第28話 次の推し活『コラボカフェ』へ
ある程度、撮影会もひと段落したら……アツシが行きたい場所があると言って、ケースは駅前のコインロッカーという場所で厳重に保管した。
僕が魔法で小さくすることもできると知っているのに、他人に頼り過ぎないのはアツシのいいところだと思う。撮影会の時は結構、はめを外していたけれどね。
「腹ごしらえついで、『コラボカフェ』に行こうと思ってたんだ。枠の予約はしてある」
「今度は、僕もちゃんと払うから」
「それは、な。というか、今から行く場所だと俺もどれだけ散財すっかわかんないんだよな?」
「散財? カフェに行くだけで??」
「見に行けばわかる」
いまいちわかっていない僕には普段着に近い服装のマリアーノちゃんが腕に絡んではいるけど……周りの視線が痛い気がする。この前のナンパ事件にならないか若干ひやひやしてたが、アツシとナルディアもいっしょだから……多分大丈夫かな?
でも、駅からしばらく歩いたところでアツシの案内が終わったけど、入り口を見て大声を出さなかった僕は自分をほめたかったよ!!
「スカベンジャー・クロニクル……の絵がたくさん」
「イラストもだけど、パネルもな。今、期間限定でこーゆー『コラボ』ってのをしてるわけ」
「すごい……」
向こうの世界じゃ、祭りはあってもこんな身近で催し物をする考え……ギルドとかでも多分ないはず? 教会等が聖歌隊の披露をするのも決まった時期だし、あとは僕が隠居した先はのんびり生活が出来るだけの場所だからね? こんな、ド派手とも言える装飾の強い場所は王都にもなかったと思う。
『あ、俺みっけ』
『わたくしのもありますわ』
キャラクター……からのホムンクルスになったふたりは、自分のパネルというのを見て少しはしゃいでいたけど。周りからは『凄い……精密』『レイヤーの技術凄くない?』とかのこそこそ声が聞こえてるから、本人じゃないけど模した存在には認知されそうな感じ?
撮影という方法でいろんなお祭りに出場する人間がいるのはアツシに教わったから、マリアーノちゃんたちもその部類に思われているのかな。それなら、特に視線を集めても仕様がないしね。
「四名。15時に予約入れてた者ですが」
「はーい。四名様、カフェにダイブしてださーい」
店員とやらに予約確認したあとは、なかなかに愉快な案内文句を言われたけれど。少しばかり、店員側にも趣向を凝らしているからか、こういう遊び心が強いようだ。
席の色はほとんどブルーに統一されているけれど、壁にはキャラクターたちの様々なイラストが描かれていて……あの召喚扉をくぐったかのような錯覚に陥りそうだったよ。これはこれで面白いね?
「カフェだから、スイーツ以外に飲み物も結構ある。飯系もあるらしいけど……ユディさん頼んでいいか?」
「さっきの散財する理由だっけ? ご飯たくさん食べたいだけじゃないんだよね?」
「そ。頼んだ商品に、ノベル……いや、キャラクターが描かれたコースターが付属されてくんだが。必ずしも、商品イメージに使ったキャラクターとかじゃない。ランダムなんだ。そーゆーのが、ノベルティって商品の商法だから違法じゃない」
「へぇ? 運気が試されそうだね」
「ユディ様でしたら、すぐにわたくしのを当ててしまいそうですわ」
「そんなことないと思うけど」
マリアーノちゃんの言葉があれど、周りを見る限りアツシのぼやきのように頑張っている客が多いからね? とりあえずは、撮影で結構お腹空いたから色々頼むことになったよ。
次回はまた明日〜




