第8話 推しとモニョモニョ??
帰ってきたら、なんかガタゴト聞こえたけど……気にしないでおこう。『何か』くらいは、部屋にいるふたりの会話以上があったのは歴然。
別に、僕は衆道を嫌っているわけじゃないし、惹かれ合っちゃう状況になればもつれ込むのも云々。
何故なら、僕も僕で外見はともかく……マリアーノちゃんへは心身ともに陶酔し切っているからね!!
「戻りましたわ」
ひと呼吸置き、わざとマリアーノちゃんが中へ声をかけた。たしか、アサシンのスキルがあるから……ちょこっと気遣ったんだろうね? 多分だけど。
「おう、おかえり……マジでいっぱい買ってきたんだな」
ちょっと髪の乱れがあった、アツシの見た目はスルーしておこう。奥にはホムンクルス化したナルディアがいるだろうし。とりあえず、袋は借りたから返さなきゃだし。マリアーノちゃんは僕たちの分は向こうで使うからと……勇者の如く、クローゼットへと行ってしまった。ナルディアがベッドにはいるのに、気にしないだなんて……素敵過ぎる!!
「うん。世話になるし、僕たちのは自分で選んだけど……こう言うのでよかった??」
「あ、ああ。いつものメーカーのもだけど、ちょい高めのとかまであんじゃん。サンキュー」
「おやすい御用だよ。……ところで、ナルディアと何かしてたのかい?」
「……や、その」
「ふふ。おじさんがからかうのはこのくらいにしておこうか。じゃ、魔法使いとしては不備がないか調べさせてほしい」
「……それはたしかに」
やっぱり、『何が』をしようとしていたんだね。人間とホムンクルス。ましてや、同性体では種交換出来ないから……基本的、愉しむだけとされているけど。
賢者とか名乗ってた頃の、簡単な医学知識だけだけどね? 部屋の奥に行けば、まだマリアーノちゃんは帰ってきてなかったけど……ベッドの上には。
「どーも。雰囲気読んでくれたのに、マリアーノは容赦ないね」
多分、からかいついでに手痛い言葉でもかけたのだろうか。僕とマリアーノちゃんはそんな関係……じゃないけど、自分たちを差し置きするのには怒ったのかな?? 関係性としては、マリアーノちゃんはアツシの所有物からの魂宿りだったし……あれ、なんかモヤモヤが酷い。
一旦、横に避けておこう。
とにかく、勇ましい青年となったナルディアのホムンクルス。魔力感知としては、可動域とやらに問題は無さそうだ。
「……うん。自力での肉体操作は申し分ない。僕が魔力で刺激したおかげで、本来の力もきちんと作動しているね」
「そりゃ良かった。マスターと居られる時間はいっしょに居たいしね?」
「うん?」
「俺らは人間じゃないし、同居人にはなれてもそれ以上はなれないからさ」
「……先にその覚悟を主さまにお伝えするとは」
マリアーノちゃんが戻ってきたけど、呆れたと言うよりも苦笑いしていた。たしかに、人間とそうでない者同士の『恋愛』とやらに終わりが来るのは必然。
神話では本物の人間に転身させたとの伝説もあるけど……どうしよう。
僕、もしマリアーノちゃんが迷惑でなければ、その研究しようかな!!? 必要以上に好意的ってことだから……彼もそうだと思いたい!!
アツシは恩人だから、もちろん協力してあげたいよ!!
とりあえず……提案の前に、マリアーノちゃんが食べたいって言ったギョーザ以外にも冷凍食品でご飯を作ることになった。
次回はまた明日〜




