第4話 呪われた天使②
砂漠都市ガランダールは、世界最大級の都市と言われる五大都市の一つ。
砂漠都市と呼ばれているが、それは都市の半分であり、残りは砂漠地帯ではない至って普通の都市である。
大きく二つのエリアに分類されるが、その環境ゆえに基本的には熱帯地帯であり、砂漠エリアとそうでないエリアで暮らしやすさに違いはない。
砂漠を乗り越えたサクラたちも、現在ガランダールの都市に入る入り口の目の前にいる――。
「ファルカスやイリナと違って城壁は無いんだな」
「都市の半分が砂漠内にあるからね。砂漠ではないない方はともかくこちら側に関してはそもそも砂漠を乗り越えること自体が難しいから砂漠そのものが城壁のような役割を担っているかな」
砂漠を乗り越えて来ようとする者は、サクラたちのような実力ある者くらいだ。
もちろん一般人用に手段が無い訳ではないが、先の砂嵐のようなこともあるので、安定的ではない。
「じゃあ入ろうか、さすがに疲れたし」
「先に宿か?」
「うん、ギルドの人に聞くこと自体はいつでもできることだしね」
「私も休みたいですね……サクラさんたちの魔法があったとはいえ暑かったですし汗もかきましたし――」
「シアー、一緒にお風呂入ろうー」
「……(コクコク)」
「いや、入りませんよ――」
結局メニシアは、モネとネロと一緒に風呂に入ったのだった――。
ガランダールの都市内に入り、真っ先に宿に向かった一行は、素早く手続きを済ませ、指定された部屋に入ったのと同時にメニシアは、モネとネロに脱衣所まで引っ張られそのまま一緒に風呂に入った。
風呂を堪能した後、風呂から上がり、髪を乾かす前に三人はベッドで眠りについた。
「やっぱり疲れてたみたい……」
「私やサクラはともかく、三人は初めての砂漠だからな……それに双子は魔法を常時使用してたのもあるしな」
「確かにね……クオン、三人のところで一緒に寝てきな」
「にゃ」
抱きかかえられていたクオンは、サクラの言う通りに三人の元へ行き丸まり眠る。
「そういやクオンも砂漠を乗り越えたことがあるのか」
「うん。クオンの場合は暑さに耐性があるみたいだから特に苦しそうにはしてなかったね」
「その時はあの遺跡はなかった……いや、そもそも周りを見てすらいなかったんだっけか」
「用も何も無かったから……今思えば探索と化しても良かったかもしれない」
「まあ……それは専門家たちに任せておけば良いんじゃないか? 私たちはただ目的に向かってひたすら歩けばいい……だろ?」
「……そうだね」
「うんじゃ、話しは切り上げて私は風呂にでも入るよ……サクラは?」
「別に疲れてないし汗もそんなにかいてないから少し外を歩くよ」
「わかった、気を付けろよ――」
部屋を、そして宿を出て外をぶらつくサクラ。
時間帯は昼を過ぎたくらい……メニシアたちが眠ったということもあってまだ昼食を食べていない。
だが、空腹というわけでもない。
「……久しぶりかもなー……メニシアと旅をする前はそこまで食べる方じゃなかったんだけどな……」
メニシアと旅をする前は食事など空腹時以外取ることはなく、その空腹状態も全くない日もあったので、食事を取らない日もあった……それはサクラにとって珍しいことではなかった。
クオンにご飯はあげるものの、自分は全く……珍しく食べる時も腹が満たせれば何でもよかったというスタンスだった。
それが、メニシアとの出会いで大きく変わった……。
「今では毎日お腹空くし……一回だけじゃない……味の好みも出てきた……何でだろ」
実のところ、その答えをサクラは見つけていた。
しかし、今までに味わったことがないことゆえ、その答えに確証がなかった……。
「……戻ろうかな……って、あれは……」
宿に戻ろうと振り返ろうとした時、それはサクラの視界に映った。
少し離れた場所にそれはある……サクラが今までもよく見てきた……女神の像だ。
「やっぱりここにもあるんだ……そういえばメニシアとの旅以降よく見かけるようになったような……砂漠にあった遺跡もそうだけど僕が周りをあまりにも見てなさ過ぎるのかな?」
「にゃー」
「!?」
ふと聞き慣れた鳴き声が後ろからする……クオンだ。
「寝てたんじゃないの?」
「にゃー」
「……そもそもビリンがいるんだから安全か」
「にゃ!」
クオンが勢いよくサクラに飛びつく。
「おっと……帰ろっか」
「にゃ」
クオンを抱きかかえ、サクラはメニシアたちがいる宿に戻るのだった――。
サクラが戻った時にはまだメニシアたちは眠っており、風呂から上がったビリンが楯の手入れをしながら見守っていた。
ビリンに促される形でサクラはそのまま風呂に入る。
結局メニシアたちが起きたのは夕暮れ時。
起きた後、すぐに遅めの昼食兼早めの夕食を取ることにした……その日は特に何も無く、夕食後もゆっくりと時間を過ごし、その日は終えた。
サクラたちが次なる行動を取るのは翌日からになる――。




