前世の黒歴史は甘くて苦いビターチョコのフリした濃い抹茶風味な青汁
雪下菜奈は、歴史マニア、いわゆる歴女でした。
「菜奈は本当凝り始めるとさ、周囲見えないよね。
そんなんだから、フられるのよ。
少しは相手に合わせなさいな。」
ゲームオタ友達の名前が思い出せないけど、凄くサバサバして男気溢れるのに、人妻になった後も超モテモテな鈍感友人に鼻で笑われる。
オノレリア充め。
フられたばかりの前世の俺、雪下菜奈は口を尖らせ友人に愚痴っていた。
「だってあいつ、面倒事こっち任せにするくせに、気に入らないと八つ当たりするし。
人の話聞か無いし。
確かに私も周囲見えなくなってたとは思うけど、浮気する事ないじゃん?」
「ああ、かまってちゃんか。
なら、それ気付かず付き合ったあんたも悪いね。
まぁドンマイ?」
「くっ、慰める気ないだろ!」
「あはは、だってそんな面倒な底辺屑男と別れたんだから、ある意味ラッキーな恋愛デトックスだよ。
次の恋探すか、仕事や趣味を重視して生きるしか無いんだし。
そんなゴミの為にあんたがクヨクヨしてどーすんのさ。」
相変わらず、彼女は強く逞しい。
その強さに惹かれるのは野郎だけには限らないだろう。
俺も、彼女に何度と無く心を救われていた。
そんな彼女は俺より先に、大きな災害で死んでしまった。
そりゃもうあっさりと。
恋人は切り替えが効いても、親友はそうは行か無い。
それだけ無意識に心の支えだったから、長い事立ち直れなかったものだ。
俺が彼女の死から立ち直った頃、戦国時代の城址巡りにはまって居た。
始めは近所の戦場跡地からスタートして。
遠方にも足を伸ばした。
うちの辺、陣取り合戦が盛んな地域で。
戦国時代より前から、城や館跡とか少ない。
寧ろ砦城跡地なら沢山あった。
まあだいたい城が残って無いけどな。
どこも城址公園や役場などになってたり。
たまに城も残ってたり、リメイクして城があるところはいい方で。
大体山の頂上とか、ど田舎の街の外れとか、利便性の悪い辺鄙な場所に良くあるんだ。
まあそうだよな。
だって、敵が攻めづらい場所を狙って使うんだし。
人や馬が気軽に来やすい所に作ったら、狙われてそりゃもうすぐ負けるよな。
そう言う発見が面白かったし、歴史とのすり合わせにワクワクしたものだ。
その日も、いつも通り高速バスを使って移動して、目的地に向かってたんだけど。
気付いたら、異世界にいたんだ。
どうも寝てる間に事故になって死んでいたらしい。
痛みとか分からなかったから、凄い衝撃だったのかもしれないな。
夢うつつで、ドスンと大きな地響きが聞こえたので、一瞬の衝撃で死んだのかも。
まあ分から無い方がいい事もあるからいいけどさ。
何ていうか、痛みが分からず幸運なのか、死んで不幸なのかわかんねえな。
いや、不幸か。
前世の未練は、特には無いけど。
そんな感じで、異世界ファーブラに転生したらしい。
あいつもここに転生してたって、かなり後になって知ったんだけど。
それは又後で話すよ。
じゃあ今度は今世、コルベット王国のシャア・レ・コルベット第二王子に転生した話でもしますか。
シャア君の思い出は、前世から今世に移ります。