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人間と天使-その2

感想でところどころ変なところで改行されているところがあるというご指摘を

受けたので、今まで投稿した話も含めて直してみました。

編集画面だと文字が読者側の画面よりも小さいことに気が付かなかったのが

原因でした、しっかりプレビューで確認することにします。

初めてなので間違いも沢山あるかもしれないですが、読んでくださる皆さんを

楽しめるためこれからも努力していきます!

 永遠と続くかと錯覚するほど長い廊下をただひたすらに歩く。

世界ごとに天界はわかれているものの、資料室だったり物理法則をいじる

ナントカって名前の部屋だったりでとにかく広い。

これもまた前の世界であれば人間の発明品を使っても

良いところだが、神様が嫌がるのでこうして徒歩で移動するしか手段はない。


「あの...神様って俺たちが仕事以外で人間界に行くの嫌がりそうな

 気がしません?」

「確かに...」


 これといった感情の浮かんでいない愛の顔に不安げな表情が浮かぶ。


「嫌がられてもなんとかして説得するしかないですね。

 神様の言う通りにすれば人間界に行くことも許してくれるはずでしょう。」

「そうだね。翼は神様の言う事呑むの得意だもんね。」


 愛は一体俺のことをなんだと思っているんだ...

せめてもの意思を示そうと眉をひそめて顔をそむける。


「神様は神様なのだから、神様がどれだけ間違ったことを言おうが、

 神様が言ったことなのだから正しいから、仕方ないじゃないですか。」

「そうだね。」


 二人は無機質に伸びる長い廊下をただひたすらに歩く。




「えっと敬語だよね?こんにちはデス、どうもデス、

 おはようデスって感じでしょ?」

「へたくそ...俺が喋るんで無理しないでください。」


 長い廊下を歩いた末に目の前に立ちはだかったドアをノックする。

三回だったか二回だったかあったはずだが気にせずにどんどんと叩く。


「神様ー伝えたいことがあるのですがー!!」

「入っていいよ~」


 間延びした声がドアの向こうから聞こえてくる。

神様だというのに威厳だのそういうものが無い神様(ひと)だ。


「どうしたの?休暇中は自由に過ごしてくれればいいよ。」

「じゃあ、人間界に行ってもいいデスよね?」

「えっと、それはだね...」


 想定外といった様子だ。これぐらいのことなら予想できそうな気もするが、

そんなに人間が嫌いなのだろうかこの神様(ひと)は。


「自由に過ごしていいって言ったじゃないデスかぁ」

「なんというか、深い訳があるというか...言っちゃいけないタイプの訳というか」

「別に言ってもいいと思いますよ。」

「それがダメなの!」


 子供のようにのらりくらりと言い訳をする神様に湿度の高い視線を送り付ける。


「わかったわかった、じゃあ条件付きね。」

「結局は仕事じゃん!」


 子供は一人じゃなかった模様。人間の兄弟喧嘩を見ているような気分だ...


「わかりました、条件は受け入れますから。」

「おお、翼は聞き分けがいいね。

 詳しくは言えないんだけど人間の中でも"穢れ"が濃い奴等を

 殺してほしいんだ。こっちでも色々と対処してるんだけど追い付かなくて。」

「神様が人殺すこと示唆しちゃって大丈夫なんデスか?

 色々危ないことになっちゃったりしないィ?」


 鼻につく語尾であるものの、俺の言いたいことを愛が代弁する。

本当に鼻につく語尾であるものの。


「なんだか人間の様子がおかしくてね、割と緊急事態なんだ。」

「そうなんデスか?そういう風に見えないデスよ。」

「本当に対策とかやってるさ、最近は穢れを浄化するために超天泣(ちょうてんきゅう)って

 作ったんだよ。大変だったんだよ?」

「え~でも...んぐっ!?」


 流石に余計なことを口走りすぎな愛の口を手で塞ぐ。

罵詈雑言であろうことを叫んでいそうだが口をふさいでるのでうーうーと

うめいているだけだ。


「ううぅーんんん!んあっ!んっ!」

「すみません神様...痛っ!」


 思いっきり爪で引っ掛かれて腕に血が滲む。

じわじわと熱を持って痛む傷口に顔をしかめる。引っ掻かれた拍子に

手を放してしまい愛が解放されてしまった。


「はあ、まあやることはやりますので。」

「うん、じゃあね~」

「お前ふざけんなよ!尻の穴から内臓引きずり出すぞ!ああ!?」


 人間でもそう出ないような罵詈雑言俺に浴びせる愛の胴体を掴んで

ドアに向かう。腕にかかる50kgの重みでなかなか足が動かない。

ずるずると50kgの肉塊を引きずったのち、あんまりうるさいので首を

手刀で撃つ。愛はふらりと身体を揺らした後にどさりと倒れた。

 溜息をついて床に熱烈ハグをかました愛を眺める。

本来彼女は天使じゃなくて人間に産まれるべきだったんじゃないだろうか。

真っ白い翼と床に食い込んだ光の輪は別の誰かに行くべきじゃないか。

なんていうのは言い過ぎか。


「起きてください。」

「んんんん...仕事が私のこと引きずり回してる...」


 どんな状況だよ。呆れながら床に横たわる愛の頬をペチペチと叩く。


「あっアリアおはよう」

「今はもう翼ですよ。」


 愛は目を細めて湿った視線を俺に突き刺す。数秒動きを止めた後にようやく

状況を理解して「ああそっか」と小さく呟きながらもそもそと上半身を起こす。


「真駒愛デスど~も...」

「寝ぼけてないで来てください、早く準備しますよ。」

「そうだね...結局は仕事っぽいのは納得いかないけど。」


 そう言って立ち上がった真駒愛の髪が光を反射して淡い桃色に輝いていた。

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