第10話 お湯処?? 銭湯とは
まだ夕飯が終わったばかりだけれど。皆が僕の体調を気遣ってくれて、早いうちに『セントウ』とやらに向かうことになった。
戦闘ではなく、料金を支払うことで湯殿を借りる場所らしいけど。何故、着替えはともかく……薄い下履きを用意しなくては??
「マリアーノだと、こっちのデザインがいいんじゃないか?」
アツシが『スマホ』とやらの鏡でもない便利道具の中に……女の子向けの服を出し、いいや、これ下着!!?
「アツシ!? マリアーノちゃんは男の子だけど、こんな……こんな!!?」
「待て。言いたいことはわかるけど、落ち着け。ユディさんも想像しろよ。海パンいっちょのマリアーノが公衆の場にいたら、誰も落ち着かんだろ? 胸のない美少女扱いで追い出されるぞ」
「わたくしは良いのですけれど……主さまが否とおっしゃるのでしたら、こちらを魔法で作ってくださいませんか?」
「…………そうだね。そうしよう」
ホムンクルス化とは言え、歴とした性別個体だから……僕もまだ見てない、マリアーノちゃんの裸体が人の目に曝されるのは勘弁願いたい!! 魔力の代わりらしい『霊力』って言うのをマリアーノちゃんに教わりながら変換。その後に、マリアーノちゃんが下に着るイメージで転写……服の上からは見えないけど、いきなり女性ぽい下着でのご登場も良くないしね。
「飯買ってきてもらったし、銭湯代は俺が払うから」
「そうかい?」
「あれ全部に比べたら、全然安いし」
料金はアツシの奢りということになり、まずは普通の服で目的地まで向かったんだけど……やけに目立つ集団なので、僕以外の皆に視線が行くなあ。マリアーノちゃんは僕にしっかりしがみついているけど。
(アツシ、まあかっこいいしね。ナルディアと並んでも見劣りしないし)
ナルディアと仲良さげに話している光景も絵になりそうだ。僕は貧相だから、逆にマリアーノちゃんには逆目立ちしそうだけど……。
「うふふ。楽しみですわ、銭湯」
とかなんとか、まるで恋人との逢瀬みたいに嬉しそうに言うから……『あ、落ちた』って、もう僕……マリアーノちゃんへ推し以上に虜。最愛の相手だって認めちゃったよぉお!? ホムンクルス化してるから体温は感じるけど……やっぱり、いっしょに年老いたいから禁忌の人間への転換魔法の研究をしようと大いに決意したよ!!
「ユディさん、こっち」
メラメラと闘志に燃え上がっていたら、建物に到着したようだ。文字はやはり読めるけど……『ワクワクスーパー銭湯』と書いていた??
水着とやらを着て、男女混浴するということは遊戯施設とやらなのか。家の風呂じゃ、たしかに複数で水遊び出来ないしね。マリアーノちゃんとその……イチャイチャ出来るなら、それこそ挑戦しなければ!!
次回はまた明日〜




