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閑話 フレームアウトな人々1

今後、別視点のサブタイトルはフレームアウトな人々と表記していきます。

4話の冒頭部分を改稿しています。

弟視点:正しく脇役Aの弟である。



 僕のにーちゃんは努力の人だ。とにかくド根性の努力の人だ。

 それは主に幼馴染である東雲鷹成氏の為のように見えるし、多分周囲もそう思ってる。

 が、僕は知っている。


 単ににーちゃんは自分の為だけに好き勝手やってるだけである。

 そこに特に献身とかそんなもんはない。そばにいる為になんて殊勝なことなんて考えてない。

 基本、面倒くさいこと回避な芦沢クオリティ。ありえないって。


 実を言うと、にーちゃんが僕を幼馴染弐号機にしようと画策していたことを知っている。

 余計なお世話で迷惑な話である。

 平凡な庶民で平凡なスペックな僕にナニを期待してるんですか。

 にーちゃん、初号機のあんたと同じにしないでください。僕はあくまで凡人な庶民です。



 幼児の頃から知っていた。

 にーちゃんは平凡だの言ってるけど、そのド根性のお蔭でチートかってくらい、とんでもなく優秀な子供になってたってこと。僕がそれに追いつくには、同等かそれ以上のスポコン真っ青なド根性を全力投球しなきゃいけないってこと。


 めんどうくさー。

 僕には普通に努力に根性で十分。そんな情熱ないよー。

 好きなことして遊んでたい。だって幼児だもん。と当時の僕。

 その考えは今も変わっていないというか、強化されたけどね。今は野球に夢中です。勉強ナニソレー。


 幼馴染弐号機になるには、一般庶民には不要のダンスだのマナーだのその他色々必死こいて学ばなきゃいけないもんなんだと僕はにーちゃんを見て思っていた。

 鷹成氏と遊ぶにしても、なんだか黒い厳ついおっちゃん達が必ず周囲にいたし。怖いよ。

 今ならそれはガードで、必要なことだったんだってわかるけど、幼児にそんなもんわかんないもんね。

 にーちゃんは東雲家に遊びに行く時に、僕を連れて行こうと何度かしたけど拒否。断固拒否。

 なんであんな豪邸に平気で行けるのかわからないね。僕はしがない小心者の庶民だから怖くて行けるかっての。


 小学校に入学してからその判断は間違ってなかったと確信した。

 うもう、鷹成氏の存在感がぱねぇ。

 いつも一緒にいるにーちゃんも大概だけど、そんなもん霞む霞む。

 にーちゃんが色々画策して動いていたせいで、出る杭が打たれるといったことはなかったけど、とにかく突出して目立つ。異物扱いされなくて良かったよなーとかにーちゃんが言ってたけど、その辺は意味がよく分からなかったけど。

 にーちゃんが常に隣にいるせいで、全然親しくない僕にまで影響が及んだ。

 主に年上の子供は僕と親しくなれば、鷹成氏と近づけるかもしれないって考えたみたい。個人情報を根掘り葉掘り聞き出そうとしてたしね。

 だけど僕は鷹成氏には近寄らないようにしていたから「僕は東雲君と幼馴染でも友達でもないんで一切知りません。幼馴染やってるのは二番目の兄だけだし、家でそういった事は話さないので知りません」

 心底困った顏で言ってやったけど。

 それを聞いたにーちゃんがイイ笑顔で「鉄槌!制裁!」と叫んでカッ飛んで行ったけど。僕は何も知りません。

 それを聞いた一番上の兄ちゃんが「(東雲鷹成)回避は正義」とつぶやいたけど。まったく同意だけど。兄ちゃんもそれなりに影響を受けていたらしいからね。

 だからといって、にーちゃんに鷹成氏と付き合うの止めろとかは一切言わない。迷惑とか言ったこともない。

 そんなこと言う権利はないことも確かだけど、何よりにーちゃんが楽しそうにしてるからね。

 とにかく僕らが接触しなきゃいいだけだし。逃げ足だけは早いよ?

 ただ、誘拐未遂事件とかに巻き込まれた時には流石に心配になったけど、本人がまた奮起して東雲家護衛軍団に弟子入りしちゃったからね。あれもまた嬉々としてたなあ。

「男に生まれたからには強く頼れる男に!!モテ男に!!」

 ……うん。やっぱり純粋に自分の為だった。ブレテなくて大好きだよにーちゃん。それでこそあんただ。


 にーちゃんが中学に入ってようやく僕の周辺も完全に落ち着いた感じ。それには鷹成氏が別の中学に行った影響もあったと思う。いると悪目立ちがすごい。

 もっともにーちゃんそのものは相変わらずで、地味なくせにあっちこっち首を突っ込んで地味に有名人になってた。

 能力としては上の部類に楽々入るから、鷹成氏がいなくなれば注目されるんじゃないかと思ってけど、案外そうでもなかったね。地味。地味に有名って、なんだそれ。

 接触回避も楽になったなーと思ったら、たまに鷹成氏がくるんだよねー……。

 にーちゃんと勉強しに。いや、勉強させる為に。

 大抵は東雲宅でなんだけど、たまに家に来ることもあったのさ。

 で、一度巻き込まれて一緒に勉強させられたんだけど……。鬼がいたよ、鬼が!

 横から見たにーちゃん達の問題はちんぷんかんぷんだったけど、とんでもなく難しい問題なんだってことはわかった。そんで、東雲氏は難なくクリアしていて、にーちゃんが頭ひねってやってることも多々あった。

 そうなると、もービシバシ絞る絞る。僕なんかこんなの逃げ出したくなるけど、にーちゃんは文句言ったり茶々入れたり鼻歌歌ったりして平気でいるんだよね。

 そんでしばらくすればきちんと理解して解いていってるみたい。

 ある日兄ちゃんが問題見て目が点になって、果ては呆れた顔してた。「私立中学こえぇ」とぼそっと言ってた。

 そーなんだ。じゃあ僕は公立にしとく。怖いの嫌だから。


 ああ、鷹成氏に関しては弊害ばかりじゃなかったよ、僕的には。

 本当だったら成績の良いにーちゃんと比較されるでしょ? だけど鷹成氏が強烈すぎて、にーちゃんが実は優秀という事実が影に隠れてた。鷹成氏のお守役認識が先に立つらしいよ。

 それは兄ちゃんも同じだったみたいで、その辺りは一緒にありがとうと見えない絶対安全地帯からなむなむと拝んでた。

 ちなみに僕はそんなに成績悪くない。野球ばっかしてるけど、ポイントポイントの大事な所をにーちゃんが解りやすく叩き込んでくれるから努力は最小限で済んでる。なむなむ。

 兄ちゃんは面倒くさがって教えてくれないけど。ケチ。


 

 で、あの二人は中学で疎遠になるかと思いきや全然ならなかった。にーちゃんはちょっと期待してたみたいだけど甘いねー。

 東雲家でなにかあれば拉致られてたし。「庶民に社交だの関係ねーッ。勘弁しろー!!」とかにーちゃん叫んでたけどガン無視ですね、わかります。幼馴染の両親にまで気に入られちゃあ逃げようがないよ。自業自得だと思うんだけど。

 そんだけ鷹成氏を気に入ってもいるんだよね、にーちゃんは。一緒にいると面倒事多いけど面白いしとか思っていそう。あと一回懐に入れちゃったもんは突き放せないっていうのもあるよね。

 まあ頑張れー。

 結局、高校は約束させられてた通り一緒の学校に入学したし。

 頑張れー。

 兄ちゃんと一緒に巻き込まれない絶対の安全地帯から見守っとくから。うん。

 いい加減、ただの幼馴染だし学生の間だけだしとか言ってないで、周囲から固められてきてるって気がついたほうがいいと思うよ。うん。どう見ても最有力の腹心候補だから。

 世界一周貧乏旅行とか言ってる場合じゃないと思うよ。

 うん。頑張れにーちゃん。

 そうは言っても絶対、好き勝手にどっかカッ飛んでいくんだろうけどね。


急遽補足のために弟君視点を入れました。

面倒くさいこと絶対回避。興味持ったら全力投球が芦沢兄弟クオリティ。

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