お前の血は何色だ
修正続きでごめんなさい!
題名を変えさせていただきました。なろうっぽい題名にしようと思ったのですが慣れないことはするものではないですね。テーマに合わないので前の題名の雰囲気を残しつつ変えました。
無事に神様に人間界に行く許可を貰えた私たちは人間界に繋がる扉の前へ
来ていた。許可を貰えたので心置きなく休暇を楽しめると思ったのに
結局は人間の穢れをどうだかで休暇といえないものになっちゃったけれど...
「翼、扉開けるから足すべらせないでね?」
「わかってますよ。」
扉に自分の体重を思い切り乗せて押そうとした。が、風のせいか
扉は少ししか動かない。どれだけ体重をかけても動かないドアに微かな
苛立ちが湧いてくる。ちらりと横を見ると翼が少し心配げといった
表情でこちらを見つめていた。
暫く無言でお互い黙りこくっていたのち私の手に一回り大きな手が重なる。
翼が扉に体重をかけると勢いよく扉が開く。
「うひゃ!?」
「ああっ!ごめんっ!」
驚いて声が出ると同時に、視界が青と白に染まる。
勢いのまま蒼空に投げ出された私たちは重力に従い加速しながら落ちていく。
翼が下に回って抱き合う形になっていて、翼の口が私のこめかみあたりにある。
万が一空を飛ぶのに失敗しても天使なので最悪落ちても死にはしないので
こうして抱き合う意味もないはずだが、あまりに必死そうな翼の表情を
見るに下心はゼロに等しいだろう。
そんなことを考えていると地面が近づいていた。流石になんとかしないと
このまま地面に衝突してぐちゃぐちゃになってしまう。そうなっちゃうと、
復活まで時間がかかるので絶対に面倒くさいことになる。
「これ、そろそろなんとかしないとやばいよね。」
「あっああ、そうですね...」
もぞもぞと身体を動かして体勢を変えようとすると何かがひっかかて
動けない。引っ張られる感覚のある首から伸びているものを目で追うと
十字架のネックレスが翼の髪にからまっていた。あちゃぁ...
翼もそれに気づいたようで急いでネックレスを解こうとするものの
一向に取れやしない。一度ネックレスを首から外そうとしたが
髪がひっかかって余計に絡まりだす。焦って手が上手く動かい上に
汗で手が湿って気持ち悪い。
そうこうしているうちにもう地面が間近になっていた。
「これは仕方ないですね、俺が死にますよ。」
「死ぬって言っても別に消えはしないじゃない、後処理は任せてね」
いたって冷静であろうとしている翼の息は上がっていて天使ながら
死への恐怖がぬぐいきれない様子だ。
「大丈夫だから、天使でしょ?」
水の膜が張る翼の瞳が揺れる。雫が目からこぼれたかと思うと
――ドンッ!
と鈍い音を立てて翼の身体が地面にたたきつけられる。
衝撃で肉が抉れて血がじわじわと広がっていく。赤とは反対の
水彩絵の具を水に突き落としたような爽やかな蒼空が広がっていく。
翼は大きく目を見開いてどこにもない一点を見つめたまま動かない。
絡まったままのネックレスを落ち着いて外してあたりを見渡す。
ビルとビルの間に堕ちたようだ。何もしていない限りは天使の姿は
人間に見えないので大事にはなるまい。溜息を一つついて
歩き出すと後ろから声がした。振り返ると茶髪で狐のような糸目の青年。
それも翼と同じように落下したのだろう、今度は赤い血が広がっている。
「てん...し...?」
ほとんど吐息だけのかすれた声で青年は呟いた。