第24話 お互いの生活水準を
クローゼットの扉を叩いても、今日は返事がなかった。
アツシの今日の用事は特に聞いていないし、入ってもいいか悩んだけど……マリアーノちゃんが扉に耳を当てたら、『あら』と声を出した。
「熟睡されてますわ」
「……どうしようか」
「食事はこちらでも保管してますから、そちらは問題ありませんけれど」
どんな状態で寝ているかは、マリアーノちゃんの反応から察するに『致したあと』とやらだろう。度胸のある人間だったら、気にせずにズカズカ入り込むけど……僕にはそんなものありません。
だけど、せっかく仲良くなってきたし、ナルディアの肉体について話し合ったかどうかの結果も聞きたい。それについて、僕で協力出来ることは元賢者としてもしてあげたいからね。
なので。
「……おはよう」
二人よりは大人の僕がしゃきっとしなくてどうする。一応声だけかけて扉を開ければ……。
「「くかー……」」
と、マリアーノちゃんが言っていたように『熟睡』していた。あられもない格好……では意外となっておらず、服は寝巻きをちゃんと着てたよ。
ただ、臭いだけはどうしようもないのでそのままだったけど。
「……これなら、僕とマリアーノちゃんで手分けしてお風呂の準備とかしようか?」
「はい。わたくしはゴミの片付けを致しますわ」
昨日の晩に、お風呂の使い方を詳しく教わったり、例の入浴剤とやらの場所も教わった。この臭いだと寝ている二人も入った方がいいだろう。
時計とやらを確認したら、『5:50』とはあったけど。日が出ているし、起きててもおかしくない時間帯だとは思うんだよね? 僕はこっちの識字にもうまく順応しているようだから、あの召喚扉を潜ると色々付与されているのかも。
ピリリリリ。
チャララン。
お風呂の準備が出来た音のあとに、アツシの枕元から何かが鳴った。見てみると、アツシ専用のスマホが震えたり光ったりしている?? 何かのアラーム……と言うので、起きるために設定したのかな。
くらい、昨日ほんの少し、ゲームで使わせてもらった知識を寄せ集めただけの予測だけど。
「……ぁ。……んー? 今風呂の音?? ナル、入れた??」
「おはよう、アツシ。それは僕だよ。向こうではまだお風呂作ってないから、調べるのも兼ねて借りたよ」
「ふぁ……。ユディさんか、おぁよ……。え? 早くね?」
「僕としては普通だけど?」
「……ま、いいや。ってなんかゴソゴソうるさいのは?」
「わたくしですわ。着替えられたのはいいですけれど。……ゴミはきちんとしてくださいまし。今日は燃えるゴミの日でしたか?」
「あ、うん。はい」
「……ふぇ、朝ぁ?」
ナルディアも起きたので、交代でお風呂に入ろうにも……と。四人だと時間がかかるので、ホムンクルス側は元のねんどろいどでパートナーと入ることになり。
先にアツシたちが入ったあとに、彼らがご飯を作ってくれることになったよ。僕らがゆっくり入れるようにだって。
『うふふ。向こうでお風呂……作りませんか? ご一緒にちゃんと入れるように』
「あ、うん。のぼせないように気をつけるけど」
どっちが先に手を出してしまうか、とかあるけど。まあ、その時はその時でしかない。ただし、節度を持って行為については制限を設けようかな……。
じゃないと、ゲーム以外のマリアーノちゃんとの推し活が出来ないしね! まだ具体的に写真撮影以外決めてないけど……。
次回はまた明日〜




