、避難所村での禁止事項を配布した。



1・無益な乱闘や盗難などの狼藉を禁ずる。

破れば王国騎士団へと通報対象捕縛とする。


2・避難所村の外壁より外は精霊様の領域なので、森の伐採や精霊様への危害は禁ずる。

破ればここが迷いの森となり、生命の保証はされぬと心得よ。

尚、過去に前例有り。


3・身分差への迫害を禁ずる。

ここは避難所、避難して来たものは平等に守護されて居るが。

ルール違反者は他の避難所へと強制移転となる。


4・幼子妊婦怪我人病人以外は、働くべし。

働かざる者食うべからず。

ささやかな事から日常に戻る訓練をしましょう。

報酬は、国からの避難所生活保護予算へと回されます。

尚、ここにいる間は金銭は掛かりません。


5・このレデュウ避難所村への滞在は、一年から二年が限度です。

その間に現地復興させ、避難期間完了。

速やかに元の所在地への移動となります。

又、ここレデュウ避難所村は王国国有故、長期滞在は認められていません。


6・レデュウ砦館は、レデュウ家所縁の遺産として現在シャア・レデュウの所持地です。

不法侵入及び不正な要求はアザゼル王様が発行した認可証書により禁止されています。

ご了承下さい。


反応は様々だった。

状況的に、王族の地位が無くなった俺様。

なのに土地持ちだ。

まあ、庶民というより、ほぼ領地の無い男爵みたいな事になっている。

領地もどきがこの避難所村だ。

困った事に、ここは彼等にとって魅力的な場所となってしまったらしい。

彼らの故郷よりも、とても住みやすい住居や清潔な環境。

今までと違った便利な用品の数々。

季節を問わず作物や花々に彩られる景観。

ここで骨を埋めたい者が出てくるのも必然だったのかも知れ無い。

けれど、俺は長期滞在を許可しなかったし。

砦館を手放しはしないに決まってんだろ。

次に始まったのは、見合い工作だ。俺も含めた俺の少ない配下との見合い。

肉親になれば技術も砦も手に入る。

合理的だがそこに愛は一切無かった。

それより避難所への慰労のフリした肉食ハニトラ部隊が面倒だった。

俺はもう貴族には戻りたく無いっつーねん。

グレイシア殿みたいな純朴そうなのならまだしもさ。

あんなギラギラなの要らねえよ。

配下達は、心揺さぶる相手とか居なかったのかは知らないけどね。

まぁ…本気になった者が居たら手放すけどって言ったら全員に怒られた。

解せぬ。

そんなこんなで、避難所村の避難民第一号はここから無事撤退して行きました。

何だか凄く長い二年だった、ような?

そんでもって、俺様も17歳になりました。

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