表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
宇宙戦記:Art of War ~僕とヤンデレ陛下の場合~  作者: 土岡太郎
第3章 北ロマリア戦役

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

69/178

パドゥアの戦い 06



 こうして、両軍は主力対主力の激突となったが、戦力差ではガリアルムが優勢であった。

 主力部隊同士は6000隻対6000隻であるが、最右翼のルイ艦隊が1500隻に対して、敵の最左翼は1000隻である。


 主力の右に配置しているワトー艦隊は800隻で、対峙している敵艦隊は老朽艦とはいえ1000隻で構成されて数の上では不利であった。だが、両艦隊は階段状で主力部隊より後方にいるために、交戦距離が離れており、何より敵の老朽艦は戦闘する意志が低下しているために、主力部隊の援護をするかどうかは怪しい。


 敵が主力部隊以外を1000隻単位で配置したのには理由があり、それはロイク艦隊1000隻の存在である。


 ステルス艦隊は惑星チェセーナで奇襲を仕掛けて来て以来、そのステルス性を活かしてレーダーに補足されずに自艦隊を追跡してきており、この戦いの最中に奇襲してくるとアルデリアン大将達は推測していた。


 ロイク艦隊がどの艦隊を襲うか解らないために、襲撃を受けた時に対抗できる同数の1000隻で構成しておかなければならず、そのために主力の横の艦数を多めにして、援護させるという策を取ることが出来ずにいる。


 そして、ロイク艦隊の存在は更にロマリア侵攻艦隊司令部の計算を狂わせる一因となっていた。


「敵艦隊との距離約2万1千キロです!」

「撃て…」


 オペレーターから交戦距離に入った報告を受けたヨハンセンは、フランとは逆に戦意高揚している様子もなく至って冷静な声で艦隊に攻撃命令を出す。


 彼が冷静なのは性格でもあるが、これから自分の命令で敵味方に多くの犠牲者がでる、そう考えると気分が高揚することなどなかった。


「敵艦隊を突破する、撃て!」


 アルデリアン大将は自艦隊の主砲の射的距離、2万キロにヨハンセン艦隊を捉えると攻撃命令を下す。


「閣下、敵の最左翼艦隊が射程距離に入ります」

「全艦、攻撃開始」


 ルイはシャルトー大佐の報告を受けると、ヨハンセンと同じ様に冷静な声で攻撃命令を下す。理由はヨハンセンと同じだ。


 遂に両艦隊の間でビームのやり取りが開始される。

 無数のビームが宇宙空間を行き来する度に、両艦隊の艦のシールドに当たり、眩しい光を発した。


 そして、シールドがその光を発せなくなった時、その艦は船体をビームで溶解され、それが続けば艦は爆散して、文字通り宇宙の藻屑となってしまう。


 戦闘開始15分―


 ヨハンセン艦隊の後方にいたフラン艦隊が、ヨハンセン艦隊の天頂方向に移動して、突進してくるロマリア侵攻艦隊に猛攻撃を開始する。


「全艦攻撃を開始せよ! ビーム、ミサイル、レールガンを全て撃って、奴らの突進の勢いを止めよ!」


 フランは戦闘における昂揚感を含んだ声で、艦隊に攻撃命令を出すが浮ついてはおらず冷静さは維持していた。


 フランが自艦隊に猛攻撃を開始させた時、ヨハンセンも猛攻撃を開始する。


 両艦隊から無慈悲に放たれるビーム、ミサイル、レールガンが、突進してくるロマリア侵攻艦隊の主力部隊に前方と斜め上から容赦なく叩き込まれ、先頭に配置されている艦は次々と爆散していく。


「我が艦隊は、敵と同じ様に前衛艦隊の上に移動して、敵上部艦隊に攻撃を加える! 急げ!」


「ですが、閣下。それでは、我が艦隊が追いつくために、前衛艦隊の前進速度を落とさせねばなりません。そうなれば、突破するのに時間がかかってしまいます!」


 司令官のアルデリアン大将の命令に、参謀のマイアー中将が直様反論を提言するが、彼にもそんな事は言われなくても解っていた。


「わかっている。だが、このままでは、前衛艦隊は前と上からの攻撃で、大損害を出してしまう! 我らが上に移動して、敵の上部艦隊を攻撃して、攻撃を抑え込まねばならん!」


 だが、彼の言う通りこのまま猛攻が続けば、前衛艦隊は2艦隊の攻撃によってすり潰されるであろう。


「いくら敵が補給を整えているとは言え、このような猛攻撃を長時間続ける事はできません! ここは、もう暫く堪えてこのまま前進を続けるべきです!」


 マイアー中将の推測通り、ガリアルムには後十分程しか猛攻撃を続ける物資はない。


「敵がもし我らの予想以上の補給を用意していたらどうする?! なにせ敵は、我らをこの状況に追い込むのを事前の策として用意して、見事に誘導して実行した相手だぞ!?」


「確かに…、そうですな…」


 だが、超能力者ではない彼らにとってその事を知る術はなく、艦隊の運命を握る彼らとしては安全策を取るしか無く、マイアー中将は歯切れの悪い言葉で賛同すると司令官の意見に従うことにする。


 これは、指揮官に従った風に見えるが、仮にこの戦いで敗北した時の責任を司令官に負わせる考えからでもあった。


 ロマリア侵攻艦隊は縦陣から、ガリアルム艦隊と同じ上下二段の陣形に変更し、両軍は眼前に対峙する部隊と撃ち合うことになり、ガリアルム艦隊は猛攻撃から通常の攻撃に切り替える。


 フランとヨハンセンは各々絶妙なタイミングで、猛攻撃によって物資の消耗した艦の補給ローテションをおこない敵に付け入る隙を与えなかった。


 そのためにロマリア侵攻艦隊は、突破の攻勢をかけられずに微速で前進を続けながら、撃ち合いを続けるが元より物資の差があるために、徐々に攻撃力に差が現れ被害が増え始める。


 戦闘が始まって30分―


「ワトー代将の艦隊に天底方向に移動して、攻撃するように伝えよ」


 フランはロマリア侵攻艦隊の突進を更に抑えるべくワトー艦隊へ攻撃命令を出す。


 フランの命令の元、主力部隊の斜め左後方で待機していたワトー艦隊が、天底方向に移動してヨハンセン艦隊の下に陣取り攻撃を開始する。


 ロマリア侵攻艦隊主力部隊下部の艦隊は、初戦の猛攻撃で損害を受けており、このまま下方向と正面からの二方向の攻撃を受け続ければ、持ちこたえることは出来ないであろう。


「後方で待機している艦隊に、敵最下部艦隊を攻撃するように伝えろ!」


 そこで、アルデリアン大将はワトー艦隊と対峙していた艦隊に、同じく天底方向に移動して攻撃するように命じる。


 だが、艦隊は動かなかった、というより動けなかった。


 その理由は、老朽艦で物資も主力に接収されているために戦力が落ちている今の状態で撃ち合えば、自分達が撃ち負けるのは明白で、更にロイク艦隊が未だ戦場に現れていない。そのため、ワトー艦隊との撃ち合いの最中に強襲を受ければ、人形のような白い敵司令官が投降勧告の時に言ったように、デブリに変えられてしまうであろう。


 他の老朽艦隊の司令官も援護するべきか迷ったが、自分達が動けば当然対峙している敵艦隊が相手をするために移動してきて攻撃して来て撃ち合いになる。


 そこをロイク艦隊に強襲され、挟撃されれば壊滅は必至であり、そのような理由で老朽艦艦隊は司令部の命令をはぐらかしながら様子を窺っていた。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ