曇天に訪れた残念なイケメン5人の黄昏①
暫くして、砦館に五人のイケメン集団が訪れた。
それは、懐かしくもメンドクサイ事案だ。
「あー、シャア殿。
急に押し掛けて申し訳ない。
少し我らの話を聞いてはくれまいか?」
やだなぁ、聞きたくないなあ。
可愛いこちゃんの悩みならともかく、野郎共の悩みとかうざそうな案件やだなぁ。
つーかあれだろ?
魅了解けて、身分剥奪され。
肝心のトキにも逃げられ我に返った。
今後の身の振り方が分かんないから、身分剥奪仲間の俺様に頼ってきたとかだろ?
聞かなくても分かるよ。
ここで出来ることは庶民に近い事だ。
ボンボンなこいつらに耐えられるのかは、まぁマジ疑問だわ。
所で、俺はこの転生した異世界ファーブラが、真新しく作成され。
独自の魂だけだと少なすぎるので、交換アイテムよろしく他の異世界から魂を譲り受ける。
新人神の育成システムみたいな物が有るそうな。
パニマ神様は、日本の神と仲良くなった神に教えられたオタク文化も取り入れてみた!的な説明を転生時に聞かされていた事を思い出していた。
あのショタ神様、何かズレてるような気もする。
俺は前世の記憶は、人生落ちぶれない限り封じて貰った。
普通は前世記憶なんて無いしな。
苦労しそうなら、自動的に思い出す取り決めで転生したのだが。
まあ、結局思い出したなぁ。
因みに、俺の遭遇した事は、いわゆる乙女ゲーム的なストーリーなのだそうだ。
俺はトップな攻略者対象で、トキがメインヒロインになる。
エンヴィーはそうすると、悪役令嬢ポジションか?
前世で乙女ゲームどころか、ゲーム事態余りやらない方なので分からないが。
昔乙女ゲームが大好きだった友達から聞かされたうろ覚えな内容によると。
ヒロインは天真爛漫な天然純粋系乙女。
その無垢な無邪気さで、攻略者対象の悩みを解決していく。
その過程で恋に落ちるのだそうだ。
しかし、問題があって。
全ての攻略者対象には婚約者が居る。
又、ヒロインは身分低めの庶民育ちな男爵の妾腹令嬢で、後継者が産まれず。
いきなり年頃になって引き取られたと言う設定だ。
まぁ、学園にねじ込んだのもアレだよな。
良いところのボンボン捕まえて来られたら儲け物程度の考えだったのだろう。
これで、愛され天然な乙女とか、普通無理だろ。
実際は、ぎらつく瞳を隠しながら。
イケメン集団渡り歩く猛者だった。
生粋のボンボン集団は、頭が良くても騙されたことがない。
基本甘やかされた者達が寄り集まっている。
だからこそ、そこに魅了のエッセンスで洗脳した恋愛脳集団の出来上がりだ。
てかさぁ、あのトキも転生者だろ?
しかもお水っぽい前世感覚の持ち主だと思う。
ドコゾノ怪盗を手玉に取る女盗賊みたいな、まさにアレだよ。
前世一応女だったから、そういうタイプの女友達居たんだが。
男=寝床もしくは金蔓感覚で。
側にいると気持ちいいし寂しくないから居るだけ、などとんでもなく割り切った。
まぁ、関わった男の方が可哀相になる事を良く言ってたな。
まあその分、本命は大体若い頃に片付いてるから、二号とか愛人とかにしかなれないらしい。
大体いい男や良い女ってのは、片付くの早いってよく言うしな。
うるせえ悪かったな。
30過ぎても結婚しない出来ないのは、難ありな性格箇所が有るって思われるって知ってたよ。
死んだの32位だったけどな。
自分の思考に沈み掛けてから、頭を振って緑茶を飲んで深呼吸する。
今の俺はまだ17歳だもん!
マダマダイケルモン!
あー、他の攻略者達は、多分転生者では無いと思うよ、何となくだけどね。
「まぁいい、話を聞こう。」
そう言って、俺は5人と対面した。
窓の外は曇天で、荒れそうだなと思った。
[頭脳派青髪の宰相次男、リューク]
ともかく勉強熱心で、成績優秀。
悩みは、頭の悪い兄に勝てないこと。
解決は、リュークの成績に勝ち、多国語の得意なリュークに、外交官として活躍の場を示す。
[脳筋赤髪の王立騎士長三男、ジェイダ]
喧嘩馬鹿で、暑苦しく、自己顕示欲強め。
悩み、自分を認められたいのは、三男で影が薄いから。
訓練に付き合い。
共に修行すると勝手に攻略される。
[魔術至上主義緑髪の魔導師ギルド次男、ヴァイオ]
研究室に籠もって、魔法魔術研究ばかりしている魔術オタク。
悩み、初恋の相手が難しい呪い術で死んでから、研究三昧になった。
研究の手助けと初恋からの解放。
[神の伝道師薄紫髪の神官長四男、トリトン]
神官長は多産系の神に仕えるから、子沢山。
穏やかそうな見た目に反して、トリトンは神経質な性格をしており。
兄弟の血が父以外繋がっておらず。
母の顔を知らない。
(多産系の神官や巫女は、役目として自由に祭後民衆と身体の関係を持ち。
関係を持った相手の子供を引き取り。
神子として育てる風習がある。)
悩みは母を知らないこと。
解決は母を捜し当てる事と、改宗させること。
[図書館の病弱天使
灰髪の王立司書長長男カシュー]
図書館に必ず居る美少年。
年下枠。
本が大好き。
虚弱体質で、色白。
悩みは病弱なこと。
解決は、虚弱病弱を治す薬を発明。
こいつらの紹介はこんなところかな?