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復讐に染まった少女は輪廻の旅の果てに……  作者: ただの小林
3周目 第3話 雷魔潜む魔術都市
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第3話 雷魔潜む魔術都市⑨

 しばらくしてから、エルドラルがこちらに来た。


「どうもサクラさん、廃区に立ち入りたいということで――」


 よく見るとエルドラルの左手には複数束ねられた鍵があった。


「停電の原因があるかもしれないから」

「その話は学校でも話題になってましたね」


 直接的に関係ないのだが、微量な魔力を感じるということで話題に挙がっている。

 本来だったら魔術学校側も関わるべき……いや、魔力が微量でも反応があれば、その件に関わることが多い。

 しかし、魔術学校側の担当者が現在対応することが出来ず、結果的にギルド側に依頼が待って来たと言う訳なのだが……。


「まあ、トップ二人がいない今、私に権限が集中しているので……はあ」


 ため息をつくエルドラルの表情は披露しきっていた。

 理由が理由なのでしょうがないところもある。


「一応サクラさんにも鍵を渡しておきます」


 そう言ってサクラにとある鍵を渡す。


「この鍵があれば廃区……零区の立ち入りが自由になります」

「エルドラル殿、それは……」

「もちろん零区は危険地帯。ですが、サクラさんの実力なら安心できるでしょう」


 サクラの実力は、SSランク冒険者を圧倒するほどのもの。

 それは全ギルド支部とまでいかないが伝わっている。

 刀を向けられた男性も、その表情を見ただけでも高い実力者であることを認識させられた。


「それでもあなたの言い分もわかります。だったら私も同行しましょう」

「「……え?」」


 まさかの答えが返って来た。


「それこそギルドは許可が出せない。あなたは現在の魔術学校のトップなのですから」

「だったらサクラさんに護衛をして貰えばいいです。それ以前に私に護衛が要らないことくらい、あなたならわかるでしょう」


 男性の顔には大量の汗が流れる。

 後にわかるのだが、エルドラルはイリナトップクラスの魔術師であり実力の持ち主のようだ。

 そもそも許可を出すのは学校側と聞いたのだが、なぜギルドから許可を貰わないといけないのか……サクラが内心思っている事。

 エルドラルが要人であるからなのだろう……。


「……確かにあなたの実力は本物です。実際にイリナ支部であなたに勝る者などいないですし……わかりました」


 完全に納得はいっていないようだ。

 だが、冒険者ギルドが認めているのだから足手まといになることはないだろう。

 ただその会話はサクラを置いていく形で進められており、完全に蚊帳の外だ。

 サクラも同様に完全に納得がいっていない表情をしている。


「それではサクラさん、行きましょう」

「……うん」


 男性を置いていく形でエルドラルに案内されるまま零区の入り口に向かう。




 零区の入り口はそこまで離れているわけではない。

 そう時間をかけることなくついたそこは、地味な造りの扉がそこにあるだけだった。

 周辺も住宅で、特別目立つという程ではない。


「何の用でエルドラルは来たの」


 当然の疑問だろう。

 そもそも理由を聞かないままここまで来た。


「停電のことも理由の一つではあるのですが、最大の目的は謎の魔力の調査ですね」

「謎の魔力?」


 魔術学校には多くの魔術師もしくは魔術師を目指すものが在籍している。

 なかには敏感に魔力を感じ取ることが出来るもの少なくない。

 そのような一部の学生から、あるところから妙な魔力を感じるということを度々聞かされていた。

 その場所が零区であり、今回のサクラの停電の調査に同行するというのはエルドラルにとって都合が良く、今回サクラに同行する最大の理由だ。


「ちなみに、その報告を最後に聞いたのが昨日であり、停電が発生したタイミングとのことです」

「……関連あるんじゃないかな、それ」


 もちろん確定したことではない。

 だが、状況が状況なので関連性は高いだろう。

 

 扉の先は、薄暗く何もない狭い部屋……と言う訳ではなく、視線を少し下げると地下に続く階段があった。


「階段を降りた先は地下通路が続いておりまして、その先に同じように階段があります。そこを上がった先の出口から零区となります」

「……そ」


 特に言うこともなく、エルドラルもそれを理解して先へと進む。

 階段を降りた先は、地上よりさらに暗い。

 エルドラルが魔術によって明かりを灯す。

 そこまで明るい訳ではないが、足元が見えないというような危険は無くなった。

 

 道中の会話というものは特になく、淡々と目的地へと目指す。

 その間は脇道もない一方通行であり、魔物の気配もなかった。

 しばらくして、エルドラルの言っていた階段が見えた。

 階段を上がっていくと入り口と全く同じ造りの部屋に繋がっており、入り口同様の扉があった。

 扉を出た先は、目的地である零区――。


「そういえば、この先は具体的に何が危険なの?」


 危険だとは言われていても、具体的なことは何も聞いていないことを思い出す。


「そうですね、何からは話したものですか……」




 数十年前のこと――現零区に魔獣が現れた。

 さいわい、その魔獣の気配を事前に察知することが出来たので住民を予め避難させることが出来た。

 魔術学校の魔術師、ギルドに所属している冒険者のみとなった零区では、想像を絶するほどの死地となった。

 その魔獣の強さが異常なまでで、死者こそ出なかったものの重傷者や冒険者を引退したものも多かった。

 この戦いによる被害は人だけではなく、零区全体も被害が甚大――再起不能までに追いやられた。

 復興自体可能だったのだが、当時の状況的には難しく、結果的に零区を封鎖することで現状維持の状態のまま今日に至る……。

 そのようなこともあり、建物自体崩れる可能性もあるということに加えて、魔獣のような危険生物が住み着いている可能性もある――と言っても、魔獣といった反応もないのでそこは安心と言えるのかもしれない。




「そんなことがあったんだ」

「ちなみに私もその戦いに参加していましたよ」


 魔獣にとどめをさしたのはエルドラルとのこと。

 やはり実力は高いようだ。


「とにかく行こうよ、零区に」

「そうですね」


 ようやく、目的地である零区に立ち入る……。

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