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閑話 とある冒険者の会議?

ギルドの宿舎で、二人の男女が食事をしながらヒソヒソと会話していた。

「ねえねえ、シャア君の本命は一体誰だと思う?」

「元王子だから顔は悪くねえし、性格も能力悪くねえ。

ただ王族としては甘ちゃんと言うか、真っ直ぐ過ぎだから向か無かったんだろうな。

腹芸苦手そうだし。

それでも、モテる要素はたっぷりだな。

だから、そのうちハーレムガチで作っても変じゃねえから分からねえが。

浮いた感じはし無かったと思うぜ?

気になるのか?」

からかうような声で呟く。

「あたしは恋というより、憧れて見てるだけで満足だから良いんだけどさあ。

あの娘鈍感だから自覚無しだけど、かなりシャア君にぞっこんでしょ?

折角シャア君が婚約破棄してライバルも居なくなって庶民になったのだから、もう少しアプローチすれば良いのに。」

「あいつも鈍感だが、シャア殿も相当だと思うぞ?

それに、レデュウ砦村に掛かり切りになるにはあの娘…グレイシアは引く手数多な実力者過ぎる。

王都の有力者達が中々手放すまいよ。」

「まぁ、侍らし飾るには綺麗な娘だからね。

ぶっちゃけ、ただ飾るだけの女には収まるとも思えないけど。」

そこまで話してから、男は真顔に戻る。

「その王都だが、シャア殿の話をギルドと王家に通達して置いた。

アレは…、俺ら末端の冒険者には荷が重い話だよ。」

女も喉をゴクリと鳴らす。

恐怖ではない。

魔族が出たかもしれない。

それは、魔物の能力底上げを意味し。

魔族と戦闘への武者震いだった。

エルフの森から外界へ出る位だ、女…テレサは戦闘狂。

戦闘が始まれば冷酷な状況判断と、何故か剣での戦闘もおっぱじめるのだ。

ぶっちゃけ孤高の森の知的生物的なエルフのイメージは、いとも容易く崩壊させてくれるだろう。

「おい、お前一人で確認しにとか行くなよ?

死にたいのか?」

「一人で無ければ良いの?」

ニッと口角を上げで獰猛に笑う。

普段の軽そうな愛らしい風情は影も形もなかった。

だが、その言葉を丸めた冊子でペコンと叩いて不許可を出す。

「勝手をしたらセルドラに言うぞ!」

ビクッと超反応するテレサ。

セルドラは、テレサがガチの戦闘狂とは気付いて居ない。

優しい頼れるお姉様と思われて居た。

だから、無茶をしたりすると泣かれるのだ。

テレサは、屈強な冒険者に慣れ過ぎたのか。泣く純情可憐なセルドラに弱かった。

完全に惚れた弱みになっている自覚がまだ無い辺り、シャア達の事は言えない。

実はテレサは、まだ20歳とエルフにしては幼かったりする。

エルフは、15〜20歳位で見てくれが止まる。

テレサも15歳位の童顔に見えるのだ。

ガドラーが210歳位で、セルドラは19歳位だから、特に子供扱いされ易い。

まぁ、そんな訳で。

テレサの手綱を操って、男…ガドラーは溜息をつくのだった。


一方その頃、王都ギルド長室にて。

「誠かコレは…。」

ギルド長が、伝言文を見ながら狼狽える。

しかし、ギルド長秘書と副ギルド長には彼の動揺は伝わらない。

微かに指先が震えてる以外、どっしりと構えて居た為だから分からなかった様だ。

「はい、何でもシャア殿下…シャア殿が気付いて指摘したそうです。」

「あの方は元々優秀でしたから、やっと落ち着かれて元のシャア様になられたのでしょうね。

彼が気付かなければ、もっと後手に回ってました。」

ほんのり頬を赤らめる秘書をスルーする。

まぁ、年頃の乙女は元が付いても王子に憧れるものだから仕方ない。

「地図と血痕の配置は此方です。」

副ギルド長がギルド長に用紙を差し出す。

細かい現場の点と線を繋げると、見事に五芒星が出来上がり王都を囲む。

「よし、この地に浄化神聖魔法を掛ける依頼を出そう。

神聖魔法の使い手を守護する選抜チームを作るのだ。」

「あの、シャア様にも伝えてあちらの実力者を呼びますか?」

「いや、彼方には迷いの森が有る。

手薄にするのも危険だろう。

堅牢なレデュウ砦を魔族に盗られる方が国防の痛手だよ。

最悪王族だけでもあそこへ避難されられるからな。

呼ぶとしても、数人の実力者だ。

どちらにしろ、どうしてもこちらのメンバーで片付けられ無かったら、だな。」

三人は話を詰めて、ギルドの緊急依頼として話をまとめて行った。


「はぁ、すっかり遅れてしまいました。

テレサさん怒って無いかなぁ?」

気弱な青年セルドラは、既にテレサの尻に敷かれて居る。

実はセルドラも転生者だが、過去の記憶は別の異世界に居た記憶が薄っすらとある位で。

無自覚だし、変な夢見るなぁ程度だから加護も無かったりする。

この無自覚な青年は、これから向かうレデュウ砦村で、加護と覚醒を果たすのだが。

今は馬車の中で、まだ怒りっぽいテレサのご機嫌をどうとろうか?

としか考えて居なかった。


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