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復讐に染まった少女は輪廻の旅の果てに……  作者: ただの小林
4周目 第4話 呪われた天使
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第4話 呪われた天使㉔

「サワン!!!」


 ビリンの目の前に映るのは、一本の禍々しい光線で心臓を貫かれたサワン、嘲笑うようにそれを見るシャルにキルライナの二人。

 それはサクラとシュウラも同じだった。

 手遅れであることは明らかだ……いや、速やかにサワンを救出したらあるいは――。


「――三ノ太刀、修羅・一閃!」


 赤黒き灼熱の炎を刀身に纏わせ、檻を壊しにかかるが、あらゆるものを斬る一閃でさえそれを壊すことは叶わなかった。


「落ち着けサクラ、よく観察しろ」

「――ッ」


 シュウラの一言で冷静さを取り戻したサクラは改めて檻を構成しているものを分析する。

 悪魔の檻……そして悪魔因子――彼らが口にしたこの単語……。


「なんだ……簡単なことじゃん」


 刀を納め、背負っている聖剣に手を伸ばし、構える。


「……参る」


 地を蹴り、悪魔の檻に向かって飛ぶように勢いよく直進。

 悪魔の檻は、所詮は魔の付く異能……そう、だから聖剣に切り替えたのだ……あらゆる魔を斬る聖剣に――。


「――ハァア!!!」


 振り上げた斬撃は、先程と違い容易に檻を破壊することに成功。

 一気に崩壊する檻の中には、キルライナとシャル、そして倒れるサワンがいた。


「放つは大いなる勝利の一閃――グランドカリバー!」


 檻を壊した際に同時に吸収した悪魔因子を用いた最強の聖なる光の一閃がキルライナとシャルに襲い掛かる。


「おっと」

「こわ」


 明らかに普通ではない攻撃であることを察知した二人は即座に回避行動を取り、それぞれ大きく後退することになった。


「――サワン――!!」


 倒れるサワンに近づくサクラだが、ここでほんの少しの違和感を覚える。


(体温を感じない――? だが鼓動は感じる……だが、貫かれた箇所から血が流れていない……これは……?)


 とても普通とは思えないサワンのその身体は、次第に心臓の鼓動が大きくなり、遠くにいるビリンやシュウラ、キルライナとシャルにまで聞こえ届く。


「ハハハッ、始まったぜ――」

「サワンに何をした……!」

「見ればわかるさ……早く離れた方が良いよ、サクラちゃん」

「――!?」


 サワン……だったもの(・・・・・)の身体から発せられる強大なエネルギーは、サクラに避ける隙を与えることなく飲み込んで行く。


「――ッ」


 避けるのは不可能と判断したサクラは聖剣を盾代わりにするが、強大なエネルギーに押し切られてしまう。

 吹き飛ばされたが、受け身を取り事なきを得て、ビリンたちのいる方へと後退する。


「大丈夫かサクラ――!」

「うん……でもあれはさすがにまずいかも……」

「……あれは魔力ではないよな……」

「呪い……サワンが抱えていたそれをあいつらは暴走させた……多分心臓を貫くことがトリガーとなって……いや、違うか――」


 血液同様魔力にとっても心臓は重要な役割を持つ。

 だからと言って心臓を貫いたところで魔力や呪いが暴走するなどとサクラは聞いたことがなかった……つまりは――。


「あれは心臓を貫いたんじゃない、植え付けたんだ……悪魔因子を――」

「「ご明察――!」」


 キルライナとシャルの人を馬鹿にする――嘲笑うかのような声が聞こえる。


「俺たちの真の目的は――」

「本来持つはずのない呪いをその身に抱えるサワンマイラに悪魔因子を取り込ませることによって――」

「「悪魔を誕生させる!!!」」

「……ゲスだな」

「……そうだね、グランと同等かも――」


 魔術都市イリナでキルライナたちと同じ冥府の誘い、七司教が一人であり、魔術学校の教師を務めていたグランが引き起こしたパンデモニウム計画。これはモネとネロの悪魔化させ、後に都市の人々すべてを悪魔化させるという悍ましい計画である事件だが、最終的に悪魔化したグランを倒すことで終止符を打った。

 キルライナとシャルが行ったことは、グランのしたことと何の代わりもない……。


「安心しろ、別にグランのように都市にいる全員を悪魔化させるとかじゃないからな……あくまで実験(・・)だ」

「実験?」

「そう……サワンを悪魔化させる……そのプロセスを悪魔を召喚に用いることが出来ないから……あるいは蘇らせる(・・・・)ことができるかどうか……」

「蘇らせる……なるほどね、サワンのことも裏切り者(・・・・)とか言ってたし……正真正銘の狂信者か……!」

「つまりはあいつらが甦らせようとしてるのは――」


 魔王――サワンを含めた勇者一行に倒された存在……。


「あぁそうさ、魔王様復活は俺たちにとって最大の夢であり目標――」

「だから魔王様を殺したサワンは裏切り者……組織を抜けるだけだったらいざ知らず……でもサワンの特異体質が今回に至った……恨むなら自分自身にね――!」


 言いたい放題言う二人に静かに怒りを覚えるサクラ、そしてビリン。

 そんな中、先陣を切って言葉にしたのはシュウラだった。


「正直なところ、サクラたちが数日前にいた魔術都市の顛末は知らないし、興味が無い。お前らがやることなすことも同じだ――」


 手甲(ナックル)を装着、臨戦態勢の構えを取る。


「だがな、悪魔化だのなんだのと外道な行いは流石に見過ごせない……そんなのは自らの身体で実験でもしてろ、迷惑だ――!」


 その場から消えた……いや、眼で追えないほどの速さでキルライナとシャルに近づいたのだ。


「はや――ッ」

「キル――ァッ」


 超高速の打撃が二人にそのまま命中、すぐさま連撃に移るが――。


「「舐めるな!!!」」


 二人の得物が、シュウラのそれぞれの一撃を受け止める。


「なるほどな、組織の幹部を自称するのも頷ける……ッ、なんだ……?」


 さらに一撃を入れようとしたタイミングでそれ(・・)は目覚め、そして、キルライナとシャルをそれぞれ鷲掴みにする――。

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