おっさんといっしょ
ぱっかぱっかっぱ
ゆれる馬の背で聞く、リズムよく流れる馬の足音。
そよ風がすごく気持ちいいーーー!
いやぁ、本当に助かった。
僕は運がよかったようでたまたまここを通りかかった冒険者のおっさん、いや、おじ様に拾っていただけたのである。
人にあえて安心したのかさっきまでの気持ちが嘘みたいに消えていく。
やばい……眠くなってきた……。
「おい、にーちゃん。大丈夫か? ちゃんと俺の腰つかんでろよ。」
「ふぇっ! ああ、はい! すみませんジェドさん。」
間一髪、おじ様こと『ジェド・マーレイ』さんに起こされる。
赤い鎧のナイスミドルなおっさんの腰より、やっぱりここは綺麗なお姉さんとかがよかったなぁ。
安心したら欲が顔をみせてきた。
「ああ、そういや名前なんだったけ? 坊主はシロノだったけか?」
赤い鎧のナイスミドルなおじ様ことジェドさんが僕に名前を尋ねる。
「はい、城野 努です。名前は努で、城野が苗字です。」
「苗字が先に来るってことは、ジャペンの生まれか?」
なんだそのジャパンみたいな名称。まったくもって僕はそのジャペーンだかジャーだかというところは知らないが適当に返しておこう。
ここのことをよく知らないのだ、下手に出る必要は無い。
「よ、よく分かりましたね!ジェドさんはどこの出身で?」
そこで僕は気づいてしまった。記憶喪失設定にしとけば後々、楽だって。 今気づいたところでもう時既に遅し、なのだが。
「ロングメーリカだ。」
どこだよ。
「へぇー、ロングメーリカですか。」
ロングメーリカってどこだよ。
「ああ、ロングメーリカだ。坊主のそのヘン……変わった服装はジャペンの服か?」
ジェドさんに指摘されて僕は服に目線を落とす。白い生地に黒文字で『働かない』のプリントがされているTシャツと黒いジャージのズボンだ。
ああ、これは……たしかに変かもしれない。
「違います。これは、時代の最先端をいく服です。」
あながち嘘ではないと思うよ、僕は。
そんな無駄話を二人でしているうちに大きな城と町が見えてきた。
あれは城下町というものであろうか?
だとしたらこの服では目立つだろう……、何か考えておかないと。
「おお、そろそろ王都リオスフェクトに着きそうだ。坊主。」
ジェドさんが僕にそう言った。
あのでっかいお城と町は王都なんだ……、城下町と何が違うか分からないけど。
とりあえず、リオスフェクトって長いですね。