第37話 次の押し活はなにを?
「……スマホで勉強はしたけど。凄いね?」
療養をしつつも、毎日僕なりの『推し活』な生活をしていくこと……約半月。今日は今日で、アツシの提案で家やスタジオに行くじゃなく、『イベント』とやらに向かうことになった。
アツシと僕が推している『スカベンジャー・クロニクル』の即売会というイベントらしい。スマホを使ってたくさんマリアーノちゃんを含めるクロニクルの情報を検索したんだ。
スマホの方は僕がきちんとSIMカードとやらを購入して、身分証は……魔法で事前にちょちょいといじったけど。(アツシの親戚のお兄さんとやらでごまかして)とりあえず、アツシと少し緊張しながらも携帯使用契約とやらが出来て……毎日、毎日マリアーノちゃんの麗しい絵をたくさん見れているんだ。あんまりやり過ぎると、僕のマリアーノちゃんの方が怒るので、ほどほどに。
だけど今日は、マリアーノちゃんやナルディアが正式衣装をまとっていてもおかしくないイベントに来ている。『同人誌即売会』というきちんとした催し物らしい。
スタジオとかの建物よりも大きいとは聞いてたけど……大きすぎないかな? 僕の感覚だと、劇場くらいありそう。
「マリアーノとかナルが衣装来てても文句ないとこだから、大丈夫」
今日のために、アツシと協力して『コスプレ衣装』というものをふたりで仕上げたんだよね。僕とアツシは似合わないから普通の格好。マリアーノちゃんたちはホムンクルス化したとはいえ、本家本元のキャラクターたち。それに相応しい衣装ということで……お金は僕が、アツシは衣装を仕立てるところをメインに。ふたりで共同作業したんだよね? 小さくせずに、ちゃんと型紙から順に。
「同人誌って、いわば『本』だよね? この衣装の撮影スペースまであるんだ?」
「即売会だと着てくるレイヤーも多いからな? むしろ、見せたい気満々だし。入場料がチップ代わりかな?」
「あ、それで」
「昔はややこしかったけど、今は一律でそんなシステムだしな。……ところで」
「ん?」
入場する前に、僕とマリアーノちゃんを交互に見てから、アツシはぼそっと言い出した。
「……体液交換ってだけで、これ以上若くならねぇよな? 身分証の写真いじくるの大変だろ?」
「あ。あぁ~……多分、僕が治療方面で気を付けていれば?」
そう。さっきからちらちらと視線が集まっている中に、僕に向けられているのもさすがにわかってきた。四十くらいだった僕は、ここ半月でほぼ毎日……マリアーノちゃんと褥を共にしているから、さ?
体液交換が頻繁過ぎて、身体の不調どころか『一定の若返り』『不老』が順調に進んでしまっているんだよね? アツシから見ても、少し年上の親戚のお兄さんで通ったのはそのせいもある。スマホの体年齢とやらで検索してみたら、今は二十八歳くらいとかなり若返ってしまった。
なので、外国人設定にしてもそれなりに見目がいいのか。……外だとすごく見られてしまう。マリアーノちゃんといっしょだと男女のカップル扱いされるから、いつもいっしょに行動してます。軟派な思考の女性は昔のことを思い出すから嫌だしね。……もしかして、僕って顔がいいのかな??
「ま、いいけど。今日ははぐれる可能性もあるから。マリアーノ、頼んだぜ?」
「お任せくださいましな」
「……一応、一番年上なんだけど」
「ユディさんは守られとけ」
「ぇえ?」
優柔不断とかではないつもりだけど、体術もできなくないのに? そんなに頼りないのかな??
とりあえず、入場門をくぐるときは料金といっしょに身分証明書のカードをきちんと受付の人に見せた。マリアーノちゃんとナルディアのも偽名書はきちんと用意済みだよ。僕の魔法の精度がいいのか、一般人にはスルーって……色々チートというのが出来てしまってたね?
次回はまた明日〜




