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トリップしてきた元賢者は推し活に忙しい〜魔法提供は我が最推しへの貢物也〜  作者: 櫛田こころ


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第36話 賢者と元賢者

「え? 昨日弟子が来たの?」

「うん。お金届けに来た以外も、お茶の相手になってくれたけど」



 いつもは別の若手に頼むのに、『現役賢者』が届けに来てくれるとは思わなかったなあ……。僕が意外と元気になっていることと、マリアーノちゃんの説明を濁すのはちょっと大変だったが。


 相変わらず、僕を気遣ってくれるところはそのままだった。マリアーノちゃん自身がホムンクルス化している精霊だと言うのには気づいてなかったみたいだけど……。賢者、譲るの早かったかな? それか、単に精神面で疲れていたのかもしれない。


 けどまあ、僕の体調が少し落ち着いたように見えたのには、安心したような表情も見せてくれたし……現王からの通達とかもなかったから、無理に城とか国のことを聞かないでおく。心配はしても、僕は『元』賢者だからね?



「向こうには、今ユディさんとマリアーノ以外誰もいない家だっけ? そこにわざわざ?」

「僕が賢者の仕事に疲れてたから、いろいろ手助けしてくれたんだよ。昨日来たギルディスが後任には適任かと思って、陛下には称号のことをお願いしたんだ」

「けどまあ。生きていくには金は必要だし、悪用なんてご法度だから……少しの対策はしたと」

「それ以外は、現役のギルディスたちに任せた方がいいからね? 必要以上に口出ししたら、隠居の意味がない」

「……ユディさん。のんびりに見えて、やっぱり仕事してた人なんだな?」

「アツシのとここなきゃ、こんな自分らしくなんて出来なかったよ」



 今はお昼ご飯を食べ終え、洗い物を分担。マリアーノちゃんたちはテーブルの上とか掃除機で部屋を掃除したりしている。今日は今日で、アツシは夕方に『実習』というものがあるから僕がこっちでお留守番しなくちゃいけない。ナルディアが強くても、ホムンクルスとして何かがあってはいけないからね? そんなに長くないらしいし、三人でご飯を食べるのもだいぶ慣れてきた。このあと、買い物にも行くから冷凍食品以外の食材も最近買うようにしているし、自炊も少しずつ皆でがんばっているところだ。


 アツシが先に出発し、僕らは買い物を終えてそれぞれの『冷蔵庫』に食材を入れて行ったんだけど。ナルディアが突然、『ごめん』と言い出したんだ。



「その……非常に言いにくいんだけど」

「あ、うん?」

「……篤嗣帰るまで、向こうに居てもらっていい?」

「うん?」

「まあ、そういうことでしたら。わたくしが気配を気にしておくので問題なく。……存分に?」

「うん。ありがとう」

「??」



 ちょっと意味が分からなかったけど、マリアーノちゃんに召喚扉の方へ引きずられてしまってから……ナルディアを見ても苦笑いするだけだったし、さっぱり。


 ただ、僕がベッドに横になるよう引きずられてからは、流石に理解しました。



「……ちょい、溜まっていたんだね」

「仕方がありませんもの。篤嗣様のお仕事は主さまと違ってほとんど毎日ですから」

「……そこで、僕たちがいっしょに居ても発散できないしね。二時間くらいで様子見してもらっていい?」

「もちろんですわぁ。ですから、わたくしたちも」

「……あとでまた、たくさんスるのに?」

「前菜は軽いと誰も決めていませんわ」

「……そうでした」



 軽いリップノイズを立てるキスを繰り返し、僕は今日もマリアーノちゃんに捕食される側になってしまう。けど、この行為と体液交換が意外に体調を良くしているのに……ギルディスあたり、気づいていないとすると。あの子たちの方でも何かあったのだろうか? 



「ふふ。考え事、昨日のお弟子さんのことですの?」



 半分以上服を脱がされ……赤い痕をいくつか残すのを楽しんでいたようだけど。どうやら、僕の思考を読んだかのように、『面白くない』と顔を寄せてきた。怒ってはいないようでも、行為に集中できないのはお互いによくないからね?



「自分勝手で隠居したけど。今を楽しんでいいのかなって……さ。賢者って仕事、思いのほか辛いものもあるの教えてなかったし」

「……主さまはご自分を大切にしてもいいんですのよ?」

「それはそうだけど。……気になると、どうもね? せめて、明日城に手紙だけは書くよ。だから」



 二時間程度だけど、その時間は僕が君に尽くしたい。


 それをはっきり言えば、マリアーノちゃんはにっこり笑顔になって自分がベッドの上に横たわってくれた。僕は重くならないように覆いかぶさり、出来るだけ深い口づけから始めていく。しっとり気持ちのいいキスはいつまでも貪っていたいけど、時間が限られているので次へ次へと愛撫も進めた。


 そして、本当に二時間後にマリアーノちゃんが様子見したら……ナルディアは『ひとり』でそういうことをしていた形跡があったようです。

次回はまた明日〜

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