目覚めるもの
・・・知らない天井だ。
ここは一体?
身体を起こし、あたりを見回す。
周りが暗くて、よく見えない。
俺は、何をしてたんだっけ?
頭に手を当てて考えてみる。
確か、いつものように学校行って。
いつものように帰って。
その時に、ゲームショップ見てたら背中に何か当たって・・・。
つまり、俺は死んだのか!?
まだクリアしてないゲームもたくさんあったというのに!!
畜生!
悔しい気持ちを拳に乗せ、叩きつける。
しかし、拳は柔らかいものによって跳ね返される。
なんだこれ。
触れてみると、いい肌触りだ。
寝ていたことからも考えると、これはベットか。
ということは、俺がいるのはもしかして病院か?
だんだん目が慣れてきた。
なんとなく自分の手を見る。
ん?なんか違和感が?
握ったり開いたりしてもどこにも異常はない。
でも、どことなく、ちいさい?
こんこんこん
!?誰だ!?
音のした方を見る。
ドアがゆっくりと開いていき、光が入り込んでくる。
眩しさに目を瞑る。
なんだ?誰が来たんだ?
「ソルト様。如何なさいましたか?」
恐る恐るといった感じでメイド服を着た女性が入ってくる。
え?何何!?どういうこと!?
病院にメイド服!?
頭おっかしいんじゃねぇの!?
いや、おかしいのは女性だけじゃない。
廊下と思しき場所から光が差し込み、部屋の一部が見える。
そこにあったのは、普通洋館にあるようなものたちだ。
病院にあるはずがない。
ここ、何処?
「あの、大丈夫ですか?どこかお身体の調子が良くないのでしょうか?」
「うおっ」
いつの間にか近くに来ていた彼女に、つい驚く。
よく見ると、かなりの美人だ。
そんな人が、俺のことを心配そうに見ている。
こんなことが許されていいのか?
これってもしかして・・・異世界転生!?
異世界転生なのか!?
だとしたら俺って主人公的な立ち位置だったりする!?
やべぇわくわくしてきたかも。
だとしたら、この人にあんなことやこんなこともしてもらえる!?
「あ、あの?」
おっと、一人で盛り上がってる場合じゃねぇ。
今放置状態だった。
とりあえず何か言った方がいいよな。
「あ、あの。おっぱ、いや胸をもんでもいいですか?」
んん?あれ!?何言ってんの俺!?
やべぇ、変な気持ちが先行しすぎて完全にセクハラしにいってんじゃん!!
この人も何も言わないし、嫌われた!?
初対面で!?
「あ、あのその・・・これは違くて、ですね・・・そのぉ」
完全に動揺してしまって、言葉がうまく出ない。
そのうちに、彼女はダッと走り去ってしまった。
去り際、彼女の眼には光るものがあったような気がする。
あ、これ完全に終わったわ。
俺の第二の人生終了のお知らせ~。
ハハッ、なんでこうなったのかなぁ。
俺の発言のせいですねごめんなさい。
はぁ。
ベッドに腰かけたまま、ぼうっとしてるとコンコンコンとノックの音がした。
目線を上げて、扉の方を見る。
今度はスーツのようなものに身を包んだ、白髪のおじいちゃんが立っていた。
「ソルト様、御父上様がお呼びでございます。まずは着替えましょうか」
そう言い、部屋へ入ってきてカーテンを開ける。
そのまま壁にある扉の方へ行き、開く。
その先は、いろんな衣装が置いてある衣裳部屋だった。
なんだこれすっげぇ。
「本日はどのようなものにいたしますか?」
「えっ?あ、えっと・・・」
「・・・御父上様をあまり待たせる分けにもいきませんので、こちらで選んでしまっても宜しいでしょうか?」
「え?ああ、はい。お願いします」
良かった。正直どうするなんて言われたってファッションのことは何もわからんし、助かった。
しかも、どうせさっきのことで怒られるんだろうなぁ。
猶更何を着ればいいかなんて、わかんねぇよ。
おじいさんが選んだ服に、言われるがままに着替える。
因みに手伝おうとしてきたときは断ったけど、着方が違うって言われて結局手伝ってもらってしまった。
高校生にもなって恥ずかしい。
そのまま、裁判に向かう犯罪者のような気持ちで彼についていく。
「さあ、お入りください」
「は、はい」
おじいさんが一つのドアを開けながら、入るよう促す。
それにおずおずと従い、部屋の中に入る。
そこには大きなテーブルがあり、その上には料理が並べられていた。
これは?
「うむ、来たな。そこに座れ」
「はい・・・?」
声のした方を見ると、壮年の男性が席についていた。
その両隣にも人がいる。
恐らく、その男性の奥さんだと思われる女性。
その反対に10歳前後だと思われる、男の子がいる。
さらにその隣に男の子よりは小さい女の子も座っている。
俺は、男性が座っているのとは反対側に座らされる。
家族というより、お客様みたいだな。
じゃぁ俺は何で此処に居たんだろうな?
俺の疑問はよそに、食事が始まる。
俺の前にもみんなと同じものが置いてある。
四角いパンに野菜や肉などが挟まっているものだ。
まあ、サンドイッチだな。
それをナイフとフォークで食べている。
いや無理だろこれ。なんで崩れないんだ?
俺のはどうやっても崩れてしまう。
手で持った方が楽だろ。
特に会話もなく食事が終わる。
チラチラと此方をうかがうようなことはあったけども。
「ふむ、食事も終えたし今日の本題に入ろう」
そう言ってその場の全員が俺を見る。
おおう、すごい圧が・・・。
これ、俺どうなっちゃううんだ!?




