第4話 最強に可愛い
「アツシ!! この子誰!!?」
ご飯が出来るまで、僕が出てきた『クローゼット』の中にあるぬいぐるみだったりねんどろいどを整頓させてもらってたんだけど!!
僕の心をときめかせてくれた子がいたんだ!! 肩まである黒のストレート。足し毛なのか銀の房がところどころ煌びやかで。目は真紅。ふわっとした印象の服も薔薇色や漆黒を合わせたお上品のなもの!!
肌は真っ白とか、どこのご令嬢かと思うくらいの愛らしさ!! これは……これは、アツシが言ってた『推し』と言うものへの感情なのだろうか!!
いつもなら意気消沈しがちな僕が、珍しいくらいに興奮しているからね!!
「あぁ。それ、もしかして……マリアーノ?」
「この子はマリアーノとおっしゃるのかい!?」
「興奮し過ぎ。……けど、それ女の子に見えるけど。男キャラだぜ? クロニクルだと、アサシンとかスナイパーって職業につくから変装得意って設定」
「…………男の子?」
「読みは一緒だけど、男の娘と書いて男の娘って言われてるタイプ。本名はマルスって……聞いてねぇな」
男なのに、女性へ完璧になりきることが可能。
たしかに、僕のいた世界ではそう言う立ち回りの男もいるのは情報としては知っていた。だけどだけど!! ねんどろいどのマリアーノちゃんはそれを微塵も表に出していないくらいに愛らしいが妖艶さも兼ね備えている!!
『ははは。マリアーノを所望とは、なかなかに女児への憧れがあったのでしょう』
「ああ、可愛いもの好き……ならか」
先に付喪神化したナルディアは、アツシの肩に乗って調理の様子を見てたらしい。もう出来たのか、鼻をくすぐる良い匂いがしてきた。
マリアーノちゃんにも魂宿りの素質はあったけど、先にお腹が減っていたから目立つところに置いてあげることにした。
「冷凍チャーハンくらいしかなかったけど。あと、インスタントのスープも適当」
「え? 冷凍……って、魔法使わなくても解凍出来るのかい??」
「んーまあ。色々文明ってのがあるから、こっちじゃ魔法なくても出来るってわけ。ユディさんが使ったお風呂もそんなの」
「そして、マリアーノちゃんのような形代も……」
「あれもナルディアぽくなってんの?」
「可能性は大いにあるね! ……これは、穀物??」
皿と椀の中身は見たけど……やはり、異なる世界とやらにきたせいか食事も色々違うようだ。麦粥ではないようだけど、刻んだ具材が入っているのに美味しそうだ!!
「米って食いもん。ま、スプーンで食べれるから。食ってみろよ」
「そうだね。…………おお! 香ばしくて、適度な味わい!!」
あらかじめ調理したのを溶かしただけで、この味わい?? 兵糧にしても十分に美味しいじゃないか?? 気力が少し落ち着くと、僕は夢中になってスプーンを動かしていく!
『うふふ。主さまをお連れして正解だったわ』
スープも美味しいと飲んでいたら、耳に届いた甘い菓子のような女の子の声?? 振り返れば、まだ魔力で刺激していないのに……マリアーノちゃんを置いたベッドで彼女が足組をしながら笑いかけてくれてた??




