風の裁縫/石の森と紅の壁/大鍋鉄 他
読み進めると違和感を感じるはずです。
正体は後書きで綴ております。
『風の裁縫』
タクラマカンの砂が
縫い目をほどくとき
ひよこの声は
コーラン頁に閉じられる
葡萄棚の下で
こっこ された言葉たち
青いドームの
たまごの殻を踏む
夕焼けは
アザーンを染めながら
沈黙の糸で
大地を綴じていく
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『石の森と紅の壁』
靖国の鳥居を
風が抜けるたび
零れるのは
無名の羽音
向こう側で
赤い壁が黙して
抱えるのは
鎮圧された光
どちらも
ひよこの檻に
孵った
たまごの形
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『大鍋鉄』
溶鉱炉が 夕日を飲むたび
ひよこの数だけ 星が消える
鉄屑の林で 祈るのは
こっこ された 錆びた神々
たまごの殻に 刻まれた
生産目標の 影法師
革命の炎色反応が
酸素を 詩に変える夜
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『論語、冷蔵庫で眠る』※1
孔子の舌は
氷の扉に貼りつく
── 二千年前の漬物が
こめ電子レンジで回る音
教科書の角
折り目正しく
孵るのは
統制の時刻表
(壁の向こうで
たまごの殻が
こっこ と
積算されていく)
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『香港の夜明けは、鳥籠の設計図を食べる』
閉じた空の継ぎ目から糸の見えない刺繍が五線譜を引き裂く
—音階の欠けた場所に
沈黙の風圧がまっすぐに並べられた影を育てている
凍った祭壇の上燃え残った朝たちが
「月の裏側に投げられた筆」で白く塗られた叫びの輪郭をなぞる
(誰も気づかないふりをした
小さなひび割れの中で種を潰す掌が
こっこ された、たまごの殻に耳を当てている)
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『チベットの三行詩』※2
1. 焼身
蝋燭が逆さまに生えた街―― 灰より軽い経文が空と皮膚の隙間で燃える
2. 仏教統制
マニ車の軸をひよこが数珠つなぎに回す
「回転数は今月の標語です」
3. 沈黙の山
氷河が舌を噛み切ったあと経幡だけがこっこ された風を数える
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『恒大の塔、夢を消化する』※3
(第一連)
白亜の販売センターが
未完成の契約書を
砂埃と共に
嚥下する午後
── 模型の噴水だけが
水のない笑顔を循環させる
(第二連)
債務という名の
コンクリートミキサー車が
「楽園」の看板を
骨材に砕く音
(購入者の耳には
届かない低周波)
(第三連)
エレベーターシャフトに
詰め込まれた
金の卵たち
孵化しないまま
腐敗熱を発し
/最上階の
ヘリポートだけが
空とつながっている
※1「冷蔵庫」=伝統の冷凍保存/「電子レンジ」=急速加熱解釈の暗喩。最後の()は、読者が触れるべきでない「音」の提示。
※2「蝋燭が逆さま」 =通常の命の火と逆転した抗議の焼身。「氷河の舌」=消された言葉と永久凍土の重なり)
※3
1.『 嚥下』=売れ残り物件の強制消化
2. 『模型の噴水』=虚構の豊かさの演出
3. 『金の卵』=投資商品化した住宅ローン
4. 『ヘリポート=』富裕層だけの脱出経路
(「低周波」は社会に響くが意識されない危機の予兆。最後の空への接続が皮肉的に開放感を表現)
この作品違和感感じませんでしたか?
彼との約束で正体は明かせなくなってしまいました。
あくまでも『余白 卵』さんの作品ですが下記を見ていただければ。
検閲される単語を、
弾圧 → たまご(革命の種)
統制 → ひよこ(量産される個体)
鎮圧 → こっこ(最終処理)
と言い換えて彼の主張が詩となっています。
どう考えるかはあなたに委ねます。




