曇天に訪れた残念なイケメン5人の黄昏②
リュークがまず切り出した。
「久しぶり…と言うのも可笑しな物だが、トキの魅了が俺達も解けたんだ。」
「そうか…俺はもう、あいつの事は割り切れたから大丈夫だが。
お前ら他の国まで付いて行った分、魅了なのか本当に好きだったのか、迷ったりはしてないか?」
少し心配になって聞いてみる。
俺は前世の記憶フィーバーで、ザックリ切り捨てられたからなんだが。
こいつらは、初恋だろうしキツイだろうな?
「多少はな…でもシラフに段々戻って来るとだな。
何かこう、魅了のせいなのか自分の不甲斐なさなのか。
色々やらかした事自覚しちまってよ。
正直今後何からやるのが良いのか、皆分からなくなっちまったのさ。」
苦笑しながら、ジェイダが肩を竦める。
「まぁ、な。
精神系の魔法は、重ね掛けされるのが一番分かり辛いし厄介だからな。」
「けれど、貴族席も外され、追放され。
我等もシャア殿下同様庶民になってしまったから…少しシャア殿下とも意見を交わして見ようかって話になったのですよ。」
相変わらず生真面目にトリトンが言うので、苦笑してしまった。
「まあ、俺も庶民だからシャアで良い。
殿下は要らないよ。」
結局、皆はお互い殿とか君とか付ける事で落ち着いた。
まあ、イキナリ呼び捨ては無理か。
取り敢えず、俺はぶっちゃける事にした。
「つーかさ、ここは俺の家だが。
ここの周りに有るのは、避難民専用の村だから永住者は基本居無い。
だから少々特殊な例だと冒険者ギルドと農業者ギルドの出張所に住むことになる。
庶民がメインだから、かなり苦労するとは思うけどな。
この周囲の結界を出たら、直ぐ近くに国境沿いの迷いの森が有る。
なのでかなり危険だが、まぁ、お前ら強いから問題なかろう。
もし、居場所が無いなら。
時々沸く高レベルモンスターの退治で、冒険者ギルドに所属するか。
この村で研究して居る農作業の研究作成の手伝いに農業者ギルドに所属するか。
もしくは、スタンピード時期にのみ他から手伝いに来るか…位しかやる事無いけど、この村に試しで住むか?」
彼等は無論飛び付いた。
因みに、戦闘向きでないカシューたんは、農業者ギルドと冒険者ギルドの事務方秘書見たいな事になっていた。
まぁ、カシューたんだしな。
それから、一通り皆に体験入学的な事をさせたらば。
皆冒険者ギルドに所属したのだが。
何故かトリトンが、徹底管理的な農業に目覚めてしまったのは別の話。
やっぱアレか?
マメな奴はマメな作業にハマる的な?
パズルゲームさせたらずっとやってそうなタイプなんだよこいつ。
しかし、ビジュアル的に農作業マジ似合わねえなこいつ。
などと思ったのは秘密だ。
意外な事に、ここに来た五人全員ねをあげなかったどころか、居着いたよ。
だからトキが曇らせ無かったら、それなりに優秀な連中だったって事だろうな。
いや、奴に騙されたからこそ、精神的に成長したのかも知れないな。
さて、俺様も負けてられねぇな!
なんてそんな風に、呑気に考えていた頃、王宮では不穏な動きが水面下で起こって居た。