第3話 雷魔潜む魔術都市 番外編② 種族
グランとの戦いから数日後。
徐々に授業も再開され、メニシアとビリンは都市の復興支援の合間に授業に参加。
本日は種族学についての授業に参加することになった。
二人の目的としてはあまり関係ないのだが、一つ気になる単語が出てきたので、それを取り扱っている授業がこの種族学ということもあり参加している。
「今回のどのような種族が存在するのかを大まかに説明していく。まず一つ目の種族はエルフ族についてだ――」
エルフ。
耳が長いという特徴に色白な肌を持つ。
超長寿でもあり、最低でも何千年。個体によって何万年も生きているらしい。
さらにエルフは魔法のスペシャリストであり、魔法の使用に関して右に出る者はいないと言われている程だ。
魔力量も圧倒的で、人間族の大魔法使いが持つ最大魔力量がエルフ族から見たら少し多い程度。
そのような種族だが、超長寿な分その数は少ない。
あまりにも見ないので絶滅したのではないかとも言われているが、目撃者、接触者の証言があるのでその可能性は零だ。
「メニシアってエルフと会ったことあるか?」
「はい、ありますよ」
「だよなー、あるよなー……ってあるのか!?」
「人に聞いておいて……まあ無理もありませんよね。小さい時に会ったというだけです。旅をしているエルフのようですが魔法とかに関しては流石に知りませんでしたね。そもそもエルフが珍しい種族ってのもサクラさんとお話している時に知ったくらいですし――」
ドワーフ。
エルフほどではないがそれなりに長寿な部類に入る種族。
特徴的なのはその小ささ。
別にそこまで小さいと言う訳ではないが、大人になってもその身長は人間族の少し大きい子どもくらいの大きさだ。
その低身長には全く似合わないというレベルに力強く、人何人分の大きさの超巨大岩を軽々と持ち上げられる程。
こちらはエルフより数は多い。
町中で見かけることもあるだろう。
ちなみに冒険者ギルドの最高ランクであるSSランクの一人にドワーフが名を連ねている。
天族。
簡単に、天使と言えば伝わるかもしれない。
こちらはエルフ以上に遭遇することは難しい。
その理由は、天族は天大陸という空中に存在する空飛ぶ大陸に暮らしており、降りてくることが滅多にないからだ。
天族が住まう天大陸に上陸することも可能だが、天族側の招待なども含めて様々な条件が存在する。
寿命はエルフと同等以上。人によっては永遠に近い。
……天大陸に住まうという特性上、これといった情報は少ない。
噂では先の魔王討伐において勇者パーティーに参加していたとかいないとか……あくまで噂レベルにとどまっている。
魔族。
いわゆる悪魔と呼ばれる存在に該当する。
悪魔は現在の世の中ではお伽話のような存在。
(勇者による魔王討伐は二通りの伝え方がされており、一つは悪魔同様お伽話の中の存在。
一つは、一部の人のみしか知らない数十年前の出来事)
歴史の研究から、悪魔の存在に魔王討伐はお伽話ではなく、実際に実在し、起きた出来事なのではないかというのが主流になりつつある。
しかし、存在が確認されていないので上記の種族と比べるとより謎に包まれている。
魔獣。
普通の獣が悪魔によって魔力などの力を与えられた存在。
中には身体が耐え切れず異形と化した魔獣も存在する。
その存在に関しては魔物と呼称する場合もある。
魔物。
上記の魔獣が力に耐えきれず、異形の形へと変化した存在。
または、悪魔が生みだした生命体のことも指す。
その強さは冒険者ギルドの高ランク冒険者でも苦戦するほど。
精霊。
魔術や魔法には魔力が使用される。
その魔力には火、水、風、土、光、闇、無の七つの属性で構成されており、魔力を持つ者はどれかしらの属性に分類されている。
七つの属性の内、無を除く六つの属性には、それぞれの属性を司る精霊が存在していると言われている。
一説には神の眷属とも言われている。
しかし、こちらも悪魔同様お伽話の存在として扱われており、悪魔以上に現在では非現実の存在として認識されている。
獣人族
けも耳と尻尾が特徴。
身体能力も人間族と比べて高い。
それ以外は基本的に人間族と同じと見ていい。
獣神は、獣人族にとって名の通り神様。
獣人族の誕生は、遥か昔にさかのぼる。
一人の獣神と一人の人間族が駆け落ち、その二人の間に子供が生まれた。その子が獣人族の始まりと言われている。
獣神と人間族のいわゆるハーフという存在だ。
獣神。
存在は確認されているが、その存在は伝説そのもの。
精霊同様神の眷属として認識されているが、存在が確認されていることもあり、こちらが現実的となっている。
その数は圧倒的に少なく、全部で九人。
うち存在が確認されているのは二人。
寿命は永遠に近い。
竜種
一般的にはワイバーンとドラゴンの二種類が存在する。
ワイバーンは、魔獣に近い存在で、討伐対象にあげられる。
反対にドラゴンは悪魔や精霊のようなお伽話に近い伝説の存在。現在においてドラゴンを見たものはいないのではと呼ばれているが、伝承や目撃情報などもあってその存在は確かだ。
ドラゴンの大きさは、個体ごとに違うが、ワイバーンなどと比べて遥かに大きい個体が多い。
ワイバーンは人より少し大きい程度。中には人の何倍の個体もいるが、それはいわゆる主といえる存在。だが、その大きさは稀。
ワイバーンが人に迷惑を掛ける魔獣に近い扱いに対してドラゴンは神と同様の扱いを受けている。
いわば守り神のような存在。伝承などにもそう記されている。
だが、それがイコール人と友好的とは限らない。だからといって滅ぼすと言う訳ではない。
不干渉なのだ。
遥か遥か昔に邪竜という人どころか世界を滅ぼそうとした生命体が存在していたと記されている書物もあるが定かではない。
「――ここまでが大まかに分類され、確認されている種族だ。確認されていると言っても空想上の種族も含んで良いのかとも思うがね」
種族学の教師が言いたいこともわかる。
ただ存在している保証もなければ存在していない保証もない。
これらの文献は、文字だけではなく口伝も含まれているので、否定しづらいところもある。
「そうだ、エルフなど長寿な種族が存在するといったな。実は人間も一部にはエルフほどではないにしろ長寿な人種が存在する。それが魔法使いだ――」
魔法使い・魔女。
魔法を扱える人間族の総称。
その寿命はエルフほどではないにしろ何百年単位で生きていたという記録もある。
なぜ長寿なのかは解明されていない。
長寿のエルフと共通しているのは魔法使いというところぐらいだが真相は謎である。
そもそも魔法が長寿の秘密だと、魔法を基本的に使えないドワーフがいるので理由にはならないのではないかと言われている。
有力な説として魔法使い特有の魔力の使い方にあるのではないかと言われている。
魔力の使い方は魔法と魔術とで違い。さらにそれによる魔力の流れが違う。そこが理由なのではないかとも言われる。
加えて種族の違いによる身体の構造も理由にあげられる。
その存在は少ない。
イリナ魔術学校に月の魔女サラーナがいたが、すでに故人である。
サラーナが亡くなり、数日前にサクラが来るまでの間に魔法使いがイリナに訪れたという形跡もなく、サラーナが生まれる前にも魔法使いの存在が確認されていないことを考えると、その存在はエルフ並みに希少な存在なのかもしれない。
「サクラさんも長寿なのですかね?」
「さあな、でも年も私たちとそう変わらないから何百年も生きてきたと言う訳じゃないしな。でもまあ今の話聞いた感じだと長く生きそうだな――いや、あの性格だから早死にしそうだな」
「そうならないための私たちだと思います」
「そうだな、あいつを守ってやんねーとな」
設定は変更する可能性があります。




