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トリップしてきた元賢者は推し活に忙しい〜魔法提供は我が最推しへの貢物也〜  作者: 櫛田こころ


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第1話 賢者は余生に悩む

初ブロマンス!!

 僕の人生は平凡ではなかったが、目立ったかと言えば微妙な生き方だったと思う。


 身体が少し弱いせいで、勉強とか魔術には没頭出来た。ちょっと可愛いものが好きだったから、給金は趣味に使うことが何よりの楽しみ。


 だけど、年々弱くなる一方で先が長くないんじゃないかと医者にも言われていた。回復薬を飲んでも、生来から巣食う病には効果がないみたい。


 青年とも言えないし、添ってくれる女性も使用人も雇っていないからいない。昔は弟子とかいたりはしたけど、皆自分の家庭があるから引き取って世話を焼かれるのは勘弁。


 だったら、もう残りの人生を『余生』と思うことにして……まだ少しある魔力で『精霊召喚』とかしようとした。雑用くらいなら、中級の精霊でも契約してくれれば大丈夫のはず。



「……だと思ったんだけど??」



 召喚の魔法陣から出てきたのは、扉だった。


 一見質素のように見えて金属を惜しみもなく使用した、頑丈な作りの横開き?な扉。開けれるか心配だったけど、中に精霊がいるかもしれないと……ゆっくり開けたんだ。



 どさどさどさ!!?



 出てきたのは、精霊じゃなくて……ぬいぐるみ? 色とりどりで男女問わず好きそうな可愛いの。布も豪華で、いろんなデザインの人型のぬいぐるみが出てきた?? 丸っこいのを手に取ったけど、もちもちで可愛い!!



「すごい……よく見ると、手作り!!」



 この作り手は誰だろう!? もっと奥に行けば大きいのはあるのかな!? 久しぶりに気力が湧き上がって、ぬいぐるみを踏まないように気をつけながら中に入れば、同じような薄い扉にぶつかった??


 横に開ければ、外から『うっわ!?』って男の子の声が聞こえてきたけど。



「へ? 何!? 俺の部屋にイケメン……つか、ぬいを仕舞った向こうからなんか出てきた!!?」



 茶髪のなかなかに見目の良い顔立ち。手には紙でできた本。


 周りには執務室より、私室なのか寛げる空間が広がっている?? ここは所属していたサディアス国に比べると、魔力感知がしにくい。むしろ、もっと澄んだ空気に満ちていた。



「あー、済まない。僕はユーディアス=ミンファと言うものだが。ここはどこの宿だろうか?」

「は? 俺の家だけど」

「! では、今通ってきた場所にあったぬいぐるみ!! 君の手作りか!!?」

「わ!? 大声で言うなよ!! うっさいと大家さんが来る!!」



 虚弱のはずなのに、久しぶりに興奮した私はすぐに咳き込んでしまったが。とりあえず、大学生の職業を持つ『アツシ』との出会いはここから始まり。


 僕と彼の『推し活』へのスタートラインだったのも、意気投合してから分かったのだった。



「……江野篤嗣」

「アツシ、と言うんだ。僕はユーディアス……が呼びにくいなら、ユディでいい」

「おっさん……だよなあ? イケオジとかマジで見た」

「ははは。そこの向こう側では、魔法使いしてるおじさんだよ」

「……トリップ? 転送ってやつか?」

「ここは魔法があるのかい?」

「ない。けど、自分で考えて娯楽に取り込んではいる。……あのぬいぐるみも、そう言うのから俺が集めたり作ったりした」

「アツシは凄いね! 僕にも教えてよ!」

「……とりあえず、臭くね? 風呂は??」



 と、ちょっとだけとっつきにくいけど。意外に世話好きな彼に『現代版』とやらの風呂を教えてもらい……如何に、水で清めただけでは体に良くないこととか、虚弱の理由が『不潔』からだと判明したよ。

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