第36話 同じ塾で隣の席の女の子とプールに来ました。 ③
少しして落ち着いた俺は松田さんと一緒に色々なプールで遊んだ。
最初は少し気まずかったけど、無料貸し出ししている浮き輪を見つけてからは、俺達の気まずかった雰囲気はなくなり、一気に楽しい雰囲気へとなった。
浮き輪に乗るのを交代しながら流れるプールは楽しかったなぁ。
浮き輪押しながら流れると予想以上に早くてビックリしたよ。
後、色々な高さに変わる波のプールも楽しかったな。
二人でどっちが速く奥までいけるか競走したら、白熱した戦いを繰り広げちゃったよ。
ちなみに僅差で俺の勝ちだ。
予想外の出来事が起こったのはウォータースライダーの時だな。
時々、漫画とかでウォータースライダー滑って女の子の水着が脱げそうになる!みたいなことがあるけど、まさか俺の水着が脱げそうになるとは思わなかった。
よく女の子がキャー!!とか言うけど、まさか俺がギャー!!と言う羽目になるとは……。
ちなみにそんな俺の姿を見て松田さんはケラケラ笑っていたので、とりあえず顔に水をかけておいた。
すると、そこから水の掛け合いが始まって長い時間追いかけっこをしてしまった。
「はぁ……楽しかったぁ。 そして、お腹すいたぁ」
俺達は追いかけっこが終わったあと、お腹も空いたから昼食を食べることにした。
しかし、俺は財布を更衣室に置いていたので取りにいかないと行けなかった。
今は財布を取って松田さんのところに向かっているところだ。
「俺も松田さんみたいに小さなカバンに貴重品入れて、コインロッカーに保管しておけばよかったな」
俺はそんなことを思いながら松田さんのところに向かうと、松田さんの周りには三人の男子がいた。
全員坊主頭で俺よりも背が高い。 高校生ぐらいか?
「ねぇねぇ一人なら一緒に遊ぼうよ」
「ご、ごめんなさい。 友達と来ているので……」
「なら、その友達も一緒に遊ぼうぜ!」
「おい、お前やめとけって」
「ナンパなんてしてもどうせ俺達じゃ成功しないよ。 空しくなるからやめようぜ」
どうやら松田さんをナンパしてるみたいだ。
でも、3人中2人は消極的で、一番背が高い積極的な奴がナンパしているみたいだな。
……なに松田さんをナンパしてるんだよ。
「止めるなお前ら! 俺は部活を引退してやっと自由になったんだ! でも、遊ぶような女の子の友達はいない!! だからこうやってナンパしてるんだろ!? 遊ぶだけでいいんだ! 本当に遊ぶだけでいいんだ!! 俺の灰色な青春に、一輪だけでもいいから花を咲かせたいんだ!!」
「うわっこいつ悲しいこと言い始めた」
「俺達にもダメージくるからそんなこと言うなよ……」
「あ、あの————————」
「————————すいませんっす。 彼女になんか用っすか?」
俺は松田さんの手を引いて背中に隠すようにして、男子3人の前に出る。
3人とも俺よりは背が高いけど、嘗められないようにするために出来るだけ低い声を出して睨みを効かせた。
会話を聞いてたら、そんなに悪い人たちじゃなさそうなのはなんとなく分かった。
でも、あんたたち駄目だよ。 だって————————
「は、春名くん?」
————————松田さんを涙目にして、手を震わせるぐらい怖がらせたんだから。




