第101話 陸上部の顧問に呼び出されました。
「失礼します」
「おー春名悪いなぁ。 わざわざ来てもらって」
「いえ、全然大丈夫っすよ」
ある日の昼休み。
俺は陸上部の顧問に職員室へと呼び出されていた。
どうやら大切な話があるらしい。 一体なんなんだろう?
「とりあえず、ここだと周りの目が気になるから、別の部屋に行くか」
「あ、はい、分かりました」
俺は顧問に着いて行って職員室を出て、空き教室へと入る。
そして、席に座るように促されたので座った。
俺の目の前には顧問がいる。 空き教室に2人っきり。
ヤバい。 ドキドキしてきた。 俺なにかやったかな? 怒られないよな?
俺はハラハラしながら目の前に座る顧問を見る。
怖くてなかなから顔を見ることができなかった。
「とりあえず、県大会お疲れ様。 良い走りだったな」
「あ、はい、どうも」
あの大会から2週間後に県大会が行われた。
プロのスポーツチームが使うような立派なグラウンドで大会が開かれ、各地区の猛者達が集まった。
うちの中学からは100メートル競走でツバサが、砲丸投げで2年の男の後輩、走り幅跳びで2年の女の後輩、5000メートル競走で俺が選ばれた。
顧問の車に揺られて会場へと向かい、いつもとは違う新しいグラウンドにドキドキワクワクしていると、大会が始まった。
結果は全員県大会を突破することはできず、次のスタージへと進むことはできなかった。
でも、県大会に出たことで自信になったし、県大会を突破するにはどれくらいの実力が必要なのかが分かった。
俺は5000メートル競走で2グループ中、1グループ目の真ん中の方からスタートだった。
どうやら俺が所属している地区は、県内でも結構レベルが高い地区だったようだ。
実際に走ってみると1グループ目の35人中、19位だった。
次のステージに進めるのは上位7人ぐらいだから、まだまだ実力を上げないといけないな。
「さて、今日お前に話したいのはな。 実はお前を欲しいって言っている高校が1つだけあるんだ」
「………………え、本当ですか!?」
「本当本当」
俺はあまりのビックニュースに驚いてしまう。
確かに県大会に出場はしたけど、あまり良い成績を残せなかった。
なのに、俺を欲しいって言っている高校があるだって!?
「お前の進路候補の1つに□□高校あるだろ? そこの陸上部の監督がお前を欲しいって言ってるんだ」
「マジっすか!? そこ、今のところ俺の第1志望っすよ!?」
「知ってる知ってる。 あの高校実は今年から陸上に力を入れるみたいでな、良い選手を集めようとしてるんだよ」
「そうなんですね……」
「まぁ、実績があんまりないから学費免除の推薦とか、陸上特待生の枠とかはないんだけど、もし□□高校に来てくれるなら、普通の受験生より合格はしやすくなるらしいぞ」
「マジっすか!?」
いや、普通の受験生より合格しやすくなるだけで十分嬉しいんだけど!
「実はな。 お前のことは□□高校の監督、結構見てたらしいんだよ」
「え、なんでですか?」
「まぁ、昔から付き合いがある俺が推してたっうーのもあるけど、メキメキお前実力を上げていってるだろ? だから、将来性とかに期待してるんだと」
「ま、マジっすか……先生俺を推しててくれてありがとうございます!!」
え、嬉しいんだけど。 スカウトされるだけで嬉しいのに、見てくれてたなんて嬉しすぎるんだけど!!
「まぁ、お金のこととかもあるからすぐに決めるのは難しいと思うけど、そういう話があったってことは頭に入れておいてくれ。 で、親御さんと話して、□□高校を受験するってなったら、俺にも教えてくれ。 あちら側に連絡するから」
「わ、分かりました!」
「じゃあ、話はこれでお終いだ。 お疲れさん」
「ありがとうございました!」
俺は顧問に頭を下げてから部屋を出る。
まじかまじかまじか! こんな話ある!?
上手くいきすぎじゃない!?
俺はあまりの出来事に思わず笑みを浮かべてしまう。
とりあえず帰ったら母さん達に相談しよう。
俺はウキウキで廊下を歩いて、自分の教室へと戻ったのだった。




