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復讐に染まった少女は輪廻の旅の果てに……  作者: ただの小林
2周目 最終話 破壊の魔女
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最終話 破壊の魔女③

 破壊の魔女の体は、再び翡翠の光を纏う。

 そして、何事もなかったかのように復活する。


「魔を滅する短剣……想像以上だったねぇ」


 破壊の魔女は玉座に座る。


「私でなかったら死んでいたかもしれないねぇ」

「化け物過ぎますよ」


 メニシアは自身を呪った。

 サクラの旅に同行するようになってからまだ期間は短い。

 戦闘経験も同じくらい短いが、この場において打破できる唯一の手段と言えるだろう短剣が効かなかった。

 悪魔である魔鏡には効いたのに。

 ただし、これは本当に戦闘経験値が足りていない……ようは運やタイミングが悪すぎたのだ。


「放置するのも良いが、それで障害になるのも嫌だねぇ……殺すか」


 とてつもない殺意がメニシアを襲う。

 その殺意にメニシアは汗が止まらず、膝から崩れ落ちる。


「メニシア!?」


 サクラと共に旅をすることに後悔はない。

 しかし、自分の無力さも相まって、メニシアは心が折れかけていた。

 誰の心が折れていようが、破壊の魔女には関係のないことだ。

 メニシアの方に右手の人差し指を向ける。

 そして指先が光り輝き。


「坊やに恨みはないけど、ごめんね」


 瞬間、メニシアに目掛けてレーザーのような魔法を放つ。

 その速さはまるで一瞬――。


「メニシア!」


 メニシアと違い、戦闘経験豊富なサクラもさすが反応できない。

 魔法が近づいた時、メニシアはこれが最期なのだと悟り目を閉じた。。




 ……死んでいない。

 いつまで経っても攻撃が当たらない。

 メニシアは目を開く。

 目の前の光景にメニシアは驚いた。


「ほぉ……?」


 破壊の魔女は手を抜くことなく、本気でメニシアを殺そうとした。

 だからこそ、自身の持つ魔法の中で最速を誇る魔法を、頭部目掛けて放った。

 しかし、それは白い小さな光の壁によって阻まれた。

 サクラは安堵し、そして白い光の壁は何なのかと疑問に思ったが、その謎はすぐに明らかになった。


「猫だと?」


 白い光の壁の正体は、クオンが発動したものだ。


「クオン……でも、何で?」


 メニシアが驚くのも無理はない。


「いや、あり得ますね」


 驚いたが、アビルとの戦いの時を思い出してみれば、クオンに対する謎はあった。

 クオンの体が光りだしてから、メニシア自身も光り輝き、短剣について色々なことを知り、結果的に魔鏡を倒すことに繋がった。

 そのようなことがあったので、クオンにも何かしら特殊な力があるのではないかと考えていた。


「……」


 クオンと長年共にしていたサクラは、驚くとはなかった。

 今まで、光の壁のような特殊な力を見たことがない。

 ただ、エリアスの町に来る前に野宿した時、睡眠時に見た生々しい夢を見たのもあり、そこまで驚かなかった。

 その夢でもクオンは、光の壁を使用していなかったが、エンチャントのような力をさくらに使用していた。

 これらすべて、夢であるにもかかわらず、何故かその夢を信じてしまうサクラ。

 生々しいというより、実際に体験した(・・・・・・・)ような感じだったからだ。


「その猫……まさか、あの時の子猫かい?」


 先程から猫がいるなとは感じていた破壊の魔女だが、たかが猫だと思いつつ、何故猫がいるのかわからなかった。

 ただ、サクラがこの場にいたことでその正体に納得がいった。


「懐かしいねぇ、もう十年か……そうかい、そうかい」


 感慨深いのか、二度ほど頷く破壊の魔女。


「がっかりしたねぇ」


 その表情は、一気に冷酷と化した。





「何がだ」


 破壊の魔女の言葉の意味をわかっていない……いや、夢のおかげか、言いたいことがすぐにわかった。


「甘っちょろいとでも言いたいのか」

「わかってるじゃないか」


 返ってこないと思っていたので、ほんの少しだけ感心する破壊の魔女。


「わかっているならなおのことだ。そこの坊やはまだわかる、あの短剣は使い勝手が良いからねぇ。

でも、その猫が本当にただの猫だったらお前はピクニックでもしているのかと思ってしまう。

そして私はこう思ってしまう。可愛らしい復讐鬼だこと、とねぇ。

まぁ、光の壁を使えるからには、何があるのだろうけど、今のお前を見るに、その猫に依存しているようにしか見えない。

実際そうなんじゃないかい? 猫の意見一つで物事を決めたこととか」


 破壊の魔女の言う通りだ。

 クオンがいなければメニシアとも会っていないだろうし、旅もしていない。

 クオンが訴えてくればそれを飲んでしまう……確かに可愛らしい復讐鬼だ。


「そもそも、復讐に身を染めようとしている人が、他人の心配をしている時点で甘えだと思うがねぇ」


 言い終えると、その場で立ち上がる。


「エンチャント」


 破壊の魔女の真上に魔法陣が出現、下へと流れるようにして魔法陣が破壊の魔女の体を通過する。

 そして、明らかに気配が変わる。

 ほんの少しでも油断をしたら、瞬殺される。


「別に身構えしなくても良いさ――」


 気付けばサクラの目の前にいた。


「なっ!?」

「今すぐにあの世に行くのだから」


 いつの間にか破壊の魔女は刀を手にしており、その刃がサクラを襲う。


「ッ!」


 ギリギリ避けきることができず、脇腹を貫通する。


「サクラさん!」

「クソッ!」


 脇腹を刺されたサクラだが、即座に反撃する。

 しかし、反撃を読んでいた破壊の魔女に攻撃は当たらず、すでに玉座に戻っていた。


「大丈夫ですか、サクラさん」

「ニャ―」


 メニシアとクオンがサクラの元に行く。

 サクラは既に回復魔法を患部に使用しているが、回復しない。


「何で?」


 回復していないことに疑問を浮かべるメニシア。

 逆にサクラは理解した。


「……破壊か」

「その通り。破壊の名を冠しているんだ、破壊を再生させるとでも思うかい」


 サクラの貰った傷のように、破壊の魔女の攻撃によるダメージは基本的に回復は出来ない。

 魔力量が規格外に多い場合などの例外はある。その場合は回復速度が著しく低下する。

 サクラの場合、例外の方に当てはまる。

 回復させるまでの魔力量が足りていないからだ。

 雷鳴を使用したり、聖剣や刀に魔力を流し続けたりなどをした結果だ。

 ただ、それでも半分も魔力を使っていない。

 本来だったら回復できる魔力はまだ残っていた。

 だが、先程刺され、抜かれた時に魔力を抜かれた。

 結果、回復できるほどの魔力を失った。

 幸いなことに、雷鳴を数発放てるほどの魔力はまだ残っている。

 ただし、放てたらの話だ。


「……ッ」

「サクラさん!?」


 せき込んだと思ったら、吐血した。

 よく見ると、サクラの顔色は明らかに悪くなっていた。


「……本当に質の悪い女だ」

「まさか、毒ですか」

「ご明察だよ、坊や」


 刀を抜かれた際、魔力を奪われただけではなく、毒を仕込まれた。

 その毒がサクラの体を蝕む。


「サクッと殺すのも良いけど、苦しみながら死ぬ所を見るのも面白いからねぇ」


 実の娘の苦しむさまを見て嘲笑う。

 その表情、声は悪魔そのものだった。

 ただ、それは長く続かなかった……。

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