第60話 クリスマスイブにデートです。 ①
今日の日付は12月24日。 時刻は只今、お昼の15時頃だ。
俺は何回も何回もスマホの画面を見るが、スマホに表示されている日付は変わらない。
「…………まさか、クリスマスイブにデートできるなんて思っていなかったな」
俺は独り言を呟きながら、周りを見る。
周りはクリスマスイブだから、多くのカップルで賑わっていた。
まさか、俺もこの集団の一員になる日がくるなんてな。
女友達がいなかった1年前からは考えられないよ。
俺は両手を擦り合わせながらそんなことを思う。
ここ最近ずっとしていた右手の包帯とテーピングの感触はなくなっていた。
「陸くん! おまたせ!」
俺がソワソワしながら集合場所で待っていると、後ろから鈴の元気な声が聞こえた。
俺は後ろを振り返る。
そこには可愛い私服を見事に着こなした鈴が立っていた。
…………夏にデートした時の服装も可愛かったけど、冬の服装も可愛いな。 とっても似合っている。
「別に待ってないよ。 俺も今来たところだから」
「なら、良かった~!」
鈴はほっと胸を撫で下ろす。
今日の鈴の服装はクリスマスイブを意識したからか、白が基調になっていた。
白のニットにふんわりとしたロングスカート。
マフラーやカバンも服装に合っていて、見ていて雪を連想させるぐらい綺麗だ。
「鈴の服装いいね。 可愛い」
「え、そう?……えへへっ、ありがとうっ!」
俺が鈴にそう言うと、鈴は少し照れながらはにかむ。 う~ん……可愛い!
「それじゃあ、行こっか」
「うん」
俺は鈴について歩いていく。
———————————デートに誘われたあの日、俺は勢いに押される形でこのデートにOKを出した。
そこからの鈴は早かった。
あの日の夜にはデートプランを直ぐに出してくれたし、時刻や集合場所も直ぐに決めてくれた。
俺はあまりの手際の良さに驚くばかりで、全部鈴に任せてしまった。
「まずは夏にできなかったショッピングからしようか!」
「分かった!」
俺と鈴は県の中心部にある商店街付近を歩く。
ここには色々なショッピングモールがあるし、複合エンターテインメント施設などもある。
普段はこっちの方にはあまり来ないんだけど、鈴の強い希望により、今日はこの辺りを散策することになっていた。
「とりあえず、あそこのショッピングモール入ろうか!」
「オーケー」
俺と鈴はショッピングモールに入る。
クリスマスイブだからか、家族連れやカップルがいつもより多かった。
「うわっ! クリスマスモード一色だねぇ」
「そうだね」
ショッピングモールの中にはサンタのコスプレをしている人がいて、ツリーや飾りが惜しげもなく展示されていた。
「ああいうの見てたらさ、テンション上がらない?」
「上がる上がる! 多分、この気持ちは当分なくならないと思うんだ」
「あはは! その意見に私も賛成だよ!」
俺達はエスカレーターに乗って、ドンドン上に上がっていく。
とりあえず上に向かっているけど、最初はどこに行くんだろ?
「あ、ここだよここ! 今日はまずここに来たかったの!」
エスカレーターから降りると、鈴は御目当てのお店を見つけて指をさした。
俺は鈴の指先を追う。
そこにあったお店は男女の服を扱っている、普段の俺なら近づかないであろうお洒落な服屋さんだった。




