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序幕2

世界を巻き込んで大騒ぎを起こしたVRMMOの発表、基礎となる全てのソースデータを所得した企業達の方針は様々だった


あれより良い物を作る

新たな金儲けの市場

技術革新のための更なる研究


各々の企業の思惑は数あれど、試行回数が増えれば生成されるコンテンツのクオリティは向上していくというのは間違いなく、時には全く関連性のない企業のノウハウが間接的に他企業を助ける事にもなり新たなVRMMOが生まれ、そして終了していく度に全体のクオリティも底上げされていき、今ではフルダイブの機能を旅行に転用する等のゲーム以外にも活用される程となっていた



彼が何故あのような行動に出たのか、それは未だ謎のままであるが、VRMMOは結果的に見れば世界に浸透し、今や人々の日常に珍しくもない程浸透、寧ろ過剰供給されている世になっていた



そしてここにまた新たな世界が生まれようとしていた


――――――――――――――――――――――――――――――――――――







「この世界もほぼほぼ終わっちまったなぁ・・・」

誰もが子供のころ一度は思い浮かべたようなSF都市の街中にあるリスポンポイント、つまり帰還場所で空を見上げながら溜息交じりに声が出る と言ってもこの世界の空は宇宙空間であり現実の様な太陽や雲とは無縁の空なのだが、今では珍しくも無くなった光景である


「まぁ開始2年のゲームだし、後発組の俺らは今から偉大なる先輩方の歩いた2年追いかけないと最前線まではいけないからなぁ」

半場諦めの表情で隣に立つ同じ位の男性が両手を開き、これは仕方ないそういうもんだと促す


VRMMOが世界に浸透した今、コンテンツ自体が過剰供給なことに加え、似たようなシステムのゲームで溢れ返り僅かな当たりのゲームに人が集まるのは必然なのだが、その結果運良く若しくは先見の明があった開始日からプレイしている組と、彼らの様な新規参入者には決して超えられない時間の壁が存在している


「このゲームは課金要素無いからなー追いつくのは流石に無理だな」

課金さえすれば誰でも強くなれる そういったシステムは最初の方こそ溢れ返っていたのは事実であり時間の無い人間には有難い要素だったのは間違いない

が、全ての発端の彼がその要素が嫌いだったのか、ソースコード譲渡後のサイトに課金がゲームに与える影響力はコンテンツの寿命を縮めることに加えインフレの爆発的な加速の危機を訴えた


お願い そう、ただの一ゲーマーのお願いが記載されていたのである



金儲けに主軸を置いた企業のゲームと本当にゲームの好きな人間のゲーム、クオリティが何方に分があるかは明らかであり、実際今現在に人が溢れているゲームの数は後者の方である

と言っても、前者のゲームは時間に余裕がない層からは支持されており結局は上手く住み分けが出来ているのが現状であり、仮に何方かが無くなるとそれはそれで不満の声が上がるのは間違いなく結果的に言えばお互いにとってマシな落としどころだったのかもしれない



「明日から何するか考えるとして、今日はもう落ちとくかな」

世界は明るく、新たに世界に足を踏み入れた者は日中のように錯覚するが、多くのゲームは現実世界とゲーム内で時間の同期はされておらず、帰還ポイントに存在する時間を示す大時計の数値は14:25と23:25

前者はこの世界の時間であり、後者は現実世界の時計を示しており23時を過ぎており、行き交う人も少なかった


「あいよー明日は2限目講義だけだっけ?起きてたら遊びに行くわー」

友人の返事を聞きながら、最近漸く慣れた手付きで操作コンソール画面を呼び出しログアウトボタンを選択し視界が狭まり真っ黒になっていく

初めてこの経験をした時はこのまま二度とリアルの体に戻れないのではないか と恐怖したものだが、2か月も同じ事を経験していれば人間は慣れるものなんだなと思い知る事となった


とは言っても、仮想現実とは言え死んだ時の感覚は今でも慣れないし慣れたくもないのだが

その様な事を考えている間に機械の音声案内が耳に響く

これはゲーム内の体にでは無く実際のこの世に一つしかなく、代わりの利かない唯一無二の自分の体でありどうやらログアウト処理が完了し現実世界に帰ってきたらしく、VRMMO必須のヘッドマウントを取り外し、目の明るさが闇に慣れた後、軽く全身を動かすと骨の鳴る音が無音の部屋に響いた


「・・・シャワーして寝るかぁ」

早々に面白く、尚且つサービス開始後のゲームなんて見付からないだろうなぁと言う少々憂鬱な気持ちと共に動かしていなかった体を起こし誰に聞かせるでもなく、自分に言い聞かせるように呟き備え付けの小さなシャワールームに向かうのであった




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