紅
今年のでいごは満開だった。
そういえば、この濃い朱色を摘んでは口に咥え、彼と口紅ごっこしてたっけ。でもその数日後、彼は急に引越して行った。そんな彼が島に戻ってくると知った時、どれだけ嬉しかったか。また彼に会えると思うだけで、どれだけ仕事に精が出たか。そして仕事場に彼が脚を運んできた時、どれだけ切なかったか。
そんな私は今、彼の元へと嫁いでいくお嫁さんの口紅を塗っている。でいごの花言葉も噛み締めながら。
花言葉は「夢」「童心」。
沖縄の県花であるでいごの満開は古来から台風の当たり年として知られ、不吉の象徴だそうです。