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復讐に染まった少女は輪廻の旅の果てに……  作者: ただの小林
4周目 第4話 呪われた天使
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第4話 呪われた天使③

 翌日――。


「いや~疲れがよく取れましたよ~」

「取れた取れた~」

「うんうん……」


 昨日、よく寝ていた三人はどうやら全快したようだ。


「サクとビリンは疲れてないの?」

「慣れてるからな」

「僕もそんなものかな」


 対照的にサクラとビリンは、二人が言う通り慣れもあってそこまでの疲労はなかった。


「ご飯も食べたことだし、予定通りギルドに行くか?」

「そうだね……行こうか」


 準備もすでに終えている。

 すぐに宿を後にして、当初の目的地でもある砂漠都市ガランダールのギルドに向かう一行であった――。




 ギルドに到着した一行だが……。


「……おっきいねー」

「……(コクコク)」


 建物の大きさに驚きを隠せないモネとネロ。

 イリナやファルカスにあるギルド、特にファルカスのギルドも相当大きな建物であったが、ガランダールのギルドも負けず劣らずの大きさを誇る。


「イリナは地区ごとに支部として分かれてたから一つの建物としてはそこまで大きくなかったからね。モネとネロはそれと比べたら驚くのも無理はないか」

「ファルカスのギルドと同じくらい……それでもやっぱ私も驚くわ……どんだけの規模なんだよ、ギルドって」

「ファルカスやイリナ、ガランダールだけじゃないからね、世界各地にその支部が存在する……それだけ大きな組織だしね」


 サクラの言う通り、冒険者ギルドは世界各地に支部が存在しており、その規模は組織では世界最大規模となっている。


「ということは、サクラさんが以前にスカウトされたというのはやはりすごいことだったのですね」

「……嫌な思いででしかないけどね」

「何でだ……って聞くまでもないか……わかるぞ、その気持ち」


 何か思うところがあったのか、ビリンはサクラの言葉を聞いて察した。


「じゃあ、入るよ――」


 大きな扉の先は、見たことがある内装だった。

 違うとすれば空間の広さくらいだろうか……。


「外が外だと中は中だな……」

「……ひろーい」

「……うん、イリナと違う」

「そうですね、ファルカスと同じくらいの広さですが、やはり驚きますね……あ、サクラさん」


 驚きを隠せない四人を置いていくようにしてサクラとクオンはギルドの受付にすぐに向かう。


「おはようございます、本日は……あれ?」

「……?」


 サクラの顔を見たギルドの受付職員は、そのままジーッと見つめると何かを思い出しかのような表情を見せた。


「あなたは……絶望の華姫!?」

「……は?」


 まさかの単語が飛び出してきたので気の抜けたような声が漏れ出た。

 同時に嫌な記憶が少し甦ってきた……。


「サクラさん顔……固くなってきてますよ」

「ごめん……」

「わ、わたくしも、申し訳ございません。不快な思いをさせてしまい……」


 この反応は初めてだ。

 もしかしてサクラの事情を知っている人物なのだろうか。


「わたくし、以前ファルカス支部に所属しておりまして……」

「へー……そういえば見たことがあるな」

「ビリンさんとの直接の会話はありませんでしたが、女王といった皇族関係の窓口を担当していましたので……」

「あー、それでか」

「でも、最近までファルカスにいた訳ではないでしょ?」

「はい、一年ほど前ですかね……ですので……」

「なるほど……確かにそれだったら……」


 一年前だったらあの時の件に関して知っているのもうなずける。

 ファルカスのギルドに限らず、他のギルドも詳細はわからなくてもある程度のことは知っているのかもしれない。


「ねぇねぇ、絶望の華姫って?」

「……(コクコク)」

「その話は何時かしてあげるから……ところで、ギルド長はいる?」

「はい、今すぐお呼びいたします」


 失礼しますと言って、受付の職員は席を立ち、裏方へと行った。

 数分のうちに職員は、一人の男性を連れて受付に戻ってきた。


「お待たせいたしました、ガランダールのギルド支部長をお連れいたしまた」

「私がガランダールのギルドを長する者だ……おや?」


 長と紹介されたものは、サクラを見て先程の受付職員と似たような反応を見せる。

 老人とまではいかないが、それなりの年齢だろうと思わせる顔とは対照的に、身体の大きさは年相応には見えない。

 筋肉隆々とした、たくましい身体……加えて強者の雰囲気を感じる。

 さすが、五大都市のギルドを長する者だと言ったところだろうか。


「……いや、まさか……でも……」


 だが、しばらくすると職員とは違う反応を見せ始める。

 何かに驚いているような……。


「……あの、僕に何か付いてる?」

「おっと、すまない……なんせ、知り合いにそっくりな顔をしていたものでな……話があるのだろう? 案内しよう――」




 通されたのは、建物の二階にある広い会議室。

 ガランダールのギルド長とは対面するように一行は席に着く。


「改めて、私が砂漠都市ガランダールを長する者……おぬし等はサクラとその一行といったところか?」

「やっぱり僕のことは知っているか」

「上層部は知っているだろうな……さすがに顔を知らない者もいるが」

「ちなみに聞くけど、それは悪い意味で?」

「それはない。むしろ私は申し訳ないと思うがな……あれの性格は」

「あれって……ギルドではあの人は有名なのですか?」

「仕事ができる……だが、変人としては有名だ。私の部下でもあった……ゆえに申し訳なさがあると言う訳だが……そのような話をしに来たわけではあるまい。用件を聞こうか」

「この都市に悪魔に関する資料はある?」


 サクラがガランダールに来た理由――それは一冊の本がきっかけだった。

 イリナ魔術学校の図書館で見つけたその本に記載されていた悪魔……魔王とその配下に関する内容。

 あくまでそれはお伽話として描かれていた。

 しかしその本には、重要な町としてこの砂漠都市ガランダールが登場していた。

 それだけではない。

 魔王の配下は七人で、悪魔に関連している。

 七人と聞いてサクラが真っ先に思いついたのが、冥府の誘い――七司教なのだが、サクラが出会った者は、全員ではないが何かしら悪魔関連の出来事を起こした。

 さらに、そのお伽話の本にはもう一つ、サクラが特に気になった箇所があった……それが、魔女に関する内容だ。

 その魔女は魔王側として勇者一行と敵対……つまり、人類の敵として登場した。

 この魔女も含めてこのお伽話は、どこかサクラが直面している現実と共通している箇所がいくつかあった。

 ゆえに、お伽話の重要都市であったガランダールを訪れたと言う訳だが……。


「なるほど……そういうことか……だとしたらお前らの期待には応えられないな」

「それは……どういうことですか?」

「その話は私も知っている。だから私も調べたことがある……確かにその物語の重要都市で間違いない。しかし、それは悪魔に関することではなく、登場した勇者一行の拠点という意味での重要都市というだけのことだ」

「……」


 当てが外れた……と言う訳ではない。

 むしろ始めて聞けた情報なので助かる部分もある……だが、肝心の情報が手に入らなかった――。


「ただまあ……まさか同じようなことをまた話すとは思わなかったな」

「……どういうこと?」

「お前らで二組目だ……全く同じ事を聞きに来たのは……」


 つまり、サクラと同じような目的を持つ者がまだいるのか……と思ったら――。


「と言っても、十年以上前のことだ。お前らの目的とは多少違うだろうな……それに――」

「それに……?」


 ギルド長は再度サクラをまじまじと見るのだが……。


「いや、何でもない……残念だがお前らが望むものはここにはない」


 そう言って立ち上がる……そして一言――。


ここには……だ(・・・・・・・)


 含みがあるような言い方をするギルド長にサクラたちは疑問に思ったが、同時に外から何かの音が聞こえてきた。


「はっ、ちょうどいいタイミングじゃないか――」


 すると、唐突にギルド長は大きな窓を開けた。

 途端にその音はハッキリと聞こえるようになる。

 だが、その音は遠くから聞こえてくる……徐々に徐々にと近づいて来るその音。

 サクラたちは、ギルド長のいる窓に移動する。


「ほら見ろ、来てるぞ――」


 ギルド長が、近づいてきているそれに向けて指をさす。


「世界各地の上空を移動する五体都市の一つ……名は天上大陸……お前らの求めるものがある地だ――」

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