第16話 ぬいぬいまみれの撮影会①
今日アツシはダイガクに行かなくてはいけないらしく、僕に留守を頼みたいそうだ。ナルディアでも流石に連れて行くことが出来ないから、軽く部屋の片付けをした後……小さな銀の箱のようなものを渡された。
「スマホは無理だけど。それ、ちょっと古いデジカメだから。マリアーノたちとぬいで『撮影会』してみなよ。結構面白いから」
「んー? このボタンを押せば??」
「起動はここ……で、こっちの枠に風景が写る。マリアーノに向けて……そうそう。んで、シャッターってボタン押せば『絵』が出来上がる」
「……なるほど」
昨日アツシが持ってた黒塗りの塊じゃなくても、シャシンとやらを撮ることは可能らしい。昼食とかは好きに食べてていいからと、アツシは出かけてしまった。
『マスターはまだ学生だからしゃーない。学ぶことやること多いからさ』
「そう。……ナルディアは何故ねんどろいどに?」
『うん? 撮影会するなら小さい方がいいだろう?』
「まあ。わたくしと主さまとの絆は断固として剥がせませんわよ?」
「そ? けど、せっかくだから撮影会しない? マスターの手作り衣装だとこのサイズ感の方が着替えやすいんだ」
ダンボールとやらのひとつを覗けば、たしかに小さいが色とりどりの衣装がぐちゃっと入っていた。せっかく作ったりしたが、アツシはやはり片付けが少し下手なのだろう。
なら、ここはひとつ。
『氷雪の拭いと共に、隅へ隅へ』
僕のオリジナル詠唱で衣装のシワや微妙な汚れを取り除き。あとは色とかで統一した並びへと整頓していく。横でマリアーノちゃんが敷居用の細い板を渡してくれたから、区分けは簡単だった。なんか便利なものだね?
「まあ、素敵。篤嗣様はちょっとだけ片付け下手ですから……これで使い易くなりましたわ」
『んじゃ、ねんどろいどになる前に……セッティングするか? パネルもだけど、ぬいとかも』
「そうですわね? 主さまはどのようにお撮りになられますか? たとえば、可愛いらしい感じだったり、かっこいいとか」
「……そうだね。まずは可愛いかなあ?」
『マリアーノの他のぬいあったかな?』
「ええ、まずは部隊編成よりもわたくしのみで統一しましょう」
まだマリアーノちゃんたちの『キャラクター』とか『ゲーム』とかをよく知らないから……そこはお任せするしかないよなぁ。けど、覚えたいからぬいぐるみが溜まってきたら受け取って……出来るだけベッドの上に並べてみた。ナルディアはたくさんあるけど、マリアーノちゃんはほんの少ししかなかった。
「……オンラインくじでの景品はともかく。これでしたら!」
マリアーノちゃんはダンボールの一つから『額縁』を取り出したんだよね? それをぬいぐるみたちが入り切るように……すれば! すぐに自分もねんどろいどになって、中央にちょこんと座ったんだ!! 可愛い!!
「これ……衣装はなんでもいいんだよね!!?」
『はい、なんでも』
『俺も時々混ぜてよー』
『はいはい』
とりあえず、筆で書く必要のない絵を収めるのに……僕はシャッターをたくさん切った!!
次回はまた明日〜




