第44話 同じ塾で隣の席の女の子と、漫画の貸し借りをしました。
体育祭が終わってから数日。
今日は体育祭が終わってから、初めての塾の日だ。
あれからも体育祭は大いに盛り上がった。
終盤まで赤組と白組は均衡し、最後の3年生による男女混合リレーで勝敗がついた。
優勝は赤組で、惜しくも白組は負けてしまったけど、体育祭は楽しかったなぁ。
「あ、陸くん。 お疲れ〜」
「お疲れ〜」
そんなことを思っていると、鈴が塾に来た。
手にはいつも担いでいる勉強カバン以外に、小さな手持ち袋を持っている。
ちなみに、俺も鈴と同じような小さな手持ち袋を持ってきていた。
それは何故かというと————————
「はい。 これ○*の3巻〜6巻」
「ありがとう。 俺も持ってきたよ☆♪の15〜20巻」
————————漫画の貸し借りをするためだ。
夏休みのデートで漫画の貸し借りを約束して以来、あれから継続して行っている。
最初は俺がスポーツものを、鈴が少女漫画を貸すっていう感じだったけど、今は俺がバトルもの、鈴がラブコメディを貸すという風に変わっていた。
「この漫画当たりだったよ。 バトルものって血とかいっぱい出てグロいのかな?って思ってたけど、これはそんなにグロくないね」
「なら良かったよ」
「私が貸した漫画はどうだった?」
「うん。 面白いよ。 主人公サイドの話も面白いけど、ヒロインサイドの話も面白いよね」
「そうそう。 この漫画って両方の面が面白いんだよね。 いや〜陸くんが好きみたいで私も嬉しいよぉ〜」
俺たちはお互いに手持ち袋を交換して、ちゃんと返ってきているか、新しい巻が入っているか確認をする。
こうやって漫画の貸し借りをする様になって分かったけど、案外鈴は『熱い闘い』が好きみたいだ。
スポーツものやバトルものの熱い闘いのある巻は特に読んでいるみたいで、塾終わりの感想会では、熱のこもった感じで感想を教えてくれる。
ちなみに俺は鈴から漫画を借りるようになり、女キャラクターを少し意識して漫画を見るようになった。
……女の子同士の駆け引きも面白いもんだな。
「さぁ、授業を始めるわよ〜って、2人とも何持ってるの?」
俺がそんなことを思っていると、北山先生が教本を持ちながら席についた。
俺はヤバイ!っと思ったが時は既に遅く、北山先生は俺の手持ち袋の中身を覗いてしまった。
「あら、塾に漫画を持ってくるのはよくないのよ? それは分かってる?」
「分かってます。 すいません……」
「り、陸くんだけが悪いんじゃないんです!」
「あら、じゃあどういうことかしら?」
「そ、それは私の漫画なんです!」
「ふむふむ。 松田さんも同じような手持ち袋を持っているし……漫画の貸し借りをしていたってところかしら」
「はい。 そうなんです……」
「ふ〜ん。 ちなみに松田さんは春名くんからなにを借りたの?」
「これです」
「ふむふむ……ちょっと2人とも私の近くに来て」
北山先生は松田さんの袋を見たあと、手招きをしながら俺たちを呼ぶ。
なんだろう? やっぱり怒られるのだろうか? 没収されちゃうのかな?
俺たちが近づくと北山先生は小さな声で話始めた。
「……塾に漫画を持ってくるのはいけないことです。 今後控える様に」
「「はい……」」
「……話は変わるけど、貴方達もその漫画好きなのね。 わたしも持ってるわよ。 機会があったら3人で語りましょ」
北山先生はそう言うと、教本を開く様に俺たちに指示を出す。
それを聞いて俺たちはお互いに顔を見合わせるのだった。
……北山先生もあんがい漫画好きなんだな。




