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それは堅牢な砦みたいなおうちでした

ここは森の中の小高い丘。

見渡す限り、その周辺は鬱蒼とした背の高い森しか見えないけども。

王都からかなり離れた辺境。

そこから村までも少し距離が有る。

まさに、ザ・ど田舎だ。

迷いの森と呼ばれる魔物が跋扈する国境入り口近くに、ひっそりと佇む館。

丘周辺は、自然の川を合流させた堀が張り巡らされ。

魔物除け盗賊や、危険分子除けのかなり強い結界が張られ。

一族以外の許可無き者達の侵入を拒むシステムが構築され。

目に見える館への入り口は一箇所。

もう一つ隠し通路は入り口の門の側に、館の持ち主専用アイテムを置くと。

中庭に出る転移門が出現し。

転移と共に、館の持ち主の手に自動で戻る謎マジックアイテムで馬車ごと入れるのだが、訪れた客とかどうしてたんかね?。

とか思ったら、城壁の下の方にも馬小屋と馬車置き場とかが有った。

やはりと言うか、その辺りにも簡単な守りが施されて居る。

そして館の周りも、堅牢な自然の岩壁に囲まれて居た。

なんかもうさ、これ貴族の館っつーよりさ。

戦に構えて作った砦だよね。

なんとか丸みたいな、広い入り口門はだんだん狭く入り組んだ作りで物陰も多く。

物陰に伏兵とか、侵入者向けトラップ仕掛けたり出来そう。

なんつーか、砦に誘い込まれたらヤバイ感じの、トラップマスターな先祖様が作ったんじゃね?

とかつっこみたくなった。

祖先は戦馬鹿だったのだろうか?

戦上手の内政調略下手。

そりゃのし上がれねえわな。

男爵じゃなくて、騎士公とか辺境伯あたりからのし上がったのかな?

でも戦もなく平和な昨今、あんまり使い道もなさそうだし。

かと言って捨てるにはもったいない施設だ。

でもこれ住むには、大人数は不便そうなんだよな。

的な優美さに欠ける、何とも無骨な家だが、それなりに広い。

まあ、貰い物だしな。

あんま贅沢言えない。

むしろ、前世の歴女様的にはアリです。

アザーッス!


庭にくると、馬車置き場や馬小屋や畑や訓練設備っぽいスペースが有る。

畑は籠城用の非常食も兼ねてだろうな。

周辺は民家も遠く森の中だし。

ただ使わなくなって長い為か、腐敗防止魔法がかけられていても、雑草や蔦などが自然とはえてこの辺りも要手入れだな。

一人ならこの広さは、中々キツイ。

でも、俺様に心酔してくれたのか、余のアホ王子過ぎて心配になったのか。

あー、絶対後者だな。

ぐぬぬ。

本来、王の勅命で、護衛と監視も兼ねて乳兄妹の兄キリヤと妹ケイトの側近。

メイド母クルルだけがついてくる筈だった。

乳兄妹二人と護衛騎士ドローンとイザークの二人と、メイド母とメイド娘メルルの親子と、執事なハイド爺さんがついて来た。

俺は断ったんだよ?

だって俺について来ても、全く将来の保証とか無いわけだし。

多少初めは居づらくても、城に残る手立てだってあったんだ。

だけど、有難い事に彼らは母上同様ねじ込んで来た。

父王は、流石に表立っては同行者を増やしたくは無かった様だが。

若い頃に国の予算からではなく。

家臣に隠れて冒険者ギルドで稼いだポケットマネーから、旅の為の外はボロくて中は綺麗で数部屋有る広いマジックアイテムな馬車と、大きな軍馬風なモンスターテイマー用の使役モンスターを用意してくれたそうだ。

俺は本当、親不幸野郎だな…この恩は返せるのだろうか?

っといかんいかん、とりあえずグダグダ考えて反省するのは新しい我が家が綺麗になってからだ。

思考停止より行動停止の方が今は切実にヤバイ。

アレだ、考える暇があったら動けって奴?

何だろ、今世の俺様マジで脳筋寄か?

まあイイや。

「ウインドカッター!」

力を微調整しつつ、出力の弱い風魔法で草刈りをする。

「ミニマムクエイク!」

後は土木魔法で地面の雑草の根を掘り返し、畑部分とそうでない部分を整地して行く。

脳内イメージは草刈り機と耕運機だろうか。

「ショートウォーターショット!」

壁の汚れを水圧で落とす。

イメージは外国の水鉄砲みたいな水圧掃除用洗浄機だ。

館内部の掃除と外の掃除を、俺達は交代でやって居る。

流石に一点集中にも限度が有るからだ。

まあようは飽きない為の工夫?

でも難しい呪を唱える時や無詠唱は、漢字になるとショートカットと言うか、時々前世の言葉になるんだよな。

多分イメージ湧きやすくてだと思う。

今のところ誰にも聞かれていないけど、ここについて来てくれた連中にはいつか気付くだろうから、今から説明考えておこうかな。

因みに、火山近いとかでこの館には温泉がひいてある。

お陰でお湯を魔法で沸かす手間が少ないからメイド親子も少しは楽だろう。

「シャア様、そろそろ御昼食の時刻ですわ。食堂に参られますか?

それともこちらにお持ちしますか?」

メイド母が声をかけてくる。

「こちらにもって来てくれ。

手でつまめるような軽食で構わない。」

「かしこまりました。」

少ししてバスケットに食事を詰めたメイド母と、飲み物を持った執事と御座の敷物を持ったメイド娘がやって来て手早く準備している間に、俺は水魔法で手を洗う。

本当、科学は中世レベルだが、魔法は最先端だから魔法を使いこなせれば、この世界は不自由しないだろう生き方が出来る。

用意されたサンドイッチと唐揚げと卵焼きと野菜サラダを食べながら、俺はノンビリ思考する。

さて、ここで何が出来るかな?


この数日館の見取り図片手に探検して分かったこと。

一階は客間と広間と会議室と食堂。

二階は一族や執務室と執事やメイドと言った家臣の部屋。

三階は一族の部屋だが豪華目なので、家長一族はこの三階に居を構えているようだ。

さらに見えない地下に、三階程確認できた。

マップにない隠し通路も有るらしい。

この館の守護精霊・・・座敷童みたいな妖精が居るんだが。

そいつに気に入られたらそちらも使用可能なんだそうだ。

まぁそんな先の話は置いといて、今は確認できた場所の話だ。

地下一階は魔法無しの訓練場。

地下二階は魔法訓練所。

地下一階は武器倉庫と食料倉庫とかが有る。

ちなみに俺の重要アイテムなんかは個人認証のアイテム空間ボックスなんかに格納しているから、盗難しようがない。

もっとも、王族時代のような豪華アイテムなんぞ流石に所持して無いけどな。

うーん、庶民の建物にしては豪華すぎだよママン!

しばらくは使い道ないけども。

まぁいいや、使い道とかもゆっくり考えるかな。

ちなみに俺の部屋は簡素だがベッドや机が有る。

腐敗防止魔法はカビったりしないので、浄化魔法で室内は新品同様に成るんだよ。

まじ便利。

電気の代わりは城なんかと同じで大きな魔石を取り込んだ装置に、月に一魔法を入れるか未使用魔石を入れ替えるだけだ。

まぁ予備の未使用魔石をアイテムボックスに大量所持していたから、それらを必要程度皆に配布。

これでガスコンロや水洗トイレか水回り電気周りなんかは一年ほど何もしなくても持つし。

魔石に定期的魔力注入すれば半永久使用が可能だ。

半永久なのは、魔石にも劣化時期がある。

小さなものは持って50年程だろう。

大きなものは100年程は持つらしい。

これらの代用物も開発されており、使用不能になった魔石を砕き合成して新たな魔砕石結晶にすると、本来よりは劣るけれど25年くらいは持つそうだ。

リサイクルは基本だよな。

それでも魔力を持たない庶民などは、いまだに薪や石炭を使っていた。

温泉地帯には温泉の地熱で蒸し料理なんかが作れるし。

水上都市とかなら、水力風力システムを使っている。

色々便利なところと不便なところは統一されていないのだが。

まぁその土地を開発した貴族次第になりやすいのもご愛嬌だ。



そんなこんなで、新居での生活が始まった。

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