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復讐に染まった少女は輪廻の旅の果てに……  作者: ただの小林
3周目 第3話 雷魔潜む魔術都市
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第3話 雷魔潜む魔術都市⑦

 イリナ魔術学校の図書館は世界最高峰だ。

 規模も本の数もだ。

 入館すると一面本だらけ。

 図書館なのだから当たり前なのだが、その量に一行は圧倒されている。


「……すげーな」

「そうですね」


 田舎の出で、サクラと出会うまで都会にすら行ったことが無かったメニシアにとってこれまでの旅は驚きの連続だ。

 その中でこの光景はトップクラスに圧倒されている。

 ここまでの量の本を見たことが無いからだ。

 それはサクラも同じだ。

 ビリンはファルカス城の書庫で見たことがあるのだが、ここまでの規模ではない。

 通常の学校の図書室より少し大きい規模程度だったので、こちらも驚きを隠せない。


「二人はどうするの?」

「明日の授業の予習にもなりそうなので一度魔術の基礎に関する本でも探したいと思います」

「だったら私もメニシアと行動するよ、サクラは?」

「適当に過ごすよ」

「閉館時間までいて、そのタイミング入り口に再度集合でいいよな」

「うん」「はい」


 ここで一度解散。

 各々の時間を過ごす。




 サクラは、司書の人に娯楽本はないかと尋ねた。

 最上階である五階にあるようで、面倒と感じながら五階に向かう。

 外部の人もいるので、館内の人数はそれなりにいる。

 ただし、外と違うのは図書館ということもあり圧倒的な静寂に包まれている。

 サクラにとっては安心できる。

 騒がしいのは好まない。

 ちなみに、クオンも一緒にいるのだが、大切な書物等を多く扱っているということもあり最初は断られるかと思っていた。

 しかし、すんなり通れた。

 動物自体使役している者も少なくなく、大抵は大人しい。

 ちゃんと使役できていれば、動物と共に入館すること自体は禁じられていなようだ。

 娯楽本があると聞いてはいたが、想像以上に多かった。

 全部読み終えるのに数か月かかるのではないかというくらいに。

 二、三冊手に取って席に座る。

 そのまま熟読をする。

 クオンはサクラの目の前で気持ちよさそうに眠る。




 ……建物全体が静かであるということもあり、サクラの集中力というのは極まっていると言えるだろう。

 戦闘や修行以外でここまで集中するのも、サクラにとっては初めてかもしれない。

 そもそも読書で集中したのは今回が初だと思う。

 すぐに一冊読み終え、もう一冊手に取るを繰り返しすぐに持って来た本を読み終えた。


(集中したな)


 上半身を伸ばす。

 同じ体勢を続けていたので伸ばすと気持ちが良かった。

 時計を見た感じ全然閉館まで時間があるので、持って来た本を元の場所に戻しつつ、新たに数冊本を取りに行く。

 読み終えた本が置いてあった場所の近くでそれは起きた。

 そこに近づいた時、誰かとぶつかった。

 サクラは特に体勢を崩すということはなかったが、もう一方は数冊の本と共に倒れた。

 その本はこの人が持っていたもののようだ。


「あの、大丈夫ですか」

「いや~すみませんすみません、最近寝不足でしてね」

(そんなこと聞いてないんだけどな)


 目の下のくまがハッキリとわかるから実際のそうなのだろう。髪もボサボサ……というよりアフロ?

 だが、それ以上に瓶底のメガネが目立つ。ものすごい瓶底メガネ。

 手を貸そうとしたが、その前に自力で立ち上がり、一緒に落ちた本を拾い上げる。


「もしかして外の人ですか?」

「……そうだけど」

「ここの制服を着ていないと言うのもあるのですが、ただならぬオーラを感じます」


 この段階でのサクラのこの人の評価は変人以外の何者でもない。

 ここの生徒は常に制服が義務なのだろうか……まぁ、ここに来る道中何人もの人が同じ服装だったことを考えればそうなのかもしれない。


「なんか気になること聞いたような気がするけど」

「気にしないでください、戯言だと思ってくださいな」

「……はあ」


 よくわからない人と絡んでしまったことに後悔をするサクラ。


「そうそう、明日私授業をします。一応外の人も参加できる授業ですねでぜひお越しください、サクラさん(・・・・・)


 男はそう言って去って行った。


「……僕、名乗ってないよね」


 謎という謎を残した変人さん。

 サクラの中では変人から要注意人物に格上げされていた。




 それからサクラは黙々と読書を続けていた。

 今度も持って来た本をすべて読み終えた。

 そのタイミングで鐘が鳴る。

 本日の授業の終了の合図らしい。

 図書館はそれから一時間後に閉館するらしい。

 試験期間だとさらに一時間閉館が延長される。授業の予習復習をする生徒もいるからだ。

 メニシアたちとは閉館時間になったら入り口に集合ということになっているが、次に本を読み始めると中途半端に終えてしますかもしれない。

 ここで止めて、クオンを起こして入り口に向かう。


「あれ?」


 入り口には見慣れた人たちがいた。


「サクラさん」

「やっぱりお前も来たか」


 メニシアとビリンだった。


「てっきり閉館の合図かと思って焦ってたんだけど、閉館じゃなくて授業の終了の合図なんだってな」

「さっきそのことを知りまして。サクラさんも?」

「いや、知ってたけど」


 初めの方に、娯楽本があるかどうかのことのついでにそのことも聞いていた。


「次回以降もこの時間帯集合にする? 閉館直後だと余裕(・・)がなさそうだし」

「賛成です、人も多くなりそうですしね」


 メニシアはサクラの考えを察しているようだ。


「私はいつでもいいけど、二人が言うならそれで良いぞ」


 一人は理解していなかった……。




 図書館を、学校の敷地を出てギルドの宿泊施設に向かう。

 道中、メニシアとビリンは盛り上がっていた。

 図書館での活動は実のあることでいっぱいだったのだろう。

 ところどころ、話が理解できないところがあった。

 だからといってサクラが嫉妬を覚えるなどは決してなかった。

 別に魔術の知識など必要と言う訳ではないからだ(もちろんある方が良いが)。



 ――て。



「……え?」


 唐突に何かが聞こえた。


「サクラさん?」

「どうした」

「……呼んだ?」


 メニシアとビリンは互いを見て、それを否定する。

 サクラは「そう」とだけ言って改めて目的地に向かう。


(……気のせいなのかな?)


 どことなく不安のようなものを覚えるサクラ。

 その不安が的中するとは、この時サクラもメニシア、ビリンの二人も知る由もなかった。




 無事に宿泊施設についた一行は、それぞれ交代で風呂に入る。

 一室ごとに浴室がある。

 これは各地のギルドが管理する宿泊施設には必ず設備されており、一人の時間を設けることでよりリラックスできるようにという考えから来ているようだ。

 その考えを出した人があまりにも人見知りが激しいからという理由が存在する、という噂があったりなかったり……もちろん大浴場も存在する。

 それぞれが風呂を済ませると、食堂で夕食を食べることに。


「そういえば、一区の方で停電してるらしいぞ」


 料理が来るあいだにちょっとした世間話。

 最初に風呂を済ませたビリンが飲み物を貰いにいまいる食堂に来た際に聞こえてきた話。


「ふーん」

「いかにも興味が無さそうですね」


 実際にサクラは興味が無い。

 空腹の状態なので早く料理が来ないかということにしか目がいっていない。


「でも、その停電って小規模なんですよね?」

「そうらしいぞ」

 

 停電と言っても広範囲というよりは特定の箇所にだけ発生する。

 その原因もよくわかっていないそうだ。


「魔術都市だからそういう類の暴走とかじゃないの」


 サクラの言うことも一理ある。

 魔術都市の名の通り、魔術が一般的な町だ。

 どの程度かは不明だが、魔術の暴走の一つや二つ大小問わず起こりうる可能性もあるのかもしれない。


「そうなんですかね」


 そういうものだということでこの話は終えて、別の話題に移っていった――。

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