第4話 呪われた天使④
――天上大陸。
世界で唯一、空に存在する大陸で、五大都市の一つでもあり、天空都市という別名もある。
その他にも、空を移動することから移動大陸、移動都市などとも呼ばれている。
基本的には、別名通り空を移動しているのだが、地上に着陸するタイミングが存在する。
それがサクラたち一行が砂漠都市ガランダールに滞在している今――。
「まだ遠くにあるというのに、大きく感じますね」
「それは大陸だからだ――」
「で、その大陸に僕たちが求めているものがあるというのはどういうこと?」
ガランダールのギルド長は言った。
サクラが求める情報がガランダールに存在していると……。
「そのまんまの意味だ……天上大陸にお前らが求める情報を持つ者がいるって話だ」
「……その人の名前は?」
「――サワンマイラ……天上大陸に住まう希少種――天族の一人であり、魔王を倒した勇者一行の一人だ――」
天族……天使と言えばわかりやすいだろう。
サクラたちのこれまでの旅で出会うこともなければ、ガランダールのギルド長の言う通り、希少種――そもそも存在自体が珍しい。
最大の理由が天上大陸に住んでいるから。
天族が天上大陸を離れることが珍しい。
さらに天上大陸に上陸しづらいことも理由にある。
そもそも天上大陸は上空を移動している。
今回のように着陸することもあるのだが、それも基本的には不定期。
この段階で上陸すること自体が難しい。
他には、天上大陸に住まう天族が招待するなどして入ることも出来るのだが、天族が外部と交友していること自体も珍しい。
ただ、天族だけが住んでいるということはなく、人間などそのほかの種族もいるので多種族都市でもある――。
「――サクは天使と会ったことあるの?」
「ない……会いたいとも思ったことない」
ギルドを後にした一行は、ギルド長の助言通り天上大陸に上陸するための準備を進めるため宿屋に戻って来た。
「つーか誰もあったことないだろ」
「だってサクっていろんなとこ旅してるじゃん。だから天使の一人や二人くらい――」
「人付き合いがめんどくさいから――」
「でも私と出会ってから変わったと思いますよ」
「それはメニシアが無理やり……まあ、否定はしないけど今回はめんどうめんどうじゃない云々じゃないから」
サクラが求める情報を持つ天使――。
会ったことはないが、天族という種族は長命――それも永遠に近いとされている。
その天使が長い時を生きてきているのなら情報の一つや二つは持っているのかもしれない。
「そんなに変わったの?」
「はい、私と出会ったころのサクラさんだったら最初に疑ってかかると思いますよ。それが私たちの言葉だったとしても」
「へえ~……わかるかも」
「……(コクコク)」
「確かにな」
「みんなして……準備終わったら行くよ」
少しだけ不機嫌になったサクラはクオンを連れて部屋を後にする……ただ、サクラが今抱いている感情は、不愉快という感情ではない……。
天上大陸が着陸している場所は、ガランダールの砂漠側の外れ。
これは世界各国から指定されている。
ガランダール以外にも、五大都市やいくつかの地域に指定された着陸地点が存在しており、天上大陸は着陸のタイミングでその地点を目指し、着陸する。
不定期とはいえ、年間で複数回着陸しており、他の都市のような検問のようなものはなく、比較的上陸しやすい。
何故かという理由は後々わかるとして、大陸に入りやすい割に実はその数は少ない。
不定期に着陸するというのが理由だ。
大陸を出るタイミングは、大陸が着陸するタイミングと同じなので、どのタイミングになるのかがわからない……これが理由だ。
ただ、天族は自由に行き来することが可能なので、天族の力を借りればどのタイミングでも出ることは可能なのだが、それを知っている人がまず少ない。
そういった経緯もあって上陸者が少ない。
現にサクラたちが天上大陸が上陸している場所に着いた段階では、上陸しようとしているものが誰もいなかった。
「……いませんね」
「もうすでに行ったのか、そもそも私たち以外いないのか……」
「でっかいねー」
「……(コクコク)」
「……」
ギルドの中から見た時も、遠目からでもわかるくらいに大きいと感じていたが、改めて至近距離で見るとその大きさに驚きを隠せない。
大陸という名前を持つだけはある。
「検問とかもなさそうだし、行こう……準備はいい?」
サクラの呼びかけにそれぞれが反応する。
「それじゃあ行こうか……天上大陸に――」
天上大陸の都市部の外れにある少し大きめの一軒家。
建物の中には椅子に座る一人の女性――天使がいた。
「……これは……マヤ? それに……ヒロ?」




