第13話 見れませんでした
女性とだって、一度も経験がないのに……本命の男の子の裸体も直視できませんでした!! なんたる、無様な……そして、非常に惜しいことをしました。
でも、ある程度遊んで出ないとお湯だからのぼせちゃう。マリアーノちゃんの艶姿をこんな男だらけの……って、彼も男の子なのは十分にわかっているはずなのに。本人が女の子になり切っているから、若干ズレた認識しちゃっているんだよなあ? 男娼でも、そんな設定で相手してくれるパターンはあるらしいけど……じゃなくてなくて!!
とりあえず、全員で着替えたあとは……アツシが提案してくれた飲み物を、自販機とやらで購入することになった。
「どっちも甘いけど。フルーツとコーヒーどっちにする?」
ここもアツシが奢ってくれることになったけど。コーヒーは昼間にマリアーノちゃんと飲んだからより甘いらしいフルーツ牛乳とやらを選択させてもらった。マリアーノちゃんも同じのを選んでくれてたから、なんだか嬉しい……。
「あ、美味しい。牛乳に果物って合うんだね」
色も黄色いし、どんな味と思ったけど。少し爽やかな風味の甘いジュースって味わいだった。
「ノーマルな牛乳ってやつもいるけど、俺はコーヒーかな」
「俺も苦みあるの好きだねー」
「……おう」
なんか、微妙に果物より甘い雰囲気なのはスルーしておこう。マリアーノちゃんに振り返れば、ペロッと最後の飲みかけを舌なめずりしてたのが!! イケナイことを夢想しそうで僕が危険でした!! 今日一日だけで、虚弱から激変した僕の心情はどうなってしまったんだ!!
「さあ、ユディ様。わたくしたちも帰りましょう」
飲み物に使ってた瓶は回収用の箱があるので、そこに入れてから銭湯を出たんだけど……最後まで、僕に腕を絡めてるマリアーノちゃんへのびっくり視線が色々凄かった。
たしかに、僕を必要以上に慕ってくれているけど……魂宿りを促しただけのはず。と思ったが、正確には僕自身がいじったわけではなかった。
ナルディアとアツシを引き合わせたついでに……自分と僕を引き合わせた?? 自分のためにって、発言を聞いた気がするし。アツシへは積極的に僕といっしょがいいを主張してたし。
アツシとナルディアが少し先を行くのを見てから、僕は一旦立ち止まった。ふたりには聞かれてもいいけど、マリアーノちゃんへ確認したいことがちゃんとあったから。
「? 主さま?」
「マリアーノちゃんは……なんで、僕にそんな親身なんだい?」
「え?」
「教えて欲しいんだ。僕を君と出会わせてくれた真意を」
あの召喚させた扉は、きっと精霊の悪戯。
ホムンクルス化への魂宿りには、逸話だけど精霊の宿りだと言われているくらいの研究資料が昔あったんだ。だから、マリアーノちゃんはきっと……こっちの世界で言うそれなんじゃないかって。
僕という『元賢者』って魔法使いなら自分を実体化出来るとか……少し、意地悪な策略かもって不安になったんだ。
次回はまた明日〜




