第3話 雷魔潜む魔術都市 番外編① 魔法と魔術と魔力と属性
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「――それでは、今日も座学を始めます」
「「はーい」」
グラントの戦いから数日、魔術都市イリナの復興支援の合間にモネとネロに魔法について色々と教えているサクラ。
本来柄でも何でもないのだが、教えられる人がこの町に一人もいないので仕方なく重い腰を上げた。
なんだかんだでサクラも楽しんでるようにも見える。
「今日は二つ。一つ目は魔法と魔術の違いについて」
「そういえば……」
「何が違うの?」
「うん。簡単に言えば道具があるかないか。魔術は魔力が込められている道具――総称魔術道具を使用することで初めて魔術が使える。例えばこの教室の天井に付けられている電気も魔術の一種だよ」
「へえ」
「でもクーちゃん前に杖使ってたよね」
ネロが見ていたサクラの戦闘場面では、サクラは自身の魔法杖を使用して魔法を放っていた。
「魔法を使えるもの――魔法使いが魔法杖を使用して魔法を放つ理由は大きく二つ。一つは初心者だから。もう一つは安定感が高いから」
魔法を使用することに関して初心者ということは、イコール魔力操作も初心者ということになる。
初心者には魔法に関する事故が多発することもあるので、魔法杖を使用する。
それにより、安定感も相まって、魔力操作を上達させる。
加えて安定した魔法の使用にもつながる。
「二人には魔法杖が無いから今度二人にプレゼントするよ」
「ほんと!?」
「ありがとう」
「うん、じゃあ進むよ。魔術は道具が必要と言ったよね。魔術道具には魔力が込められているけど使い続ければもちろん消費するから最終的には枯渇する。その時は――」
「エルドラルのおじいちゃんみたいに魔力を補充する」
「正解。魔法を使えないけど魔力を持っている人は思いの外いる。ビリンとかもそうだしエルドラルもそう。だけど魔力操作が出来れば魔力が枯渇した魔術道具に魔力を補充して再度使用することが出来る。まあ、魔力操作できる人の方が珍しいし、それこそ天性によるところもあるしね。もちろん努力でどうにでもなることもあるけどね――死ぬ気でやればの話だけど」
「魔法はどうなの?」
「道具のあるなしだけじゃないよね?」
「そうだね。いくつか違いはあるけど、大きな違いで言えば魔法は自然現象を操作することが出来る――いや、違うな。操作じゃなくて生みだすということが正しいな。グランとの戦いがいい例かも」
グランが使用していた雷系統の技。
あれはもう魔術の域ではなく魔法と言っていい。
「ただ、グランの場合は悪魔因子で魔力が変質して魔力というより呪力に近づいたから魔法というより呪いに近い存在の魔法というべきか……」
「呪力?」
「呪い?」
「呪いは悪魔や魔物、魔獣が使用する魔法だと思って。呪力も同様――でも、呼び方が違うってだけで根本は魔法と同じだと思って大丈夫だよ。それに悪魔全員が呪いを使えると言う訳ではないから。現にほとんどの悪魔は呪力を消費して発動しているほとんどが魔法に留まっているからね」
「「へえ~」」
「僕たちにはあまり関係ないけど……いや、人間で唯一だとは思うけど呪いを使える人がいるんだけどね。いつか会えると思うからその時にでも紹介するよ。次は魔力の属性について」
「属性?」
「なにそれ」
「グランの攻撃は基本的に雷系統だった。だとしたらグランの魔力は何属性になると思う?」
「……雷属性?」
「違う、答えは水属性。詳しいことは省くけど基本的に雷は上空に発生する雲が原因で発生する……正確には違うけどまあいっか。その雲は水が蒸発して水蒸気になってまあ色々あって雲になる。雷から雲から水と逆に見て言ったら根源は水になるだから雷は水属性になる」
「……なんかざっくりだね」
「……(コクコク)」
「しょうがないじゃん、僕もそこまで詳しくないんだもん。だったらがっつり授業でも受けに行く?」
「え、いやだ」
「いやだよ」
実はエルドラルからモネやネロに体験授業を受けてみないかと誘われたが、とある授業をたまたま覗いてみたらその光景がどうやら物凄く嫌だったようで、あれこれ理由を付けて断り、サクラとの魔法に関する座学に収まった。
(そんなに嫌だったんだ……)
「……そこを中心にするつもりないけど、グランの魔力は水属性と見て言い。水属性も含めて魔力は四つの基本属性と三つの特殊属性の計七つの属性に分類される。基本属性は水、火、風、土の四つ。特殊属性は光と闇そして無の三つ」
「無?」
「どういう属性なの?」
「なにもないんだよ」
「「へ?」」
無という属性はその名の通りなにも無い。
いや、正確には何も無いと言う訳ではなく、どの属性にも当てはまらない故に古の魔法使いによってそう分類されるようになった。
「無属性はどの属性にも属さない。だからどの属性の魔法、魔術とも相性が良い。簡単に言えば万能な属性だよ」
「私たちは?」
「二人は見た感じだと水属性に分類されるかな。まあ実践を積めばわかってくるだろうけど」
「クーちゃんは?」
「僕?」
「サクって色々な魔法使ってるじゃん」
「……もしかして」
「そうだね……」
属性はあくまでその属性系統の魔法、魔術と相性が良く、使用しやすいというだけで、別に他属性の魔法等を使用できないと言う訳ではない。
だが、サクラに関しては――。
「僕の魔力属性は無だよ。だから色々な魔法を使える」
「私たちもいっぱい使えるかな?」
「さあね……魔法にこれといった教科書は無いしね。この前も言ったけど大切なのはイメージすることだから属性は同じでもその魔法は二人オリジナルの魔法。だから色々な魔法を習得するのは二人のイメージと研鑽しだい」
「頑張ろネロ!」
「……うん」
二人は間違いなく歴史に名を残すほどの大魔法使いになるかもしれない――。
サクラは何となくそう思った。
頑張る心を持つ者ほど大魔法使いに近づき、至る――昔、師匠に言われたことだ。
「ちなみに魔法を使えるのは人間や悪魔たちだけじゃないよ」
「え」
「……そうなの」
「魔法の使用に長けた種族がいてね、エルフっていう種族なんだけど……まあそれはいつかでいっか」
「サクはそのエルフって人に会ったことあるの?」
「あるよ」
「……どんな人?」
「うーん……耳が長くて、魔力量も凄いし……やっぱ魔法に関しては人間目線だと達人の域だね」
「「へー」」
「まあ、エルフとかの他の種族のことはまた今度ね……っと、そろそろクオンも散歩から帰ってくる時間だ。今日の座学はこれにしておしまい」




