第17話 趣味共感が早いかも
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変なオッサンが昨日来た。
顔はイケメンだけど、世間知らず……どころか、ラノベであるような異世界トリップで賃貸アパートのクローゼットから出てきた。
まあ好みの顔立ちだけど、俺年上よりはタメくらいに近い年代じゃないとムラってこないんだよな? 俺のことはどうでもいいとして。
ただ、すっげー臭かったから、介護の授業の一環も兼ねて風呂に入れてやった。シェーバーの使い方も教えれば、どんどんイケオジになってく。美中年ってやつ? 見る分には好きだけど……。
そんなオッサンである、ユディさんが俺んとこのぬい活で奇跡を起こしてくれた。手作りじゃなく、観賞用に使ってたねんどろいどの最推しである『ナルディア』を貸してあげてたんだけど。
もちぬいとかのぬいにも興味持ってたし、風呂でなら……と貸したら、魔法を使ったとかで動き出してた!? 何回か目擦ったけど……現実だった。CVの声優の声まんまで動いているし、笑いかけてくれてた?!
条件があるらしい。
物を大事にする労りの心に反応して、魂の核と呼ばれる『魂宿り』ってのがナルディアにはあったらしい。それを魔力っつーので刺激したら、『付喪化』とかで動き出したんだと。
その後すぐに、ユディさんの最推しになったマリアーノの誘導だったのはわかったけどな? まだ四十代くらいなのに、病弱理由で終活しかけてたユディさんに元気になってもらいたいからって……マリアーノのねんどろいどとその核。あと、向こうで召喚したらしい精霊(?)も合わさって。
ユディさんはノンケではなく、マリアーノとリバップルになった。お似合いのカップルだから……俺もナルとそんなだし、いいけどね!! 部屋は別だし、共用スペースで会話楽しむのはむしろいいし!!
「……まさか、最推しとワンナイ以上の関係とかあり得る??」
とか、口に出るくらい……まあ、俺も昨夜ネコになったりタチにもなってた。なんつーか、二次創作サイトや薄い本だけじゃ……物足りないのは仕方なくても。
風俗関連なんか、大学の単位落としかねないし……ある意味で、ユディさんには感謝だ。マリアーノはほんと、ナルディアとは好敵手って扱いで撮影用に買っただけなのに……ちゃんと手縫いの服も作ってて良かったぜ。
今三人で撮影会してるの楽しいだろうなと想像するしかねぇけど……今後、ナルとどうパートナーとして生活するかが問題になってくるだろうし。介護士の資格取って、ちゃんと養うとか考えるくらいテンション高かった!
(……それに、ホムンクルス化になってんの? ユディさんがどーにかするとか言ってたけど)
ナルが加齢しないままの状況は、これから先ではよくない。終生まで共にいるなら……ナルを人間に転身させるのもちゃんと考えなきゃだよな?
創作物だから、素体がそのままだと……最後泣くのは俺じゃなくてナルディア本人だ。だから、出る前に話し聞いたときは俺も頷いたけどさ。
撮影会しながら、そんな会話でもしてんのかな? 戻りたいけど、今日講義が五限まであんだよ!! ちくしょー!! 終わったらバイトだしぃい!
今日はもう一話あり




