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復讐に染まった少女は輪廻の旅の果てに……  作者: ただの小林
4周目 第4話 呪われた天使
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第4話 呪われた天使㉕

「あれは……悪魔か……!?」

「そうだね、そんでもって正体は十中八九――サワンだ」


 キルライナとシャルを鷲掴みしているそれは誰がどう見ても悪魔と言えるその姿。

 しかし背に生える翼は、禍々しいオーラを放っているが、間違いなく天使の羽とも言える原型を残している。

 悪魔……いや、堕天使に近いのかもしれない。

 そしてその正体は、サクラとビリンの想像通りサワンマイラその人だ。

 オーラだけではない。

 姿も、元のサワンからは想像できないほどの禍々しさ。

 頭上には歪な形を持つ角も生えており、悪魔らしさというのが前面に出ている。


「クソッ……なん、でだ……」

聞いて、ないよ(・・・・・・・)……シャル……ッ、ぅぁぁぁあああ!!!」


 いつでも握りつぶせるほどの握力……今にでも崩壊してしまいそうな二人をただ見つめるシュウラ。

 危うくカウンターを入れられかけたタイミングでの介入……結果的に助けられたような形になったのだが……。


「サクラッ! 悪いが俺はこいつをやる、さすがにまずい――!」


 サクラに断りを入れ、サワンに攻撃するが、握る二人を盾代わりにしてシュウラの攻撃を受ける。


「何――!?」

「「……」」


 二人は今の一撃……いや、シャルに関してはその直前にサワンによって気を失っていた。

 用済みと判断したのか、サワンは握る二人をまるでごみを捨てるかのように遠くへと投げ飛ばす。


「いくら敵だからって――」

「――おいたが過ぎるよ」


 遮るようにしてサクラが聖剣で斬りかかるが、サワンは片翼で防ぎ、頭上から降り注ぐジャスティス・アローももう片翼で防ぐ。

 防がれたとわかったサクラは直前で間合いから離脱、聖剣にエンチャントを施し再度攻撃を仕掛ける。


「ハアッ!」

「……」


 一撃一撃を苦にすることもなく的確に対処していく。

 何が恐ろしいか、聖剣の一撃を腕で防いでいるのだ。

 普通の敵だったら斬り落とされてもおかしくない……というより斬り落としているにもかかわらず、悪魔と化したサワンには傷一つ付いていない。

 硬化したようにも見えない……単純な身体の耐久力なのか――?


「……! サクラ避けろ――!!!」

「え……?」


 突然のビリンの呼びかけ――すぐに言葉の意味がわかった。


「――――!」


 表現しようがない咆哮と共に、口元から呪われたエネルギー波がサクラに目掛けて放たれる。

 ビリンの呼びかけもあり、回避と守備行動に移っていたが、予想以上に速い――。


「――楯……いや、()か……!」


 間に合わないと思われたが、サクラの目の前にエイジスの楯が召喚され、攻撃を防いだ――いや、飲み込んでいる。

 大楯エイジスはあらゆる攻撃を防ぎ、魔を冠するものなおのこと。

 さらに、楯が花を咲かせることによってあらゆる攻撃を包み込むようにして吸収……ビリンの合図とともに、再度花を咲かせることによって、元の威力よりさらに強力な一撃となって相手に返すカウンター技が最大の特徴。

 今回も例に漏れず、サワンの咆哮を吸収し、そして放つ――。


「放て! エイジスの花よ――!!!」


 吸収された一撃が、地を抉る程の一撃となってサワンに襲い掛かる。


「……」


 当のサワンは、迫りくるカウンター技をただ見つめるだけで、そのまま飲み込まれてしまった――。




「ありがとうビリン、良く気づいたね」

「いつも守備を意識した戦いをしているからかもな。シュウラも準備が無駄になったことだ――」

「さすがにあの楯は予想外だった……だが、あれで終わるほど軟じゃないだろ」

「そうだね……」


 サクラたちの視線は、土煙が立つサワンのいる場所に向けられる。

 徐々に土煙が晴れていくと、何事もなかったかのようにサワンが立っていた。

 呪いなのか、全身が禍々しいオーラを纏わせており、それは強くなっていっているのも伝わる。


「どうする? あいつらを動かす訳(・・・・・・・・・)にもいかないし(・・・・・・・)……」

「問題ない、僕たちだけで十分(・・・・・・・・)だ……」


 聖剣に魔力を込めるのと同時に、自身とビリンとシュウラにもエンチャントを施す。


「行くよ――」


 これより、サワンを助ける戦いが始まる――。




 モネとネロの悪魔化と同じであるのなら、サワンの悪魔化も解除、救うも可能であるはず――。

 それを踏まえてサクラとビリンは行動に移す。

 シュウラもある程度の情報を聞き入れ、サクラの作戦のもと、唯一その場にとどまり拳にエネルギーを集束させる。


「ああああああ!!!」


 エネルギーに反応したサワンは、そのままシュウラに突進する。


「来たか……」


 突っ込むサワンを避けることもせず受け入れ……いや、直前にサワンの攻撃をいなすようにして避けている。

 視界にはサワンの背が映っていた――。


「――破邪の鼓動――!」

「――――!?!?!?」


 片手をサワンの背に当てると、そこを中心に強力な振動を発生させる。

 さらに、字の如く邪悪なるものには絶大な威力を発揮し、それだけではなく、悪に落ちたものを目覚めさせることも出来るというおまけつき。


「……ッ、やはりだめか」


 おまけはあくまでおまけ……強力に悪に落ちたものを完全に目覚めさせることは出来ない。

 現にサワンは、大きなダメージこそ貰ったが、それ以外に大した変化は現れなかった。

 だが、そんなことは端から想定済み。

 ダメージときっかけ(・・・・)さえ作ることが出来ればそれで良いのだ。


「お前の相手は俺だけではない……!」


 今度は背に蹴りを入れ込み、前へと突き飛ばす。

 破邪の鼓動の衝撃が思いのほか効いたようで、先程の大楯エイジスのカウンター技を耐えた時と違い容易く受けてしまった。


「悪く思うなよ――サワン!」


 間合いを詰めてきたビリンは、エンチャントの加護が付与された槍の一撃をサワンに放つ。


「ジャスティス・アロー!」


 得物である槍にエネルギーを集束、さらに自身の魔力も付け加えた至近距離からの必殺技。

 光は槍から離れ、最大威力でサワンの身体を直撃する。


「――――!!!!!!」


 声にもならない苦痛の叫びが響き渡る。

 ジャスティス・アローの光の飛ぶ方向へと投げられるように飛ばされるサワンの頭上には、光を纏った聖剣による大いなる一撃を放つ準備を整えたサクラがいた――。


「グランドカリバーーー!!!」


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