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宇宙戦記:Art of War ~僕とヤンデレ陛下の場合~  作者: 土岡太郎
第4章 第一次対大同盟戦

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マレンの戦い 02



 宇宙暦1799年6月20日―


 ミナノを進発してから、星の海を航行すること4日、惑星トルトナ付近で艦隊の先頭に位置するリュス艦隊に、先行する偵察艦から前方に敵艦隊がこちらに向かって進軍中という情報がもたらされた。


「全艦戦闘態勢、直ちに陣形を横陣に変更する! 後方の味方にも敵艦隊接近の情報を回せ!」


 リュスは行軍時の縦陣から、基本的な戦闘陣形である横陣へと艦隊陣形を変更する。


 陣形の変更が完了した時、敵艦隊との距離は3万キロまで近づいており、偵察艦より敵の艦数が約3000隻と追加の情報が伝えられた。


「数は互角だな」

「後方にいる味方艦隊を待つためにも後退しますか?」


「いや、敵も我が艦隊の後方に我らの本隊がいることは、予測しているはずだ。我らが後方の艦隊と連携を取るために下がれば、勝ち目がないと判断して即退却するであろう。そのためにもここは我らだけで戦端を開いて、敵をこの戦場に拘束して味方の到着を待つ」


 参謀のマルグリット・マルソー准将にそう答えると、リュスは2万1千キロまでに陣形の変更を終えて、攻撃命令を下す。


「撃て!」


 リュスの号令と共に射程の届く艦からビームが放たれ、接敵距離が2万キロに到達した時点で両艦隊の残りの艦よりビームが一斉に放たれ、戦場を飛び交うビームはそれぞれの艦のシールドに命中して粒子となって弾け飛ぶ。


 それが何度も繰り返され、シールドへの負荷でエネルギーを消費して、維持できなくなった艦から船体にビームの直撃を受けてダメージを受けていく。


 そして、そのダメージが限界を超えた時、艦は爆散して宇宙の塵となってしまう。

 そうして、最終的に残った艦の多い方が、戦いの勝利者となる。


 だが、今回の戦いはそうはならなかった。


「よし、もういいだろう。リサンドリアに撤退する」


 戦闘開始10分で、ドナウリア威力偵察艦隊を率いるペーター・オトマイアー中将は、ガリアルム艦隊の本隊が参戦する前に撤退命令を下す。


 これは、彼の上司メーラー元帥の指示であり、彼はその命令どおりに被害が軽微の内に撤退を開始する。


「敵が後退していきます」

「追撃しますか?」


 マルソー准将が追撃するかどうかリュスに指示を求めた。


「いや、あまりにも呆気なさすぎる。何か罠があるかもしれない。ここは、殿下の判断を仰ごう」


 すると、彼女はこう答えた後に、今度は自分がフランに指示を求める。


「確かに貴女の言う通り、撤退するのが早すぎる。罠の可能性もあるな… 偵察艦で様子を探らせるほうが良いであろう」


 敵が敗走を装いながら撤退する時は、その先に敵を誘引して罠に嵌めるか、伏兵を用意している可能性が高い。


 フランはそれを懸念して、偵察艦を送り込み情報を集めることにする。

 そして、偵察艦からの報告は<異常なし>で、敵艦隊はリサンドリア方面に撤退しているとの事であった。


 その情報を得たフランは先程の艦隊の目的が、威力偵察を兼ねた時間稼ぎではないかと判断する。


「そうなると、問題は何のための時間稼ぎだったかということかだ」

「本隊を撤退させるための時間稼ぎでしょうか?」


 クレールがそう自分の推察をフランに進言した。


「それが理由なら、まんまと敵の策に乗ってしまったな。現に我らは偵察で2時間も時間を無駄にしたからな」


 すると、彼女は少し自笑してそう言った後に、ルイを通信で呼び出す。


「ルイ、オマエは麾下の艦隊3000隻を率いて北上して、撤退してくるドナウリア艦隊本隊の頭を抑えろ」


 フランは敵が撤退するなら、ロマリア領の近くである南ルートを通らず、北側のルートを進軍すると考え、ルイにその艦隊を抑えるように指示を出した。


「例え敵艦隊を補足しても、無理に戦う必要はない、我々の本隊が到着するまで足止めをすればよい。なお敵が我が艦隊に攻めてくる可能性もあるので、その時は直ぐに戻ってきてくれ」


「はっ」


 ルイは敬礼をすると通信を切って、艦隊に出撃命令を出すと北上を開始する。


「驚きました。私はあの役目は、レステンクール(リュス)中将に下すと思っていました」


 彼女の考えどおり、仮に敵本隊が北ルートを通って撤退して、それを補足したとしても3000隻で時間稼ぎをするのは危険であり、そんな危険な任務を彼に与えるとは思っていなかったからであった。


「殿下は、敵がこちらを攻めてくる確率のほうが、高いと考えておられるのですか?」

「確率的には半々だと思っている」


 フランのその返事を聞いたクレールは違和感を覚える。


 何故なら、「確率が50%と考えているならば、北ルートに向かわせたルイ艦隊だけは艦隊数が不足しており、危険ではないか?」と思ったからで、今迄の彼女ならもっと有効で安全な作戦を考えるはずであると考えたからであった。


 そして、それは即ちこれでは兵力分散の愚を犯しただけになってしまう。


 だが、この天才がその様なミスを犯すはずがないという思い込みによって、他の将官達も意見を進言しなかった。


 フランは更に麾下の艦隊から、1000隻を割いて分艦隊として、南側ルートへ派遣する。

 派遣内容はルイと同じである。


 ガリアルム艦隊本隊8000隻は、惑星トルトナから西進して、リサンドリアを目指す。


 翌日小惑星サン・ジュリアーノを通過したガリアルム艦隊は、そこから北西に進路を変えて、惑星マレンに向かう。


 2時間後、惑星マレンに到着したガリアルム艦隊に、リサンドリア方面に索敵で出していた偵察艦から、敵艦隊11000隻が惑星マレンに向かって進軍を始めたと報告が入った。


 報告を受けたフランは、すぐさま左翼にエドガー率いる1000隻、中央に分艦隊であるイリス・スミスソン代将率いる2000隻、右翼にリュス艦隊3000隻を配置して、フラン艦隊2000隻は予備兵力としてその後方に配置する。


 そして、北と南に向かわせた艦隊を呼び戻すため、通信妨害で通信が送れないために伝令の小型艇を送り出す。


 こうして、ガリアルム艦隊8000隻 対 ドナウリア北ロマリア侵攻艦隊11000隻による戦い『マレンの戦い』が始まる。


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