第29話 熱きコラボカフェでの
「「「「せーの!!」」」」
僕らはまず、いくつかメニューから注文したのを待っていたけれど……先に飲み物が来て、写真と忖度つかないくらいの出来に少し驚いた。こういうのって、たしか写真は美しく仕上げて、実際はあんまりっていうのが向こうでもちょくちょくあったから。向こうには当然写真も精巧な絵もなくて、ただの文字の羅列だけどね?
とりあえず、店員さんが置いてってくれた『アクリルコースター』とやらは薄いビニールの袋に入っていた。たしかにこれなら、店側もなにの商品が客に行くかわからないシステムなのはお面白いね?
けど、それぞれ取り出すのは面白くないからと、アツシの提案で裏返していたのを一斉に表に向けたんだ。これは僕らだけじゃなく、ほかの団体客の席でも似たことをしていたからね? 僕がおじさんでも浮かないのはうれしい!!
「……あ~、まあ」
「あー、違った」
「わたくしは、希望通りですわ」
「……マリアーノちゃんじゃない!!」
表に返してみたけれど、アツシが言ったように希望通りのキャラクターが来るわけではないから……僕のコースターは『ナルディア』だったからアツシに渡してあげた。交換よりも、僕はマリアーノちゃんなら複数出ていいって感じだから、お金はそっちに使うことは伝達済みだ。
ちなみに、マリアーノちゃんの希望はナビキャラの『イバラキ』だったみたい。ゲーム内のストーリー、昨日は続きから遊んでいないから帰ってからかな? いや、明日かな? ここが終わっったら外も暗くなるだろうし……そうしたら、ゲームでは体感できない『お愉しみ』があるからね!! それは、もちろん夜の褥だ。
ともあれ、先に来た飲み物をひと口飲んだけど、マリアーノちゃんをイメージしたという赤い飲み物はイチゴの味付けに、しゅわっとした感覚が面白い。
「ユディ様、炭酸は大丈夫ですか?」
「あ、うん。これ、そういう仕組みなんだ……」
「向こうじゃ、こんなのないのか?」
「エールはあるけど、泡の感じが全然」
「苦手じゃなきゃ、それいくつか頼めば? コースターは結局どのメニューにも付いてくるから、それ限定じゃなくてもいいし」
「いや! この味付けも好きだから! 飲み物はこれ一択!!」
「「……マリアーノ最推し、ブレないな」」
「ふふ。うれしゅうございますわ」
食事もなかなかに美味しかったけれど、コースターはアツシたちも含めて『マリアーノちゃん』がなかなか登場してこない。散財はたしかに覚悟していたくらい使っているけど、下げてもらった食器に値するくらいコースターが軽く山になってきた。持ち帰るのは楽だけど……ちらっと、こっちを見てくる客がいるのがさっきから気になるんだよね?
「……アツシ。さっきからほかの人がちらちら見てくるんだけど?」
「ああ。交換したいんじゃね? 俺はナル含めて高レアのはあるからいいけど、他は別に。マリアーノ目指しで今はユディさん手伝ってるしな」
「え、交換してもらえるの?」
「ここは禁止じゃないらしいし。ユディさんが引いた分なら、交換希望出してもいいんじゃ?」
「けど……できれば、自分で引きたい!!」
「わかる! 俺もそれは非常にわかる!! だから、それは最後の手段だよな!!」
「そうだね!!」
「あ、俺出たよ」
「「嘘!!?」」
僕とアツシが熱く語り合っていたら、ナルディアがマリアーノちゃんのコースターを引き当てたようで……見せてもらうと、ゲームの登場シーンにあったあの絵がちゃんと描かれていた。
「ほい、ユディさん」
「……ありがと~」
「あら、わたくしも」
「えぇ!?」
そしてこのあと、先に追加で注文していたご飯で僕も無事にマリアーノちゃんのコースターを引き当てて!! 感無量になっていると、ほかの席のお兄さんたちがこっちに来たんだよね??
「えーと、お兄さん」
「俺たちマリアーノばっかで、良かったらほかの譲渡希望したいんだけど……ダメかな? このコースター集めて痛バ作る人もいるし、いい提案だと思うんだけれど」
「いたば?」
「あ、外人さんだと知らない人もいるしな? ユディさん、マリアーノのコースターをうまく見せる鞄作れるんだよ。せっかくだし、ほかのコースターと交換してもらったら?」
「! なら是非!!」
マリアーノちゃんのコースターをたくさんもらえるのは、これ以上にない幸福だからね!!
とりあえず、数が数なのとほかの席の人とも交換できたので……合計、僕は二十五枚ものマリアーノちゃんのコースターをゲット出来てしまった。
「うふふ。わたくしの痛バで撮影も面白そうですわね」
「俺もナルディアのコースターで同じことしたし、そうすっか」
なので、次はグッズづくりとやらをアツシから教わることになった。
次回はまた明日〜




